マリンアクアリウム中級~上級者にはお馴染みの「リフジウム水槽」ですが、最近始めたばかりのマリンアクアリウム初心者には馴染みがなく、聞いても「何のこっちゃ?」と思うことでしょう。
リフジウム水槽はメイン水槽を維持するためのサポート用のサブ水槽のことで、リフジウム水槽を作ることで様々なメリットが発生します。
今回はマリンアクアリウム初心者に向けて、リフジウム水槽とはどんなものなのか、リフジウム水槽の作り方やメリットなどについて解説していきます。
リフジウム水槽とは?
「リフジウムとは、メイン水槽に接続した海藻を飼育している隔離水槽」のことを指します。
隔離水槽となっているリフジウム水槽とメイン水槽で水を循環させることで、リフジウム水槽で発生したプランクトンなどがメイン水槽へ移動、そして硝酸塩などコケ発生の原因となる物質が、リフジウム水槽に吸着される仕組みになっています。
ひと昔前は水槽の上に、小さなオーバーフロー水槽を乗せ、その中に海藻を入れ飼育するスタイルや、メイン水槽横にリフジウム専用水槽を設置して、メイン水槽と連結させて運用している方が多かったです。しかし現代では、コケの吸着性よりも海藻から発生する「プランクトン」が注目を浴びています。
また鑑賞面を重視すると見た目が気になるため、水槽の上に設置せず濾過槽内にリフジウム水槽を設置する方も多いです。
リフジウム水槽に必要な機材と作り方
「リフジウム水槽=隔離水槽」ということで、連結するのが難しいと思われがちですが、実はとても簡単に作ることができます。
用意するもの
・メイン水槽
・隔離水槽
オーバーフロー水槽の場合は、濾過槽をそのままリフジウム水槽として利用することができます。通常の四角い水槽の場合は、隔離水槽の置き場所に余裕がないのであれば、市販されているサテライトをリフジウム水槽にするとスペースを取らずにリフジウム水槽を作ることができます。
・照明
リフジウム水槽では海藻の光合成を促すために、照明が必要となります。コスパなどを考えると、LED照明がおすすめです。
リフジウム水槽の作り方
メイン水槽の中にサテライトなどで隔離場所を作り、その中に海藻を入れます。そしてフルスペクトルのLEDライトのような、海藻を育てることのできる照明を24時間当てるだけです。
メイン水槽がオーバーフロー水槽の場合には、濾過槽に海藻を入れ、照明を設置するだけでリフジウム水槽が完成します。ただしこの場合、濾過槽のポンプが海水をくみ上げるときに海藻が巻き込まれることがあるので、ポンプや海藻の位置に気をつけましょう。
マリンアクアリウム初心者でも、この方法なら簡単にリフジウム水槽を作り環境を維持しやすいです。マリンアクアリウム歴が長くDIY好きな人などは、水槽や配管パイプを加工してオリジナルのオーバーフロー水槽でリフジウム水槽を自作する人もいます。
リフジウム水槽に底砂は必要?
海藻は根を持っていますが、この根から海底の砂のから栄養を吸収することはほとんどありません。海藻の根は、岩や砂利に絡まることで、その場所に固定するために使われることがほとんどです。海藻を長生きさせるためには、きちんと底砂やライブロックを入れて、活着させてあげる必要があります。
さらに底砂を入れて嫌気層を作ることで、バクテリアも繁殖しやすくなるので、厚さが薄くてもよいので、底砂は入れるようにしましょう。
リフジウム水槽におすすめの海藻
リフジウム水槽では、以下のような条件を持つ海藻が好まれます。
- 丈夫であること
- 硝酸塩の吸収が多い
- 成長が早い
この理由から「ジュズモ」や「海ぶどう」を好んで使用する人が多いですが、「ヘライワズタ」も、育成が簡単ですしプランクトンや微生物が大量発生するのでおすすめですよ!
ただ海藻は購入時の状態が悪いとどんどん症状が悪化してしまいます。
特にヘライワヅタはしっかり濃いグリーンの個体を購入しましょう。
24時間照明を当てる理由
海藻も光合成を行うために照明が必要ですが、リフジウム水槽では24時間照明を当てる必要があります。これはなぜかというと海藻は光が当たっていると絶えず光合成を行うので、フル稼働で硝酸塩を吸収させることができるからです。
さらに24時間照明を当てることで、「性繁殖」という海藻の寿命を減らす原因を防ぐことができ、海藻の寿命が延びるというメリットがあります。
しかしサンゴは夜間はしっかりと休ませてあげる必要があるので、夜間にリフジウム水槽の光が当たらないよう、照明を設置する位置に注意しましょう。
リフジウム水槽のメリット
リフジウム水槽を作ることで、次のようなメリットを得ることができます。
硝酸塩の濃度を低下させコケの発生を抑制する
リフジウム水槽の海藻は光合成を行うために硝酸塩を吸収するため、メイン水槽内の硝酸塩濃度を低下させることができます。硝酸塩濃度が上がる速さを抑えることでができれば、メイン水槽内のコケの発生を抑制することができます。
隔離水槽としても使用可能
メイン水槽内でいじめなどが発生した場合は、リフジウム水槽をいじめられている魚の隔離水槽として使用することができます。
リフジウム水槽の注意点
リフジウム水槽はその役割的に、微生物やバクテリアだけでなく、コケも大量に発生してしまいメイン水槽よりも汚れてしまいます。あまりにもコケが生えていると、掃除しなければと思ってしまいますが、リフジウム水槽のコケは取り除いてはいけません!
リフジウム水槽内のコケは、バクテリアや微生物が繁殖するのに役立つからです。
また海藻の寿命にも気を付けましょう。24時間照明をつけることで寿命を延ばすことはできますが、数年すれば必ず死んでしまいます。また購入時の状態がわるければ、傷んだところから溶けてしまうこともあります。
悪くなった部分はカットする、枯れてしまった海藻の根はきちんと取り除きましょう。傷んだ部分や枯れた海藻の根を放置しておくと、水質悪化の原因になってしまいます。
まとめ:メリットの大きいリフジウム水槽でメイン水槽の環境を整えよう!
リフジウム水槽はメイン水槽のコケ発生を抑える効果だけでなく、プランクトンや微生物を増やすことができる、隔離水槽として使用できるといったメリットがあります。
オーバーフロー水槽でなくても市販のサテライトを使用することで、マリンアクアリウム初心者でも簡単に作ることができます。
もしも自分のオリジナルのリフジウム水槽を作りたいけど自作できない、というのであれば東京アクアガーデンのように、水槽のオーダーメイド制作を行っている企業に相談してみることをおすすめします。
DIYが苦手でもオーダーメイドなら、プロに頼んで自分の気に入ったデザインの水槽を作ることができますよ!
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