アロワナなどの肉食魚を飼育する場合、他の熱帯魚と異なる飼育方法と言えること。
それは餌の与え方です。
肉食魚のため、金魚やコオロギなどの生きている餌を好んで食べます。しかし、だからと言ってただ金魚だけ与えれば良いという訳でもありません。
アロワナは、個体差によって食の好みが様々なため、金魚を与えても見向きもしない個体もいること、またある時から今まで食べていた餌を全く食べなくなるケースも良くあります。
ここでは、わたしが数多くのアロワナを管理してきた中で学んだ、アロワナに与える餌の種類と与え方について解説していきます。
アロワナの餌の種類について
アロワナは生き餌ばかりだと栄養バランスが崩れて体調を落とすケースもあるため、栄養バランスの取れた人工餌も併用して与えます。
それでは、おすすめの人工餌を解説していきます。
カーニバル
大型魚の嗜好として味はもちろん、匂いや色、食感で好みを左右させると言われており、その中でもカーニバルがとくにこだわっているのは食感です。
アロワナは見た目とは裏腹で、意外にも柔らかい食感を好んでいます。カーニバルは口当たりの良い食感を出すために、水に入れた時に柔らかくなるように作られています。
さらに、栄養価も高い人工飼料のため、与えることを強くおすすめします。
クリル
乾燥のエビです。
カーニバルと比較し、色も鮮やかで匂いも強いため嗜好性は高い餌です。
ただし、金魚などの生餌を併用して与えていると、エビクリルは食べなくなる個体を数多く経験しました。
そのようなケースに陥った際は、生餌を止めてクリルのみ与えるように変えました。そうすると、数日経過しお腹が空いてくれば再びクリルを食べるようになることが多かったです。
また、クリルには色揚げ効果があり赤いアロワナはより赤くなるとのことですが、残念ながらクリルを与えたから色が揚がったと明確に分かる経験がわたしはありません。
クリルだけ与えていた経験がないということもありますが、水質や光にも影響されると考えているので、色揚がりを優先する場合は、すべての環境をベストな状態へ整えてから、クリルを与えて色揚がり効果を検証することをおすすめします。
以上で、わたしがおすすめする人工餌の紹介は終了です。
続いて、おすすめの生き餌について解説していきます。
金魚
アロワナに与える代表的な生き餌と言えば、小赤と呼ばれる金魚です。
栄養価も高いのですが、入手が簡単で価格もお手頃なため最も多く与えられている生き餌です。
ただし、経験上最初は良く食べるのですが、ある時から食べなくなることが多い生き餌です。食べなくなったら、餌を与えることは一時止めて空腹状態にしてから再度与えるようにしましょう。
小赤を好んで食べさせる状態を作り続けることが、アロワナ飼育成功のカギとなります。
また、金魚はイカリムシなどの寄生虫を持ち込みやすいため、購入前に寄生虫など付いていないか、しっかりトリートメントを済ました健康な金魚なのか確認しておきましょう。
メダカ
メダカは幼魚のアロワナを飼育する際に与えます。
小赤がまだ口に入らず食べられないときの代用としてメダカを与えます。
ただし、メダカはそこまで栄養価が高くないため、カーニバルやエビクリルなどの人工餌を小さく砕いて併用させましょう。
ミルワーム
わたしの経験上、全てのアロワナが一番好きな生き餌がミルワームだと自信を持って言えます。
人工餌や小赤を食べなくてもミルワームだけは食べるという経験を何度もしてきました。
それほど、アロワナの食欲をそそる餌ということです。
しかし、ミルワームだけ与えているのは良いことではありません。
ミルワームは他の餌と比較し脂肪分が多いため、栄養の偏りが出てしまうこと、またミルワーム以外食べなくなってしまいます。ミルワームは、おやつとして与えるか、何日も他の餌を食べずに痩せてきてどうしようも無い時に与えるようにしていきましょう。
また、オーバーフロー濾過槽に落ちて死んでしまったミルワームの臭いは強烈です。
食べ残しのないように与えましょう。
コオロギ
ミルワーム同様、非常に嗜好性の高い生き餌です。
与えすぎて他の餌を食べないという状態を作らないよう注意しましょう。
虫かごを用意してそこで管理をする手間は増えますが、コオロギの飼育は簡単なので余分に購入してストックして置くことができます。
ただし、虫かごで飼育するため逃げ出さないようにフタの開閉時は逃げ出さないように注意しましょう。
アフリカツメガエル
非常に丈夫で鳴かないカエルです。
栄養価も高く良い餌なのですが、小赤などと比較しコストパフォーマンスが落ちるため、わたしは数回程度しか与えたことがありません。
アロワナの個体差にもよりますが、わたしが与えた時のアロワナは他の生き餌よりガツガツ食べるという記憶は残っていません。
何日か水槽内に泳いでいた記憶があり、あまり食べないなという印象です。
以上で餌の種類の説明は完了です。
次に、餌の与え方について解説していきます。
アロワナに最適な餌の与え方について
栄養価も高く人工飼料ということから、カーニバルなどの人工餌だけでアロワナを飼育する人もいます。
しかし、わたしが学んだ経験から申しますと、人工餌と生餌の併用がベストです。
アロワナは人工餌だけだと何となく元気が無いように見えます。
おすすめの併用方法について解説いたします。
人工餌と生き餌の併用方法
わたしがおすすめする餌の与え方は、1日に1回カーニバル+エビクリルの人工餌を与え、1週間~2週間に一度生き餌である小赤を与える方法です。
そうすることで、生き餌に慣れすぎず栄養バランスの取れている人工餌主体の給餌スタイルを作ることができます。
この方法でルーティンワークを作り、万が一餌を食べなくなる時が来たら、PHを計測します。規定値内なら餌に飽きてきているため、ミルワームやコオロギといった嗜好性がとくに高い餌を与えて戻していきましょう。
餌の併用方法は以上です。次に餌の量について解説しています。
アロワナに最適な餌の量
これは一般的な熱帯魚以上に、食べ残しが出ないよう注意しましょう。
アロワナはとくに餌へのこだわりが強い魚です。
水槽内に餌の残りや食べきることできない生き餌がいつまでも泳いでいるとボケ食いという現象を引き起こします。
ボケ食いとは、常に目の前に餌があることで餌としての認識が薄れていき食べなくなる現象です。
つまり、餌として与えた金魚を食べきることができず水槽内に数日間残った場合、いつの日か金魚を餌として興味がなくなり食べなくなってしまうのです。この状態になってしまうと、再び興味を持たせるように戻すのは大変です。
アロワナを飼育管理する上で餌が残ることだけは、絶対に避けるようにしましょう。
次に、餌の大きさです。
最適な餌の大きさは、アロワナが無理なく口にはいる大きさを選定しましょう。
人工餌の場合は、最適なサイズに砕いて与える、生き餌の場合はアロワナの口に見合ったサイズの生き餌を用意しましょう。
アロワナは口より多少大きくても無理やり一口で飲みこうもとしますが、誤って窒息死してしまうこともあります。
最悪なトラブルを回避するためにも、餌を選ぶときは余裕をもって食べることができるサイズにしましょう。
まとめ: アロワナに最適な餌を解説 水槽メンテナンスのプロが学んだ餌の種類と与え方
いかがでしたか。
肉食魚の代表であるアロワナの餌についてお分かりいただけましたか。
肉食魚ということもあり、生き餌主体で与えていかなければならないと想像していた方も多いですが、実際は栄養バランスの取れた人工餌主体、そして生き餌は少量で問題なくベストな飼育管理ができます。
さらにアロワナは肉食魚で有名なピラニアと異なり、金魚などの生き餌を一口で丸のみして食べるため食事風景もおぞましい光景を見ることはかなり稀です。
そういったところも、飼育者にとってのアロワナの魅力です。
アロワナは頭の良い生き物です。
普段餌をくれる人にはとても懐くため、熱帯魚の中でもとくにペット感覚を感じることのできる貴重な存在です。
コケ取りなどのメンテナンス時も、毎回少しずつ体を触ったりしていくと敵でないと安心してメンテナンス中の飛び出し事故など限りなく無くすことができます。
まさに、飼育者の腕が試さる魅力のアロワナ。
もし、今現在アロワナ飼育チャレンジに悩まれている方がいましたら、一歩足を踏み入れて深い魅力のあるアロワナと素敵なアクアライフを過ごしてみてはいかがですか!?
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
よろしくお願いいたします!