優雅な泳ぎと華やかな見た目で人気のベタは、品種改良が盛んなため、数えきれないほどの種類が存在します。
品種はもちろん、体色やヒレの形状、鱗に現れる模様によって名前が細かく分かれることから、初心者の方だとどんな見た目のものを指しているのか想像すら難しいこともあるでしょう。
そこで今回は、品種ごとの特徴をふまえて、ベタの種類を詳しくご紹介します。
ベタの種類の名称は、体色やヒレごとに特徴を現す用語を組み合わせて『ソリッドカラーのクラウンテール』といったように表現されることが多いので、用語を覚えて好みのベタ探しの手掛かりにしてみてください。
ベタの特徴は品種名でわかる!
一見すると取っつきにくいベタの品種名ですが、実は特徴をそのままま表しているものが少なくありません。
品種の成り立ちや体型・大きさなど、特徴がそのまま品種名になっているパターンも多く、古くから改良品種として親しまれているトラディショナル(伝統的な)や大きく成長するジャイアント(巨大な)という品種がわかりやすい例です。
ベタの品種名はカタカナ表記ですが、英単語からきているものがほとんどなので、意外と覚えることは難しくありません。
ベタの品種と特徴
こここからは、基本となるベタ5種類の品種名と特徴をご紹介していきます。
- トラディショナル
- プラカット、メタリカ
- ジャイアント
- ワイルド
- シンフォニー(エイリアン)
これらの品種名を基本として、後ほどご紹介する体色名やヒレの形状名と合わせて判断することで、名前からベタの見た目がわかるようになります。
トラディショナル
ベタの改良品種で最も歴史が長いことから、トラディショナル(伝統的な)と呼ばれる一般的な体型の品種です。
流通量が多く安価なので、ベタといえばこの品種を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
プラカット、メタリカ
プラカットはタイ語で“噛む魚”という意味がある単語で、闘魚として気性が強くなるよう品種改良された品種です。
原種に近いシルエットに加えヒレが短く、快活な印象を受けます。メタリカは、プラカット体型の中でもメタリックな鱗を持つものを指します。
ジャイアント
その名のとおり、ベタのなかでも大型の品種です。
10cmほどまで成長するので、とても見ごたえがあります。フレアリングすると、その大きさが一段と際立つ迫力のあるベタです。
ワイルド
原種そのままの姿をしたベタです。
体が長めでヒレが小さいため、他の品種よりもスマートに見えます。独特な魅力を持っているので、ワイルドベタを好む愛好家もいます。
シンフォニー(エイリアン)
ワイルドとプラカットを交配した品種です。
ジャイアントに次ぐ大型品種で、ワイルドの体型と改良品種ならではの鮮やかさを兼ね備えています。各ヒレにはワイルド特有の模様が現れます。
ベタの体色名
続いては、ベタの体色名をご紹介していきます。
ベタはカラフルな体色が魅力の1つなので、体色ごとの呼び方は少なくありません。ヒレの色や鱗の質感が由来になっているものもあります。
種類が多くわかりづらい印象がありますが、色味をそのまま表したスーパーブラックや三色の錦鯉を彷彿とさせる鯉カラーなど、特徴的な名前もありますので、ぜひ覚えてみてください。
ソリッド、バイカラー
ソリッドは単色、バイカラーは2色の意味です。
その名の通り単色もしくは2色の色が混ざり合ったベタを指します。ただ、厳密に単色かというとそういうわけではなく、ソリッドといっても他の色が少し混じる個体がほとんどです。
ベタが持つ体色のなかではシンプルで一般的ですが、純粋で濃密なカラーを楽しめる品種といえます。
バタフライ、トリバンド
尾びれや背びれ、胸びれが白く縁どられているものをバタフライと呼びます。
トリバンドは、体色とヒレの内・外側を含めて3色あるものを指します。色のグラデーションが際立つ、美しい体色のベタです。
カッパー、ドラゴン
金属質の鱗が特徴です。
カッパーは赤銅色、ドラゴンはやや青みを帯びた銀色のようなカラーです。カッパーは英語の銅(copper)が由来で、ドラゴンは鱗の質感からきています。
クリアフィン
無色透明のヒレを持つ品種です。
ヒレの全部分が透けていたり、部分的に透明だったりなど、さまざまなパターンがあります。
スーパーブラック、メラノブラック
スーパーブラックは、真っ黒なベタを目指して作出された品種、メラノブラックは黒いヒレに少しメタリック風合いのボディを併せ持つ品種です。どちらもやや青みが残ることがあります。
メラノブラックはメスが致死遺伝子を持っているおり、同種のオスと交配させても子孫を残すことができません。このことから作出するのが難しい希少なベタとされています。
鯉カラー、ニモ、ファンシー
いずれも3色以上の体色を持つベタで、可愛らしく人気があります。
錦鯉を彷彿とさせる赤・白・黒の体色が鯉カラー、カクレクマノミを連想させる黄色やオレンジの割合が多い個体がニモ、3色以上はファンシーと呼ばれます。
キャンディ、ギャラクシー
キャンディとギャラクシーは、どちらも複雑な多色性を持つモザイク模様のベタです。キャンディよりもギャラクシーの方が細かく繊細な模様をしています。
また、ギャラクシーは、部分的に金属質の鱗が入るのが特徴です。
ヒレの形状名
ヒレの形状は、体色と並ぶベタの魅力です。
言い換えると、ベタの品種改良の大きな目的の1つともいえるため種類はとても多いです。とはいえ、尾びれの形がそのまま名前になっていることから、見た目ですぐに判断できます。
ただ、種類によっては、ヒレの分かれ方やとがり方で呼び方が細分化されていることがあるので、その点もふまえてヒレの形状名を具体的に解説していきます。
ベールテール
トラディショナルに代表される、いわゆる標準的な形状の尾びれです。
ベタのなかでは一般的ですが、長く伸びる各ヒレが美しい種類でフラッグテールと呼ばれることもあります。
クラウンテールなど
細かく分かれたヒレが大きな特徴で、王冠(crown:クラウン)のように見えることが名前の由来です。
ヒレの分かれ方や長さによって、コームテールやキングテールなど呼び方が細分化されています。
コームテール
コームテールはヒレの中頃から先が割れ、くし(Comb:コーム)のような形状をしています。
キングテール
https://youtu.be/VFKLL049-oY
キングテールは、コームテールの分かれたヒレ先がさらに長いものです。
ヒレ先が大きく開いたり、交差したりするタイプもいます。
ハーフムーンなど
ハーフムーンは、その名のとおり尾びれが半月に見える美しいベタです。
より半円に近い形が好まれます。
オーバーハーフムーン
ハーフムーンよりも、尾びれの開き具合がさらに大きいものをオーバーハーフムーンと呼びます。
きれいな種類ですが、形が半円(180度)から離れることで評価が下がることもあります。
フルムーン
ハーフムーンとダブルテールの品種改良によって生まれた種類です。
ハーフムーンならではの尾ビレの広がりとダブルテールの背ビレ・尻ビレの長さが合わさっています。その美しさから、満月ように見えるのが名前の由来です。
ハーフサン
ハーフムーンとダブルテール、クラウンテール3種の改良品種です。
尾びれと背びれ・尻びれの形や大きさはハーフムーンとダブルテールの特徴がよく現れていますが、各ヒレの先端はクラウンテール以上に細かく分かれます。
ローズテール
広がりやドレープ(ひだ)が美しい人気のベタです。
名前の由来にもなっていますが、バラの花びらを彷彿とさせる尾びれを揺らしながら泳ぐ姿に気品を感じます。
コンノック
ローズテールとよく似ていますが、尾びれの軟条(筋)が比較的はっきりしています。
鳥の羽のようにも見えるため、フェザーテールと呼ばれることもあります。
デルタテール
ハーフムーンよりも尾びれの開きが小さい(180度未満)のが特徴です。
スーパーデルタと呼ばれることもあります。
ダンボ
胸びれが広くたなびく品種で、ディズニー映画のキャラクター『ダンボ』が名前の由来です。
個体によっては、胸びれが体の幅より大きく広がることもあります。ただ大きいだけではなく、白く染まるのも美しい点です。
ダブルテール(ハートテール)
尾びれが上下で二股に分かれている種類です。
背びれと尻びれが大きい点も、ダブルテールの特徴です。他のベタよりもやや長生きになることが多いと言われています。
まとめ:ベタの種類と用語!品種を表す単語を覚えてお好みのベタを探そう!
今回は品種ごとの特徴をふまえて、ベタの種類を詳しくご紹介しました。
ベタの品種はとても多く最初は困惑してしまうこともありますが、体型やヒレの特徴がそのまま名前の由来になっていることも多いので、見た目と名前を結び付けていくと比較的覚えやすいです。
また、見た目で品種を判断したいときはここでご紹介した、
- 品種
- 体色
- ヒレの形状
の3点を1か所ずつじっくり観察してみてください。多種多様ですが、それだけバリエーションが豊富ともいえるので、ぜひ、好みの1匹を見つけにショップに足を運んでみてください。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。