海水魚の中でも特に種類が多く、とてもポピュラーな魚のハゼは、カラフルで愛嬌のある顔立ちからとても人気がある海水魚です。
丈夫で比較的飼育がしやすいので、海水魚初心者にもおすすめされることの多いハゼ。
しかし、ハゼは種類が多くどれを選んだらよいのかわかりづらいうえに、種類によって飼育方法が異なることもあるので、初めて飼育するときには戸惑うこともあるでしょう。
そこで今回は、海水魚初心者の方に向けて、海水魚のハゼを飼育するときの水温や、繁殖方法、混泳できる魚などの情報をご紹介していきます。
海水魚のハゼはどんな魚?
ハゼは基本的に丈夫で、飼育のしやすさから人気の高いお魚です。
世界中の海や川に生息しており、ハゼの仲間に分類される魚の種類は、2100種類以上いるといわれています。
そのなかでも海に生息するハゼは、その生態から大きく分けて3種類に分類されます。
遊泳性ハゼ
海の中を活発に泳ぎ回る種類のハゼを、遊泳性ハゼといいます。
温和な性格で飼育がしやすく、見た目もカラフルなので、観賞魚としてとても人気があります。
共生ハゼ
海底に暮らすハゼの多くは、自分で砂に穴を掘って身を隠します。
しかし、共生ハゼの仲間は、自分で穴掘りをせず、エビが掘った巣穴に居候する、変わった習性をもっています。
これだけだと共生ハゼがエビの巣穴を陣取っているだけのように思いますが、それは違います。
共生ハゼは視力の弱いエビに代わり、巣穴の周りに敵や不信なものがないかを見張る用心棒のような役目を担っており、エビと共生関係を築いているのです。
ベントス食性のハゼ(ベントスゴビー)
海の底で砂の中の微生物や藻などを食べているハゼの仲間を、ベントス食性のハゼといいます。
砂ごと口に入れて、微生物や藻だけを食べわけ、綺麗になった砂を吐き出す習性があることから、底砂のお掃除屋さんとして飼育する方も多いです。
しかし、お掃除屋さんだからといって、あまりに汚れている底砂の中に入れてしまうと、砂の中の細菌などから病気になったり口内に炎症を起こして最悪ハゼが死んでしまうことがありますので、注意が必要です。
汚れた砂をきれいにしてくれるのではなく、きれいな砂をきれいに保つ役割を果たすのがベントス属性のハゼです。
同じようですが大きく異なる習性ですので、しっかり理解して飼育しましょう。
また、ベントス食性のハゼは、砂を口に含んでは吐き出していくため、きれいにレイアウトの組まれた水槽では、レイアウトを壊してしまう可能性があることを承知の上で飼育する必要があります。
海水魚のハゼを飼育しよう!初心者におすすめの種類をご紹介
海水魚のハゼにはとてもたくさんの種類がいて、どれを飼育したらよいのか迷ってしまいますよね。
ここでは、初心者でも比較的飼育しやすいハゼをご紹介します。
遊泳性ハゼ
ハタタテハゼ
長い背びれが特徴のハタタテハゼは、丈夫で温和な性格なので、海水魚初心者でも飼育しやすいお魚としてよく名前が挙がります。
共生ハゼ
ネジリンボウ
縞々模様が美しいネジリンボウは、エビと混泳させることで共生関係を観察できるユニークな海水魚です。
ベントス食性のハゼ
ミズタマハゼ
ミズタマハゼは、とても丈夫で飼育がしやすいので初心者にもおすすめの海水魚です。
底砂のお掃除屋さんとしてとても人気があります。
海水魚のハゼを飼育するときのポイントまとめ
海水魚のハゼを飼育するときのポイントを確認していきましょう。
水温や水質、繁殖やほかの魚との混泳についてなど、よく確認してから飼育をするようにしてください。
水温
水温は基本的には25度程度を保つようにします。
ただし、海の深いところに住んでいるハゼの仲間は低めの水温を好みますので、その場合は20度程度の水温が適正です。
ハゼは種類によって性質が異なります。種類に合わせた水温に設定してあげてください。
水質
とても丈夫な種類が多いハゼは、水質にもそこまで神経質になることはありません。
一般的な海水魚を飼育する水質で問題なく飼育することができます。
ただし、どんな魚でもそうですが、水が汚れてしまうと病気になりやすくなります。1~2週間に1回の定期的な換水を心がけましょう。
餌
餌は冷凍プランクトンやアカムシ、イトミミズなどをよく食べますが、栄養バランスを考え、これらのものはあげ過ぎに注意しましょう。
普段の餌は、小粒の配合飼料を与えるとよいです。
しかし、個体によっては人工の配合飼料を食べないハゼもいます。
餌を食べずやせ細ってしまった、というようなことが無いよう、餌を食べているかしっかり確認し、臨機応変に対応しましょう。
また、砂の中の微生物などを捕食しているベントス食性のハゼの場合でも、それだけでは足りないので餌やりが必要です。
水槽の底で生活するベントス食性のハゼには、沈むタイプの餌を底にまいてあげたり、スポイトを使用して砂の中に餌を埋めてあげるとよいでしょう。
寿命
ハゼの寿命は意外と短く、一般的には1~3年程度といわれています。
種類や個体によってばらつきがありますので、平均してそのくらいと考えるとよいでしょう。
また、諸説ありますが、環境のよい水槽においては、自然界での寿命よりも長生きすることがあるという話もあります。
いずれにせよ、少しでも長生きできるようハゼにとって暮らしやすい環境を整えてあげることが大切です。
水槽の中の環境について
ハゼは臆病な性格なので、隠れられる隙間があると安心できます。
サンゴやライブロックなどで隠れられる場所を作ってあげましょう。
遊泳性ハゼの場合は、底砂がなくても飼育できますが、共生ハゼやベントス食性のハゼは、底砂に隠れたり掘り返す習性があるので、粒の細かい砂やサンゴ砂を敷いてあげる必要があります。
ハゼを飼育するときの注意点
どの種類にも共通していえる注意点が、ハゼの飛び出しです。
ハゼは水槽から飛び出してしまうことがあるので、飼育するときには必ず水槽に蓋をするようにしましょう。
繁殖について
一般的に、海水魚の繁殖は淡水魚に比べてとても難しいといわれています。
ハゼも例にもれず、個人の家で飼育している海水魚のハゼの繁殖に成功したという話はあまりありません。
しかし、ハゼをつがいで飼育していると産卵することがたまにあります。
ハゼの卵は付着沈性卵といって、海底の岩などに産卵し、そのまま岩に付着した状態で孵化します。
水槽では、ライブロックの隙間などにひっそりと産卵し、飼い主も気づかぬうちに孵化していることも多いようです。
ハゼは産卵をすると、孵化するまで親が面倒を見る習性があります。
そのため、つがいのハゼがライブロックの隙間を頻繁に出入りしているような様子があれば産卵してる可能性が高いです。
孵化するまでは、ライブロックを無理に動かしたりせずそっとしておきましょう。
孵化し稚魚が泳いでいることに気づいたら、ほかのお魚に食べられてしまう前に稚魚を隔離水槽などの安全なところに移動します。
稚魚には、稚魚用の小さな餌を与え、成長を見守りましょう。
孵化してもなかなか成長することは少ないようですが、環境が良ければ成長するかもしれません。
ハゼとほかの海水魚の混泳について
ハゼは大人しく臆病な性格のものが多いので、気の強い魚との混泳は不向きです。
ハゼと混泳できる魚には、ハナダイやカエルウオなどがあげられます。
ハゼ同士の混泳も可能ですが、共生ハゼ同士で混泳させると、威嚇しあってしまいストレスになってしまうことがあります。
問題ない程度ではありますが、念のため小さい水槽での混泳は避けたほうが無難でしょう。
カクレクマノミと混泳している水槽も見かけますが、カクレクマノミも気の強い魚なので、混泳させるときには少々工夫が必要です。
混泳させたい場合には、ハゼがいざという時に逃げ込める隙間をサンゴやライブロックなどで作っておくとよいでしょう。
共生ハゼとエビの混泳について
共生ハゼはエビと共生する珍しい習性をもつ魚です。
共生関係は水槽内でも再現することができるので、共生ハゼを飼育する場合にはぜひ、エビも一緒に飼育することをおすすめします。
ただし、共生ハゼとエビにも相性があります。
種類ごとに相性のよい組み合わせがあるので、混泳させる種類には注意しましょう。
下記に相性の良いとされる組み合わせの例をご紹介します。
- ランドールピストルシュリンプ(コトブキエビ) : ヒレナガネジリンボウ/ヤノダテハゼ
- ニシキテッポウエビ :ギンガハゼ/ヤマブキハゼ/アカクビハゼ
- コシジロテッポウエビ : ハタタテシノビハゼ/アカクビハゼ/ニチリンダテハゼ
まとめ:海水魚のハゼを飼育!初心者におすすめの種類と水温や混泳・繁殖について
海水魚のハゼにもたくさんの種類がいますが、どれも独特のカラーリングが魅力的ですよね。
水槽にもとても映える海水魚のハゼは、初心者からプロまでどなたにもおすすめしたい海水魚です。
種類が多い分、それぞれに若干異なる特徴や飼育の上での注意点がありますので、自分が飼育するハゼの特徴をよく理解したうえで飼育するようにしてください。
海水魚の飼育方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
トロピカライターの長嶋です。
金魚すくいで連れて帰った、和金の『よしえ(名前)』を飼育してました。
可愛らしい魚とワニが大好きです。
生物を飼う楽しさを伝えていけたらな、と思います!