アクアリウムを運用するうえでフィルターのメンテナンスは欠かせない作業で、水槽内部と同様に定期的に洗浄などを行う必要があります。それは外部フィルターも例に漏れず、飼育環境を適切に維持するためには定期的に内部の洗浄や、ろ材の交換などの保守作業が欠かせません。
ところで、皆さんは外部フィルターのホースやタップのチェックを行っているでしょうか。ホースやタップは使用し続けていると、経年劣化により硬化・損傷することがあります。すると接続箇所の密封が不可能になり、水漏れが発生してしまうので定期的に交換しなければなりません。
ここでは、経年劣化で外部フィルターのホースとタップが、硬化・損傷することで招く危険性についてご紹介します。
ホース・タップの劣化について
外部フィルターのホースやタップは、使用し続けていると経年劣化により硬化してしまいます。ホースはそれ自体が硬くなって伸縮性が失われ、伸びて緩みが生じたり逆に縮んで流量の低下を招くこともあるうえに、ひび割れが発生する恐れもあります。
タップに関しては内部にあるゴムや樹脂製のパッキンが劣化・損傷して密封できなくなってしまいます。これらが劣化してしまうと水漏れが発生してしまい、アクアリウムからの漏水は様々な弊害をもたらします。
経年劣化の危険が増大してくる期間の目安としては3年ほどと言われているので、同期間以上に使用している部品については経年劣化による硬化や損傷がないか、日常のメンテナンス時によくチェックしておきましょう。
劣化したホース・タップからの水漏れが招く危険について
水漏れによる被害
ホースやタップが経年劣化により硬化してしまうと、水漏れのリスクが上昇します。ホースの伸縮性が失われて緩んでしまうと各部との接続箇所から、硬化によりひび割れが生じるとその場所から漏水する危険があります。
タップについても同様で、内部のパッキンが経年劣化により損傷すると密封することができずに水漏れが発生します。漏水してもすぐに対処できる状況なら良いですが、出張や旅行など長期不在時に水漏れが起きると大ごとです。
60cmの規格水槽でも水は約65Lが入るので、部屋が水浸しになるのはもちろんのこと、集合住宅だと階下に浸水する恐れがあり、その際に家財道具などに被害が出た場合は損害賠償請求を受けることもあります。
そのため、集合住宅でアクアリウムを運用している方の中には、「個人賠償責任保険(日常生活賠償責任)」に加入している方もいます。とにかく、アクアリウムの漏水事故は想像以上に大きな被害が出る可能性があるため、ホースやタップの劣化には十分な注意が必要です。
水漏れによる電気火災
劣化したホースやタップから水漏れが生じると、漏れた水が電源タップやコンセントにかかることで、電気火災が発生する可能性があります。電気火災とは読んで字のごとく、電気が原因で発生した火災を指します。
劣化したホースやタップから漏れた水がコンセントや電源タップにかかることで、ショートしたり周辺の埃が湿度を含みトラッキングが起きて火花が散り、可燃物に燃え移ることで火災に発展するのです。
特に、海水は淡水と比べて電気を通しやすく、漏水すると火災につながりやすいので、マリンアクアリウムを運用している場合はより注意が必要です。
水漏れによる電気火災を防止するためには、ホースやタップのチェックを怠らないことは基本ですが、次に示すことを行っておくと保険になります。
まず、複数の機器で電源を確保するための電源タップは、床に直接置かずに水槽より高い位置か水槽台の天板の裏など、水がかからない場所に設置しましょう。次に、大きな地震が発生した時のことも考えて、コンセントに屋外用の防水カバーを取り付けることが効果的です。
また、床に近い位置にあるコンセントに接続する時は、コードを伝って漏れた水がコンセントに入らないように、接続部の手前でU時になるようにたるませておくことも有効です。
カビ・害虫の発生
水漏れに気が付かずにいると、漏れた飼育水によって常に湿った状態になるので壁や床、水槽台などにカビが発生するリスクが上昇します。
さらに、飼育水は生体が発する有機物が豊富に含まれているので、それらを栄養分として利用できるゴキブリやコバエなどの害虫を引き寄せてしまう恐れもあります。
アクアリウムは生体の餌や、薄暗く湿度が上がりやすい水槽台の中など、ただでさえ害虫を引き寄せやすい環境がそろっているので注意が必要です。
交換用ホース・タップの入手法
交換用のホースやタップを入手するには、ネット通販を利用することが最も容易です。最近では、メーカーがそれぞれの製品について、ホースやタップなどの消耗品に関しては、自社のネット通販サイトを通して個別に販売してくれることも普通です。
ただし、古い製品に関しては生産自体が終了していることもあるので、注文したい部品が通販サイトに見当たらない場合は問い合わせてください。
メーカーの通販のデメリットとしては送料もかかることが普通なので、やや値が張ることが挙げられます。消耗品と割り切って価格を抑えたい場合は、ホームセンターなどで代替できるものを探すことになります。
メーカー純正品以外でもサイズさえ合えば問題なく使用できますが、逆に言うとサイズを間違えてしまうと即水漏れにつながるので、購入時はよく確認してください。
まとめ・硬くなったホース・タップが招く危険性と交換の重要性について
ホースやタップは外部フィルターには欠かせない部品ですが、これらは使用し続けていると経年劣化により硬化・損傷していきます。すると各部との接続箇所が密封できなくなり、水漏れが発生してしまいます。
アクアリウムの水漏れによる被害は部屋が水浸しになるだけでなく、大規模な建物火災につながることもあるので侮れません。
アクアリウムによる思い出を良きものにするためにも、外部フィルターを使用する際は日頃からホースとタップの状態を確認し、劣化が見られたら早めに交換しておきましょう。
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そうなんです。漏れが怖くて外部フィルターに出来ません。30cm水槽なのでmustではないと思いますが、やはりペットによい環境を整えてあげたいと思っていますが—
外部フィルターと水漏れは切り離せない問題です。ペットのために環境を整えたいお気持ちはよくわかります!外部フィルターは使い勝手や能力などが優れていますよね。定期的にホースの劣化をチェックすれば問題なく使用できますので、大丈夫と思います。(恥ずかしながら、点検を怠って部屋を水浸しにしたことがあります。)あくまで予防策ですが、ホースにはホースバンドを装着して使用すると良いです。