ニュース番組やSNSで話題となったザリガニの規制ですが、2023年、6月1日よりアメリカザリガニとミドリガメに関する『改正外来生物法施行令』が決定しました。
販売目的ではない飼育や譲渡は認められます。放流は絶対に行わないようにして、最後まで育てましょう。
規制の対象となるのは基本的には海外のザリガニ科全種です。
規制されたザリガニを期日以降に無断で購入した場合は罰則の対象となってしまうため、今回は規制や罰則の詳しい内容や、規制の対象となるザリガニ類について解説をしていきます。
現在すでに海外産ザリガニを飼育している方などは、是非こちらのページをお役立てくださいね。
ザリガニの規制についてを動画で解説!
※こちらの動画は2020年時点に制作されたものです。
この記事の内容は動画でもご覧いただけます。
ザリガニ規制の内容と注意点を音声付きでご紹介します。
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2023年6月1日からのザリガニ飼育規制
2020年11月2日からは多くの種類のザリガニが特定外来生物に指定され、日本での飼育が規制されることが決まりました。
さらに2023年、6月1日よりアメリカザリガニも販売目的の飼育や譲渡の規制や放流の禁止などが始まります。
まずは規制や罰則の詳しい内容、引き続き飼育する際の注意点などについて解説をしていきます。
規制の内容・罰則
まずは規制の内容について解説します。
2020年11月2日から、以下の種類のザリガニが特定外来生物へ指定されました。
- ザリガニ科 全種
- アメリカザリガニ科に属する種のうち、アメリカザリガニ以外のもの
- アジアザリガニ科に属する種のうち、ニホンザリガニ以外のもの
- ミナミザリガニ科 全種
これに加えて、2023年6月1日よりアメリカザリガニも「条件付特定外来生物」として規制の対象になります。
特定外来生物とは、「外来」つまり海外から持ち込まれた生き物のうち、日本にもともと生息する在来種の生態系や環境に害をおよぼす(またはその危険性がある)動植物のことを指します。
特定外来生物に指定される生き物たちは繁殖力や捕食能力がとても高いため、法令で規制をしないと日本の在来種がいなくなってしまう可能性があるのです。
特定外来生物に指定された生き物たちは、原則として許可なく輸入すること・飼育や移動をすること・譲渡(誰かにゆずること)が禁止されています。
もちろん野外に放すことも絶対に禁止です。
野生化した特定外来生物を発見した場合、それを捕まえて生きたまま持ち帰ることも禁止されているため、ザリガニ釣りなどをする際は十分に注意しましょう。
もしこれらの禁止行為を違反してしまった場合、どのような罰則が定められているのでしょうか?
個人の場合、届け出なくペット目的での飼育をすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられてしまいます。
そして、飼育が販売目的であったり野生に放ってしまった場合には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。
「知らなかった」では済まされない問題ですので、規制の内容についてはしっかりと覚えておきましょう。
引き続き飼育するには申請が必要
すでに規制対象となったザリガニを飼育している場合は、各地方環境事務所に届け出の提出を行いましょう。
詳しくは環境庁のページでご確認ください。
引き続き飼育するためには申請が必要ということを覚えておきましょう。
規制対象となるザリガニの種類
2020年時点では「規制の内容・罰則」の項目のところで、今回新たに特定外来生物として指定されるザリガニは、以下の種類であるということをお伝えしました。
- ザリガニ科 全種
- アメリカザリガニ科に属する種のうち、アメリカザリガニ以外のもの
- アジアザリガニ科に属する種のうち、ニホンザリガニ以外のもの
- ミナミザリガニ科 全種
しかし、アメリカザリガニも各地で生態系への影響が深刻視され、2023年、6月1日よりミドリガメとともに『改正外来生物法施行令』で規制されます。
こちらをもう少し詳しく解説しますので、しっかりと確認しておきましょう。
基本は海外のザリガニ科全種
日本にもともと生息する在来種のザリガニはニホンザリガニだけなので、今回規制の対象となるのは基本的には海外のザリガニ科全種と覚えていただいて大丈夫です。
アクアショップなどでも販売されている人気のフロリダ・ブルーやミステリークレイフィッシュ、ミナミザリガニ科のレッドクロウなども規制の対象となります。
また、名称と地味な色味から在来種だと間違えられやすいウチダザリガニも特定外来生物に指定されているため、誤って釣り上げてしまった場合にはすぐにその場へ放すなどの対処をしましょう。
ミステリークレイフィッシュ
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=ReF5XRS4Pko&w=560&h=315]
ミステリークレイフィッシュはメス単体での繁殖が可能で爆発的に増えてしまうため、以前から世界中で危険視されていたザリガニです。
無責任な飼育者によって野外へ放されてしまったりケージから逃げ出した個体が、日本各地の水域で猛威をふるっています。
現在飼育している方は絶対に野外へ放したりせず、飼育許可の申請手続きを行ないましょう。
アメリカ産ザリガニ
日本人にとってもっとも馴染み深い海外産ザリガニといえばアメリカザリガニ(マッカチン)ですよね。
前述の通りに、アメリカザリガニは2020年の規制では除外されましたが、2023年より「条件付特定外来生物」として規制されることになりました。
先ほどご紹介したミステリークレイフィッシュをはじめ、海外では食用として流通しているヴィライルクレイフィッシュやラスティークレイフィッシュなども該当します。
なぜ海外のザリガニを飼育してはいけないのか
今回のザリガニ規制問題には驚いた方も多いと思いますが、そもそもなぜ海外のザリガニを飼育してはいけないのでしょうか?
- 生態系破壊の深刻化
- 在来種に危険な病原体を持つ可能性がある
こちらの2つの論点から紐解いていきます。
生態系破壊の深刻化
いちばんの問題は生態系破壊の深刻化です。
何らかの事情で日本にやってきた海外のザリガニは、無責任な放流によって各地で数を増やしています。
その結果、もともと日本に生息しているニホンザリガニはもちろん、魚やカエルなども海外から来たザリガニによって捕食されてしまい、在来種たちの生態系が徐々に壊されつつあるのです。
ザリガニたちは強靭なハサミを持っていますので、水草なども切り取られて枯れていってしまいます。
そうした生態系破壊の深刻化が、今回のザリガニ規制を大きく後押ししているのです。
在来種に危険な病原体を持つ可能性がある
ザリガニが発症する病気の中に、「ザリガニペスト」と呼ばれる伝染病があるのをご存知でしょうか?
この病気は北アメリカ由来の病気なのですが、その地方に生息するザリガニにはザリガニペストの免疫があります。
つまり病原菌を保有したザリガニが日本に放流されてしまうと、免疫のないニホンザリガニが発病し絶滅してしまう恐れがあるのです。
免疫のないザリガニが感染すると突然死してしまうという危険な病気なのですが、現在でもザリガニペストに対する有効な治療法は見つかっていません。
ただし日本では今のところザリガニペストの深刻な被害は見受けられてないため、感染が広がる前に病気を保有している可能性の高い海外のザリガニを規制してしまおうというのが、今回のザリガニ規制に至った2つ目の理由です。
2020年の規制でアメリカザリガニが見送られた理由
ここで疑問となるのが、2020年時点では、なぜアメリカザリガニが規制の対象から外されたのかという点です。
アメリカザリガニは昭和初期にアメリカから持ち込まれた外来種で、在来種である水生昆虫を捕食するなど生態系に深刻な影響を与えています。
そんなアメリカザリガニの規制が見送られた理由のひとつは、ザリガニペストを保有している危険性が低いからです。
しかしそれよりも注視したいのが、「大量遺棄が懸念されるから」という理由。
アメリカザリガニは入手しやすいという点から飼育しているご家庭がかなり多いため、いきなり規制対象にすると社会的な混乱を招く恐れがあると考えられているのです。
2020年時点ではこうした理由からアメリカザリガニの規制や特定外来生物への指定は見送られましたが、2023年、6月1日からは規制が厳しくなることになりました。
飼育者数は当時と変わらずに多いため、一部規制を適用外とする「条件付特定外来生物」というかたちででの規制です。
まとめ:海外のザリガニが規制される!規制対象と内容・なぜダメなのかも解説します
今回は海外産ザリガニの規制に関する政令について解説をしてみました。
規制の対象となるのは、基本的には海外のザリガニ科全種。
今回からアメリカザリガニは規制の対象となりましたので、飼育や採集にはご注意ください。
海外産ザリガニのほとんどは特定外来生物に指定されているため、飼育を継続される方は放流すると在来種の生態系が壊れてしまうというということをしっかりと認識し、責任をもって最後まで飼育しましょう。
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!
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