流木は水草水槽や淡水魚水槽、プレコ水槽ではレイアウトの要です。
動物の角のような広がりある枝状や、切り株など複雑な形状の数々は、どのように使用すれば水槽を美しく演出できるか…という想像力を刺激してくれます。
水草活着のベースにもなる大切な存在で、熱帯魚たちの隠れ家としても利用されるなど、流木を水槽に入れるメリットはたくさんあります。
アクアリウムに使用する流木の種類の紹介や、流木を使いやすくするアク抜きなどの処置方法を解説していきます。
水槽用流木とは!おすすめの種類
淡水のアクアリウム水槽でよく目にするのが流木を使用したレイアウトです。
水槽用として利用される流木には種類があります。
- 自然流木:多角的でナチュラルな形状の流木
- ブランチウッド:枝状の流木
- ホーンウッド:動物の角に似た形状の枝状流木
- スマトラウッド:放射状に枝が伸びている流木
- スタンプウッド:切り株状の太い流木
- ブラックウッド:タールを多く含む黒い流木
- ブラックホーン:角状のブラックウッド
このように、枝ぶりや形状、色によって呼称が変わります。
ブランチウッドやホーンウッドなどの枝状流木は、広がりを演出でき水草とも繊細に絡むため、中型水槽以上で良くレイアウトに使用されます。
しかし、流木の種類によっては水に沈みにくいことがありますので、それぞれの特徴を確認してから購入しましょう。
水槽用流木については、こちらでも詳しく解説しています。
流木の正しいアク抜き方法5つ
流木には必ずアクが含まれています。
流木のアクには飼育水を茶色く濁らせ、弱酸性に傾ける働きがありますのでレイアウトの際には『アク抜き』を行います。
アクの主成分はフミン酸やタンニンなどで、通常は熱帯魚たちに悪影響を与えるものではないですが、茶色く濁ってしまうと観賞性が損なわれてしまいます。
主なアク抜き方法は
- 水に1ヶ月程度さらしておく
- アク抜き剤を使用する
- 重曹を使用する
- 鍋で煮沸する
- 活性炭を使用する
などがあります。
アク抜き作業を行っても流木の特性上、アクは完全に抜けきることはありません。大きな流木ほど、アクは残存し少しずつ飼育水に溶けだしていきます。
そのため、アク抜きを行ったうえで、レイアウト後も活性炭をろ過フィルターに入れるなどして対策を行います。
アクが多く溶けだすと、弱アルカリ性を好む熱帯魚には馴染めない水質に傾くので、飼育魚が得意な水質を確認しつつレイアウトする流木のサイズ選びや対処を行いましょう。
詳しいアク抜き方法はこちらで解説しています。
流木をすばやく沈める方法
流木には良く沈むものと、レイアウトしても浮いてきてしまうものがあります。
- 乾燥している
- 中に空気が残っている
など、購入したての流木は浮いてしまう可能性があるため、アク抜きと合わせて処置が必要です。水に漬けたり煮沸した流木は空気が抜け、沈むようになります。
枝状流木(ブランチウッド、ホーンウッドなど)は細い形状のため空気を含みにくく、浮きにくい部類です。
反対に、太いタイプの流木は浮きやすい傾向にあるため処置をしましょう。
すぐに仕上げたい場合は、岩などに固定して沈める方法もあります。詳しくはこちらの記事でご紹介しています。
流木のコケを落とす方法
アクアリウムにつきものなコケは、流木にも生えます。
流木に生えやすいコケは
- 髭状コケ
- 緑ゴケ
- 茶ゴケ
などです。
これらはブラシでこすったり、オトシンクルスやヌマエビたちに食べてもらったりするのが効果的です。
木酢液も効果がありますが、流木にしみこんでしまうため使用後は十分に洗い流して乾燥させなくてはなりません。また、濃度と使用法を誤ると生体(特にエビ類)に影響を与えますので注意です。
流木に生えるコケのなかでも、髭状コケは頑固でなかなか取れません。
髭状コケは熱湯に漬けて、弱く柔らかくしてからヤマトヌマエビに食べてもらうなどひと手間かけることで撃退しやすくなります。
流木に生えるコケ撃退法は、こちらでも詳しく書いています。
良い流木・悪い流木を見分ける方法
流木にも良し悪しがある…と書いてしまうと、優劣をつけてしまうようですが、水槽の種類によって使いやすい流木の形状とそうでない種類がでてきます。
良い流木とは、自分の水槽レイアウトにぴったりとあてはまる流木です。日本に入ってくる流木はどれもしっかりとした品質です。
例外として大型流木は性質上、頑丈で頭一つ出たハイクオリティなものが多いです。
水槽用流木は人工的に作成されたものがほとんどです。ブラックウォーターの池に枝を漬け込んで作ります。品質が揃っているとはいっても、もともとが自然の植物ですから虫食いなどがある流木も存在します。
- 非常に軽い
- 虫食いがある
- カビが生えている
このような流木は避けたほうが良いです。
また、マングローブ系の流木は、アクが抜けにくいという特徴があります。流木を選ぶ際には状態だけでなく種類も確認して選ぶと、よりしっくりとくるレイアウトが作りやすいですよ。
流木を採集して水槽に入れる際の注意点
水槽用に流通している流木はほとんどが人工的に作られたものですが、河川などには自然に出来上がった流木が流れ着くことがあります。
形も風合いもそれぞれな流木は趣が深く、日本でも自ら採集して使用する方がいます。
しかしが採集できる場所は山中やそれに近い川の上流であることが多く、気をつけなくてはならないことが複数あります。
- 私有地や国立公園では採集厳禁
- 1人での採集は危険
- 装備(手袋や靴など)は安全性に気を付ける
自然公園法が適応されている場所での採集は絶対に行わないようにしましょう。
採集した流木は自然のものですからしっかりとアク抜きや煮沸を行います。それでも、魚類などへの影響は自己責任になってしまいますので、了承してから使用するようにしましょう。
流木採集についての注意はこちらでも詳しく解説しています。
まとめ:水槽用流木のすべて【流木の種類、アク抜き、掃除法を解説】
さまざまな形状がある流木は、一つ位置するだけで水槽の世界観を変えてしまいます。それほどの存在感を持つアイテムだからこそ、性質を知り上手に活用したいものです。
流木は飼育水を弱酸性に変える傾向がありますから、アマゾン系の熱帯魚や水草の飼育ではレイアウトアイテムとしてだけでない意味を持ちます。
形状の吟味、飼育生体への影響、レイアウト維持と完成形の追求など、流木が関係する要素はどれも奥深いです。
水槽にあった流木選びの参考になれば幸いです。