なぜ水槽にクーラーは必要なのか
年々熱くなっている夏場の気温。
真夏になると、ほぼ毎日のように気温が30℃を超えてきます。
みなさんも汗をかきながら通勤されていることでしょう。
家にいるときはエアコンをつけていると思いますが、外出しているときは節電の為にもエアコンを切っていませんか。
すると締め切った部屋の中はみるみる気温が上がっていき、帰ってくるとサウナ状態…
外の気温よりも室温のほうが暑くなっています。
水槽の水温は外気温。つまり、室温の影響を受けるため室温が高いと水温も上昇します。
水槽の大きさにもよりますが室温+3~5℃くらいが、水槽の水温です。
一般的な淡水魚の適切な水温は24~27℃、海水魚は23~25℃です。
夏場の30℃近い気温には耐えられないのです。
そこで、水槽の水を冷やしてくれる水槽専用のクーラーや冷却器が必要なのです。
魚も夏バテをします!詳しくはこちらをご覧ください↓
魚や水草、サンゴの最適な水温
生き物を飼育する上で水槽という作られた環境で飼育するからには、飼育する生き物がもともと生活していた環境を再現してあげなくてはなりません。
それは生物が環境にあった進化を遂げてきた為です。
動物園や水族館などでも同じことが言えるかと思います。
極寒の地域に暮らしているホッキョクグマやペンギンの展示してあるブースは、人口の雪が降っており窓からも伝わるくらい気温を下げた環境で飼育しています。
これは魚や水草、サンゴにも同じことが言えます。
一般的な観賞用の魚に適切な水温の目安として、
- 淡水魚 24~27℃
- 水草(淡水) 24~26℃
- 海水魚 23~26℃
- サンゴ(海水) 23~25℃
ただし、これらの水温は飼育する個体によって異なります。
淡水魚の中でもドクターフィッシュで知られているガラ・ルファはトルコの温泉にも生息しており37℃程度でも生息できると言われています。(試したことはありませんが…)
日本の清流に生息しているアユは15~18℃が適温とされています。
同じ淡水域に生息する水草は、魚に比べ水温の上昇に弱い種類が多いです。
夏場になると水槽内の水温が上昇し、有茎草の水草は葉っぱが溶けてしまいます。
ミクロソリウムなど陰性植物は、葉っぱが焦げたように黒ずみ、枯れてしまう前に子孫を残そうと子株を出します。
海水魚は淡水魚に比べ、さらに水温の上昇に弱いです。
最近では地球温暖化の影響により沖縄のサンゴは死んでしまう、白化現象が起きており、ニュースにもなっています。
もともと、沖縄など南の地域でしか見ることができなかった魚も水温の上昇により北上し、沖縄より北の地域でも見ることができることもあるそうです。
その他に、お寿司屋さんで見かけるアジやタイなどが泳いでいるいけす水槽は15℃程度で管理されています。
適切な水温を1℃でも超えたら死んでしまう、という訳ではありませんが、体力の低下によって状態を崩しやすくなります。
このように魚にとって水温は生命にかかわる重要なことです。
そのため、私たち人間よりも温度管理に気をつけなくてはならないのです。
機器選び
水槽用のクーラーは様々なメーカーが商品を展開しており、価格や性能も様々です。
数あるメーカーの製品がありますが、その中でもゼンスイとレイシーのクーラーはおすすめです!
ゼンスイ
大型水槽用のクーラーから自宅で使う小型水槽用のクーラーまで商品ラインナップが豊富です。
価格もリーズナブルでアフターフォローの対応もいい為、おすすめのメーカーです。
余談ですが、クーラー以外にもLED照明なども制作・販売しており、こちらもおすすめの商品です。
我々プロが最も使う照明の一つです!
ZCシリーズ
商品サイズもコンパクトで、静音設計です。
ゼンスイのクーラーは背面排気で、取り扱い方法も簡単でホコリを防止するフィルターも本体正面についている為、清掃などの手入れも簡単です。
価格、性能ともにバランスのとれた商品です。
構造もシンプルで、自分である程度のメンテナンスができるという点もいいですね!
ZRシリーズ
ZCシリーズに比べると価格がリーズナブルな設定の商品です。
ZCシリーズよりもコンパクトなZR miniという商品もあります。
リーズナブルとはいえ、その性能は折り紙つき。水槽サイズにあったクーラーを選びましょう!
ゼンスイ その他のラインナップ
http://www.zensui.co.jp/products/cooler
その他にも大型水槽や活魚水槽で使用する屋外用クーラーもあります。
完全に業務用ですが、様々な出力のクーラーが種類多くある為、ご自身の水槽にぴったりのクーラーを見つけやすいかと思います。
レイシー
株式会社イワキの展開するブランド、レイシーのクーラーは製品のクオリティが高く、コンパクトなデザインですが冷却能力が高いです。
製品の質もよく製品も長持ちします。
クーラーのほかにもポンプなどの商品も展開していますが、どの商品もおすすめです。
LXシリーズ
レイシーのクーラーは前面排気です。
ゼンスイとの大きな違いは、サーモコントローラーが別売りだということ。
しかし、このコントローラーはクーラーと配線で繋がっているだけなので、目線の高い位置に設置することが可能です。
レイシーのクーラーはゼンスイと比べると高価な印象を受けますが、このように細やかな使い勝手の良さが目を引きますね。
レイシー その他の商品
レイシーもゼンスイと同様、大小様々な商品を展開しています。
http://rei-sea.iwakipumps.jp/products/cooler/
投げ込み式クーラーなんていうものもあり、予算、レイアウト、メンテナンスの頻度など、様々な条件から商品を選ぶことができそうです。
クーラー選定・計算式
ご自身の水槽にぴったりのクーラーを見つける為には、損失熱量を計算しましょう!
クーラーは機種によって冷やすことのできる水量が決まっています。(冷却能力)
上記で紹介したクーラーはチラー式という方法で水槽の水を冷却します。
チラー式クーラー本体の中に配管がめぐっており、その中を水槽の水が循環しています。
クーラーは外気を吸い込み、水が循環している配管に風を当てること(空冷)でクーラーの中を循環してきた水を冷やします。
その為、室温や設置場所がどれだけ吸排気が確保されているかによって性能が変わります。
さらに水槽の付属機器(ライト、循環ポンプ、プロテインスキマー、殺菌灯など)が稼働した際に機器自体が熱を発します。
その熱によっても水温は上昇する為、クーラー選定の際には考慮しなくてはなりません。
ゼンスイのHPでは、水槽サイズや付属機器の損失熱量(ワット数)を入力すると、それらを考慮した水量を計算してくれる計算式を公開しています。
これを参考に適切なクーラーを選ぶといいでしょう。
まとめ
クーラーを選ぶ際は、以下の点に気をつけましょう!
- 夏場の飼育にはクーラーが必須(特に海水魚)
- 飼育する生体によって適正な水温が異なる
- 水槽サイズ、付属機器によってクーラーの冷却能力が変わるため適切な機器の選定が必要
- 室温が高かったりクーラーの排熱がこもるなどの、クーラーの設置環境が冷却能力に影響する
そして、ゼンスイとレイシーの違いを、それぞれのHPも参考に、簡単にまとめてみました。
- ゼンスイは背面排気、レイシーは前面排気
- ゼンスイは中国/韓国製、レイシーは国内製
- ゼンスイは比較的廉価、レイシーは高価
- 商品バリエーションはレイシーのほうが多い
- ゼンスイは購入後のアフターフォローが充実
- レイシーはコントローラー別売りのため、操作がし易い
- 類似スペック品同士で比べると、レイシーのほうが省エネ
- ゼンスイもレイシーも、クーラー以外の商品もオススメ!
いかがでしょうか?
どちらのメーカーも非常に使い勝手がよく、性能の良い商品を出しています。
ご自身の水槽の環境、飼育生体のことも考え、ピッタリの水槽用クーラーを探してみてください!
クーラーをお選びの際は、こちらの記事も参考にしてみてください↓
生き物が好きで動物関係の専門学校へ入学。
アクアリウムの飼育サークルへ入部し、アクアリウムの魅力に取りつかれる。
以降、自分の好きなものを仕事にしたいという想いからアクアリウム業界に勤めています。
自宅でも淡水魚や海水魚、サンゴなど様々な魚を飼育管理しています。実家では大型犬を4頭、出店で持って帰ったミドリガメを15年以上、家族の一員として迎え入れています。