直射日光はダメ?太陽光の紫外線は熱帯魚水槽に悪影響があるのか?

太陽光は大部分の生物にとって健全な育成に欠かせないもので、私たち人間にとっても日光を浴びることは健康に役立つといわれています。

よって、熱帯魚や水草にも日光を当ててあげた方が良い、と考える方もいるかもしれませんが、一般的な大きさの水槽においては直射日光を当てることはおすすめできません。ここでは熱帯魚や水草の水槽に直射日光を当てることによる悪影響についてご紹介しましょう。

水棲生物に対する光の影響

水槽で熱帯魚や水草を飼育する場合は、一般的にLEDなどの照明器具を用意して光を当てます。まずは水棲生物の飼育において、光源を用意する理由からご説明します。

熱帯魚の場合

健康状態を保つ

熱帯魚の生活サイクルを決定づけているものは周囲の明るさです。昼行性の魚の場合、周囲が明るくなると活動を始め、暗くなると睡眠をとるなどして体を休めます。このサイクルが安定して繰り返されることは、熱帯魚の健全な育成に必要不可欠です。

発色を良くする

熱帯魚も人間と同様に、太陽光に由来する紫外線から細胞を保護するために色素細胞が発達し、それが特有の鮮やかな色や模様と密接に関係しています。

そのため、薄暗い場所で飼育し続けていると一般的に発色は悪くなっていきます。熱帯魚の発色を良くして、鑑賞性を高く保つためには、光は欠かせない要素なのです。

水草の場合

水草の場合は言わずもがな光合成による成長のためです。水草は光のエネルギーを用いて周囲の水と二酸化炭素から炭水化物を合成。その炭水化物を利用することで成長していきます。

そのため、光が不足すると光合成を十分に行うことができず、茎や葉などが細くなったり色落ちするなどの症状が出ます。水草の健全な育成において光は大変に重要な要素です。

水槽に直射日光を当てるデメリットについて

 

水棲生物の飼育において光源が必要な理由はご理解いただけたでしょうか。しかしながら、一般的な水槽で光源に直射日光を採用することはデメリットが大きいです。ここでは直射日光のデメリットについてご紹介します。

水槽に直射日光を当てるデメリット1、水温が安定しない

一般的なサイズの水槽に入る水の量では、直射日光を当てるとすぐに水温が上昇してしまいます。特に気温が高く、日差しが強い夏場は危険です。

昨今の気候変動の影響で日本でも猛暑日と呼ばれる、気温35℃以上の日が続くことも珍しくなくなりました。そのような日に直射日光にさらされ続けていると、水棲生物にとって適切な水温域を簡単に超えてしまいます。

また、クーラーを設置していても、設定温度に合わせるためにはタイムラグが生じ、その分だけ水温は不安定になります。さらに、水温を合わせるために余計な電力を消費することになるので、基本的に水槽は直射日光が当たらない場所に静置しましょう。

水槽に直射日光を当てるデメリット2、コケが発生しやすくなる

直射日光は強い光なので水草の成長を促進してくれますが、その分だけコケの成長も促してしまいます。特に糸状藻糸状コケ)と呼ばれる藻類である、アオコやアオミドロが大量に発生すると厄介です。

これらの糸状藻は水草にまとわりつくようにして増殖していくので、鑑賞性が低下するばかりか、水草の光合成を阻害してしまいます。

生体の飼育のために、あえてアオコが豊富に含まれるグリーンウォーターを作るのでなければ、鑑賞性とメンテナンス性が低下するだけなので、直射日光は避けた方が無難です。

水槽に直射日光を当てるデメリット3、水槽および周辺機器の早期劣化

水槽にはアクリル製ガラス製がありますが、直射日光を当て続けることにより、いずれもメーカー側が想定している耐用年数よりも早期に劣化してしまいます。

具体的には、アクリル水槽は材料のアクリルそのものが紫外線に弱く、直射日光に含まれる強い紫外線を当て続けることで、透明度や強度の低下を招いてしまいます。ガラス水槽は接合部に使用されているシリコンが紫外線に弱く、劣化すると水漏れの原因になります。

また、フィルターなどの周辺機器に関しても、ほとんどの製品は直射日光の下での使用を前提としていません。強い紫外線にさらされることで早期に劣化し、故障の原因となるので注意してください。

水槽に直射日光を当てるデメリット4、火災の危険

皆さんは小中学校の理科の実験で、虫眼鏡を用いて太陽光を集め紙などを発火させた経験はありませんか。実はこの現象が、条件さえ整ってしまえば水槽でも起きてしまうのです。

太陽光を反射物で屈折させ集中することで、可燃物を発火させる方法は「収れん発火」と呼ばれ、収れん発火が原因の火災を「収れん火災」と呼んでいます。

収れん火災は毎年、何件かの事例が報告されており、火災原因の全体に占める割合は低いものの無視できません。特に金魚鉢のような全体的に丸みを帯びた水槽は、日光が当たる場所に置くことを避けた方が無難です。

まとめ・熱帯魚水槽における直射日光の悪影響について

 

光は熱帯魚や水草を健康的に飼育するうえで欠かせないものです。しかしながら、水槽に入る程度の水量では直射日光は強力すぎるため、デメリットばかりが目立ってしまいます。

水槽での水棲生物の飼育には目的に応じた照明器具を用意して、直射日光は避けて飼育した方が良いといえるでしょう。

2件のコメント

  1. マーフィー より:

    ベタのオスを買っています。よく見てみるとたまに白い膜が身体にまとわりつい着いていたり水中を漂っていたり時間が経つと低床に沈着していたりします。これは一体なんでしょうか?

    1. アクアガーデン編集部 より:

      実際に拝見しておりませんので正確な回答ではないことをご了承ください。
      ベタの粘膜(体のぬめり成分)と考えられます。
      魚は不調を感じると粘膜を多く出しますので、水質の悪化や体調不良、病気などが考えられます。
      ベタの病気についてはこちらをご参照ください。

      ・ベタの病気7つ!綿がつく?腹が膨れる?その予防と治療方法を徹底考察!
      https://t-aquagarden.com/column/betta_sick
      ※外部サイトが開きます

      何卒よろしくお願いいたします。

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