購入した当初は、ピンクや赤といった石灰藻に覆われた美しいライブロックも時間の経過とともに黒ずんでいき、年単位で当初の美しさを保つのはなかなか難しいのが現状です。
ライブロックが弱っていくとそこから汚くなり、本来の水質浄化作用が低下することはもちろん、鑑賞面においても水槽内が暗くなってしまい水槽の美しさにまで悪影響を与えてしまいます。
ライブロックを美しく保てるのか?について結論から申し上げれば、一般家庭でもポイントを抑えれば3~10年程度なら美しく維持管理することはできます。
ここでは、わたしが実際に考え導き出し実体験結果を基にした、ライブロックを長期間綺麗に維持管理する方法について解説していきます。
水質管理の徹底
ライブロックを綺麗に維持管理するには、サンゴ水槽同等の水質レベルを保つ必要があります。
その理由として、ライブロックに付着する石灰藻を維持または繁殖させるにはKH値を常に自然海と同等かそれ以上にしなければなりません。
では、KH値を自然界以上に保つための方法をご紹介していきます。
カルシウムリアクターの設置
KHを適正値に維持するには、カルシウムリアクターを設置することが一番簡単な方法です。
専用のカルシウムメディアに二酸化炭素を添加し溶かすことで、KHの値を高い値でキープさせることができます
あとは、試薬を使い現在のKHを計測し、水槽のKHが7~8程度になるようカルシウムリアクターへ接続されている二酸化炭素の添加スピードを調整するだけです。
なるべく手間をかけずにKH値をキープするには、カルシウムリアクターを使用することをおすすめいたします。適正値をキープできればみるみる内に石灰藻が繁殖し美しい姿に変化していきます。
水換え作業
KHを安定・向上させる方法として、人力による水換え方法もおすすめです。
なお、水換えで石灰藻を維持、繁殖させる場合は、サンゴ専用の栄養高濃度の人工海水を使用しましょう。
サンゴ専用人工海水は、普通の人工海水より栄養価が高い仕様です。そのため、石灰藻の維持や増殖に優れており、KH値も自然の海より少し高い値で生成されるようになっています。
デメリットとしては、水槽のKH消費量に合わせて水換え頻度を調整する必要があり、消費スピードが速い水槽ほど水換え頻度を上げなければならず手間とコストはかかります。
しかし、水換えをすることでKH以外の水質も向上しますし、硝酸塩などの有害値を低下させる目的としても作用されるためおすすめです。
添加剤の使用
KHを上昇させるKHバッファーなどの商品があり、これを入れれば一時的にKHは向上します。
ただし、使用してみて分かったことは初心者は使用を控えるべきです。
KHバッファーを使用しても、一時的に上昇するだけで長続きしないからです。KHだけ上昇させてもその他の値も上昇しなければ、ライブロックに付着する石灰藻の維持や繁殖は期待できません。
また、KHバッファーを使いすぎると、商品によってはイオンバランスが崩れ逆効果となる場合もあります。そこの線引きがなかなか難しいため、ベテラン向きのやり方とも言えます。
海水魚水槽の水質はKHが適正ならその他の水質も適正値になっていることが多いため、今回はKHに着目して解説させていただきました。
次は、水流について解説していきます。
ライブロックに適した水流
ライブロックは多孔質の特徴を持った岩です。
この無数に開いた穴に水が出たり入ったりすることで、バクテリアが住み着き浄化作用をもたらします。
ライブロック内の無数の穴にゴミが詰まると、穴の中まで新鮮な水流が届かなくなってしまうことで、ライブロック内の微生物が死んでしまいます。
ライブロックに住み着く微生物が死んでしまえばそこからライブロックは衰弱していき、段々と質の悪いライブロックになってしまいます。
このことから、日々の管理の中でもライブロックにゴミが詰まらないように工夫をする必要があります。
サブポンプの設置
水槽内に滞留場所が発生しないようにメインポンプの他に、サブポンプも設置しましょう。
ライブロックの上にゴミや塵などが積もることがなければクリアです。
サブポンプの理想的な設置場所として、メインポンプの対角線上に設置することをおすすめします。そうすると水流がぶつかりあい水槽底まで新鮮な水を循環させやすくなります。
水槽底の砂がめくれないギリギリにラインで水流を調整できるようにしましょう。
ライブロックの組み方を工夫
ライブロックにゴミが溜まりにくいようにするには、ライブロックの組み方にもコツがいります。
出来るだけ、岩と岩の間に隙間を設けて通水性を高め、水槽内に淀みができないようレイアウトを組みましょう。砂にライブロックを置く接地面まで気を配り、できるだけ接地面積が少なくなるよう意識して置いていきましょう。
最後に無くてはならない、生物によるライブロックのケア方法をご紹介します。
生物によるライブロックのケア方法
ライブロックから不要なコケや海藻が生えてきた時に、すぐに除去をしてくれる生物の存在はとても大きく必要不可欠です。
シッタカ貝
ライブロックの表面に発生したコケを綺麗にするには、シッタカ貝が最も有効です。
まだ、ライブロックが綺麗な状態でも予防として早めに入れておきましょう。
ハギ類
ライブロックから発生した海藻を除去するには、フチドリカワハギなどのハギ類を入れておくと効果絶大です。
専門店のライブロック販売水槽にハギが泳いでいるのをご覧になったことがあるかとおもいますが、その理由は不要な海藻を食べるために入れています。
まとめ: 【プロが解説】ライブロックをきれいに維持して長持ちさせる方法とは
いかがでしたか。
ライブロックを綺麗にする方法お分かりいただけましたでしょうか。
今のわたしは、サンゴ用人工海水で水換えを1~2週に1度水量4分の1程度行い、石灰藻の繁殖したライブロックを維持管理させることに成功しています。
過去にカルシウムリアクターを設置し管理していた時にも、簡単にライブロックを綺麗に管理することができました。正直、ライブロックを綺麗にすることだけなら水換えより簡単に綺麗に維持管理できていました。
ライブロックはサンゴと同じ、ワシントン条約のアペンデックス(付属書)Ⅱに属されている貴重な生き物です。
巡り巡って手元に届いたライブロックをただの岩だと思わず、綺麗に維持管理するぞという強い決意を持って大切に飼育していただけることを切に願っております。
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
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