魚の飼育水に向いている水とは!水道水とミネラルウォーターの違いについて

熱帯魚を飼育するとき、機材をそろえたり水槽を選んだりと何かと物入りですよね。
しかし、意外と飼育水についてまでは考えが及ばないことも多いです。

人が飲んでおいしいと感じるのはミネラルウォーターかもしれません。
しかし、熱帯魚の住処とする飼育水もミネラルウォーターのがよいのでは?という考えはちょっと早計です。

熱帯魚の飼育水に使ってよい水には条件があり、間違った水を使ってしまうと生き物にダメージを与えてしまうかもしれません。

今回は、飼育水に向いている水や、水道水とミネラルウォーターの違いについてをお伝えしていきます。

魚の飼育に向いている水とはどんな水?

熱帯魚の飼育の仕方などを調べてみると、よく水質という言葉が出てきますね。
『この魚が好む水質は弱酸性の軟水です』といった具合です。

この水質、実際にはどんな水なのか、具体的にはわかりづらいこともあると思います。
ここで少し、水について解説しておきましょう。

水の硬度について

水には硬度というものが設定されています。軟水、硬水というのが硬度です。
水にはミネラルが含まれているのですが、その中でもカルシウムとマグネシウムの合計含有量によって硬度が変わります。

先ほど例に出した『この魚が好む水質は弱酸性の軟水です』の場合は、カルシウムやマグネシウムの少ない軟水が好ましいということになります。

水のph値について

次にph値についてです。

水に限らず水溶液には、ph値(ペーハー値)と呼ばれる性質があります。

学生時代に理科の実験でリトマス試験紙を使ったことはありませんか?
リトマス試験紙はまさにph値を測る道具です。
水の性質には酸性~中性~アルカリ性があり、ph値7.0が中性です。7.0から値が下がるほど酸性に水質が傾き、上がるほどアルカリ性になります。

先ほどの例で出てきた弱酸性の場合は、ph値は6.0が目安です。

魚の飼育に向いている水質は?

一般的に淡水魚は、弱酸性の軟水を好む魚が多いですが、種によっては弱アルカリ性や硬水を好む魚もいますので、下調べをしたうえで飼育するようにしてください。

また、飼育している魚の好みの水質になっているかは、検査薬などを使用して定期的にチェックし続ける必要があります。

水道水とミネラルウォーターは何が違うの?

日本の水道水は世界でもトップクラスの綺麗さで、当然のように飲むことができます。
また、ミネラルウォーターもたくさんの種類が販売されていますし、ウォーターサーバーを使用する方もいるでしょう。
日本は水の選択肢がとても多い国なのです。

しかし、水道水とミネラルウォーターの違いを説明できる人は案外少ないのではないでしょうか。
同じ水でも、水道水とミネラルウォーターには実は明確な違いがあります。

安全基準が異なる

水道水とミネラルウォーターでは、安全の基準となる法律が異なります。

水道水は水道法という法律に従って安全が確認されており、細菌の有無や成分などが厳しくチェックされています。
一方ミネラルウォーターは、食品衛生法に従っており、こちらは、水道法に比べるとチェック項目が少なく一部の基準値も水道法に比べると緩やかです。

そのため、安全基準という観点からいえば、ミネラルウォーターよりも水道水のほうが厳しくチェックされた安全な水ということになります。

水質が異なる

水道水は、その土地の水を利用していることから水質が一定ですが、ミネラルウォーターは世界各地の水を利用していたり、成分を人工的に変えていたりするので、水質は商品によって様々です。

特に硬度は、硬水、軟水様々なものが販売されています。

魚の飼育に向いているのは?使っていい水、悪い水

魚の飼育に向いているのは水道水?

水道水とミネラルウォーターについて違いを説明してきましたが、日本で飼育するのであれば、飼育に向いているのは水道水です。

多少の地域差はありますが、基本的に日本の水道水は中性の軟水であり、熱帯魚を飼育するのには向いている水質です。

対して、ミネラルウォーターには様々な種類があり、中には熱帯魚飼育に向いていない水質のものもありますので、飼育水にはおすすめできません。

また、ミネラルウォーターには殺菌目的のカルキが含まれておらず、水道水と比べて雑菌が繁殖しやすい環境にあります。
コスト面からも水道水のが安いので、わざわざミネラルウォーターを使用するメリットは無いでしょう。

水道水を熱帯魚の飼育に使う時の注意点

GEX コロラインオフ 塩素・クロラミン中和 カリウム配合 速効性カルキ抜き500cc

熱帯魚の飼育には水道水が向いていますが、そのままでは使用できません。
必ずカルキ抜きをしてから、水槽に入れるようにしてください。

水道水に殺菌の目的でカルキが含まれています。
水道水に含まれている程度のカルキを人間が摂取しても害はありませんが、小さな熱帯魚にとっては有害で、魚によっては死因になってしまうぐらいのダメージを負うこともあります。

カルキは、水道水を太陽の当たる日向に、屋内ならば2~3日、屋外ならば6時間以上置いておくか、中和剤を使用することで抜くことができます。

浄水器やウォーターサーバーの水は使っていいの?

水道に浄水器を設置している方も多いと思いますが、浄水器の水を熱帯魚の飼育水にしてよいのか疑問ですよね。

実は、浄水器の水を飼育水にしても、あまりメリットはないようです。

浄水器によってカルキが抜けるという話もありますが、機種によって性能が異なります。
確実性を考えると、結局のところ浄水器を使用した水を使う場合でも、カルキ抜きの作業は必要です。

また、一説には熱帯魚には有用なミネラル分を浄水器で除去してしまうともいわれているため、カルキ抜きした普通の水道水を使用したほうが無難でしょう。

また、最近ではウォーターサーバーが家庭に普及していますが、ウォーターサーバーの水もミネラルウォーターと同様、飼育水に向いていない水質の可能性がありますので、飼育水にするのは控えたほうよいでしょう。

まとめ:魚の飼育水に向いている水とは!水道水とミネラルウォーターの違いについて

水道水とミネラルウォーターには明確な違いがあることがお分かりいただけたでしょうか。

結局のところ、魚の飼育水にはカルキを抜いた水道水を使用するのが一番です。

カルキ抜きの手間を省きたい気持ちはありますが、ミネラルウォーターなどの水の成分を正確に把握するのはなかなか骨が折れます。
熱帯魚に合っていない水かもしれないリスクや、コストを考えると、ミネラルウォーターを飼育水にするメリットはないに等しいです。

せっかくの美味しい水です。ミネラルウォーターは人間の飲料水として、魚たちには水道水で飼育水を作ってあげてください。