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サンゴを色揚げして綺麗に育成! プロが実践する育成方法を解説します

海水魚飼育を行っているアクアリストの多くは、サンゴの育成も行っていることが多く、綺麗な色がでないと頭を悩ませることが多いです。単純にサンゴを育てるのであれば、水槽用照明選びを間違わなければ失敗することは少ないです。しかし綺麗な色を出すには、水質や給餌といったことも考える必要があります。

海水魚飼育初心者やアクアリウム初心者だと、水質と光量維持でいっぱいで給餌まで気付かない人が多いです。今回はサンゴの色揚げを中心に、サンゴ育成のポイントについてお話していきます。

サンゴの色揚げを成功させるにはどうしたらいい?

ひと昔前のアクアリウムの世界では、サンゴをどう育成するかが問題になっていました。しかし近年は科学技術の発達でサンゴに必要な波長がわかり、LED照明でもサンゴを育てることができるようになっています。

そして今マリンアクアリウムを行っている人たちの間では、いかに発色のよいサンゴを育てるかということが問題になっています。サンゴの色を維持しつつ、さらに発色をよくする「色揚げ」を行うには、水質」「照明」「給餌」の3つのポイントをしっかりと押さえる必要があります。

基本的なサンゴの育て方を知りたい人は、こちらの記事をご覧ください。

サンゴの色揚げによい水質とは?

サンゴの色揚げを考えるのであれば、まずは水質を改善しましょう。サンゴの色揚げを行う前提として、サンゴに悪影響を与える亜硝酸や硝酸塩といった有害物質がない「清浄な水質」が必要となります。清浄な水質を維持するためには、次のような道具を使用しましょう。

プロテインスキマー

ゼンスイ ニオス クァンタム 120 (50Hz用)

プロテインスキマーはマリンアクアリウム専用の機械で、サンゴ以外の生物にも有益な効果を発揮します。

海水は塩分などさまざまな物質が含まれています。プロテインスキマーは、海水に細かい空気を送ると、不純物や細菌といったものが泡状になって水面に浮いてくる性質を利用して、亜硝酸や硝酸塩などを取り除く仕組みになっています。

プロテインスキマーを使用して綺麗な水質を維持することで、ろ過装置の負担を減らし、塩ダレをさせることなく水中に酸素を送ることができます。また水質がクリアになることで、水の黄ばみ・臭い・コケの発生を抑えることができるなど、メリットが大きいです。

こちらの記事でおすすめのプロテインスキマーをご紹介しています。

プロテインスキマーを使用するなら添加剤も使用したほうがよい?

天然の海水には約77種類の栄養素が含まれており、プロテインスキマーやろ過装置で必要な栄養素が除去されてしまうことがあるんです。そのためマリンアクアリウム水槽では不足してしまう栄養素を添加する必要があります。マリンアクアリウムで定期的に添加したいのは次に挙げる栄養素です。

カルシウム

カルシウムはハードコーラルの骨格を作るのに必要な栄養素で、定期的に添加する必要があります。またSPSの場合不足してしまうと白化してしまうこともあります。添加の際はイオンバランスを崩さないよう、添加量に気を付けましょう。最近では添加剤ではなくカルシウムリアクターを使用して、カルシウムを供給している人も多いです。

カルシウムリアクターについてはこちらの記事で詳細を解説しています。

マグネシウム

マグネシウムもカルシウムと同じく、定期的に添加する必要があります。これはなぜかというと、水中のマグネシウムの濃度が低いと、カルシウムが炭酸塩イオンと結合してしまい沈殿してしまうためです。

ストロンチウム

ハードコーラルに重要なストロンチウムは、サンゴの骨格形成に影響のある栄養素で、水槽内では不足してしまいがちな成分なので定期的に添加しましょう。

カリウム(ポタシウム)

カリウムはハードコーラルの骨格形成のほか、SPSの色揚げ効果が期待できる栄養素です。こちらも不足しがちになるので、様子をみながら添加を行います。

ヨウ素(アイオダイン)

ヨウ素はサンゴにとってとても重要な成分です。ヨウ素を添加するかしないかで、サンゴの開き具合が変わってきます。しかし吸着剤やプロテインスキマーで除去されてしまうため、定期的に添加する必要があります。

鉄分

鉄分はサンゴだけでなく海藻類の光合成に必要な栄養素ですが、過剰に添加してしまうと水槽内にコケが大量発生してしまいます。添加量には気をつけましょう。

ビタミン・アミノ酸

ビタミンやアミノ酸はサンゴだけでなく魚など他の生き物にも必要な栄養素です。これらの栄養素も生き物やサンゴの様子を見ながら与える必要があります。

添加剤についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

硝酸塩濃度測定キット

マリンケアプログラム レッドシー 硝酸塩/亜硝酸塩テストキット(NO3/NO2) 海水用

硝酸塩濃度測定キットは文字通り水槽の水に含まれている硝酸塩の濃度を測定できる道具です。サンゴや海水魚の種類によって硝酸塩濃度の基準はまちまちです。硝酸塩測定キットを使用することで、現在の水槽で飼育できる海水魚やサンゴの種類を知ることができます。

また餌の食べ残しやフンなどから硝酸塩は発生するので、水換えのタイミングを調べることもできるというメリットがあります。

サンゴのいる水槽では魚の数は少ないほうがよい?

サンゴを育てるためには、綺麗な水質を維持する必要があります。海水魚やエビ・貝類をいろいろと入れたくなってしまいますが、生き物を入れることで餌の食べ残しやフンから有害な物質が発生してしまいます。そのためサンゴを入れている水槽は魚やエビ・貝類を少な目にしたほうが、綺麗な水質を維持しやすいです。

色揚げを行うときは照明に注意しよう

最近はサンゴ育成が可能なLED照明なども登場し、サンゴの育成が行いやすくなっています。

サンゴを育てる時は、サンゴが光合成を行うのに必要な波長を含んだ照明を選ぶのは基本中の基本です。さらに色揚げ効果も得たいというのであれば、サンゴが最も綺麗に見える照明を選ぶ」のがポイントです。サンゴが綺麗に見える照明を選ぶことで、照明の色合いに向けてサンゴは綺麗に仕上がっていきます。

また水槽内でサンゴを設置する場所にも気を付けましょう。どこに設置するか悩んでしまう場合は、水槽の外から見てサンゴが一番きれいに見える場所に置くと水槽の見栄えもよくなります。照明は、点灯する色を変えることのできる、システムLEDがおすすめです。

システムLEDやサンゴ向きの照明については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ブルーライトだけでは育たない点に注意!

いくらサンゴが綺麗に見えるからといって、ブルーライトだけにするのはNGです。基本的にブルーライトだけだとサンゴが光合成を行うのに必要な波長が少ないためです。サンゴを健康な状態で育てるには、赤や橙、緑などの波長も必要になります。

サンゴは太陽の光に含まれているUV(紫外線)も重要になってきます。UVに含まれている400mm前後の可視光線は、サンゴの色揚げに影響しているんです。そのため、LEDライトを選ぶ時はUVの入っているものを選ぶ必要があります

余談ですがハワイなどでサンゴ対策として日焼け止めが禁止されたのは、日焼け止めに含まれているUVカット成分が海中に溶け出すことで、光合成に必要な波長がサンゴに届かなくなってしまうためです。

サンゴ用フードで色揚げ効果をUP!

レッドシー (RedSea) RCP リーフエナジーA&Bパック 各100ml

ひと昔前のアクアリウムの世界では、SPSなどのサンゴには給餌は不要だと考えられていました。

しかし最近になって健全で綺麗なサンゴになるように育てるには、SPSなどのサンゴにも給餌をしたほうがよいということがわかってきています。

サンゴ用のフードでおすすめは、レッドシーのコーラル用フード「リーフエナジーA/B」です。サンゴ用フードは動物性プランクトンが含まれているものを選びましょう。

まとめ:色揚げのポイントを抑えてサンゴの綺麗な色を維持しよう!

今回はサンゴの色揚げについて解説しました。サンゴの色揚げを行うには、まず最初に綺麗な水質を維持する必要があります。そしてサンゴに必要な海水中の栄養素もきちんと与えたうえで、照明やサンゴ用フードを与えましょう。

発色がよくなったからと照明やサンゴフードの供給などを怠ると、すぐに色あせてしまいます。ただ育てるだけならそれでも良いですが、綺麗な状態を維持したいのであれば継続する必要があります。

マリンアクアリウム初心者の場合は、海水魚などの飼育に慣れてからサンゴ飼育に取り組んだほうが成功しやすいです。

今回解説したポイントを抑えて、健康で綺麗なサンゴの育成に取り組んでください。