水槽レイアウトの基本に則り実施していくことで、誰でもセンスある水槽レイアウトを制作することができます。
裏を返せば、基本から大きく外れている水槽レイアウトは、万人から美しいレイアウトとしてみなすことが難しいとも言えるでしょう。
水槽レイアウトの基本を理解すると、流木や石の選び方、水草の選び方まで無駄なく効率よく選定することもできるようになります。
ここでは、誰でも簡単に納得のいく水槽レイアウトのコツについて、やさしく解説していきます。
水槽レイアウトのコツとは
水槽のレイアウトには、美しくみせるコツがあります。
まずは、水槽構図と呼ばれるものです。
水槽構図とは、水槽内のレイアウトをどのような形にしていくかということです。
そして、この構図にスパイスを加えていきます。スパイスとは、魚の遊泳スペースを考えつつ鑑賞面を際立たせる方法です。
次に、石や流木の選び方です。
石を使うか、流木を使うか、または石と流木を組み合わせて使うかを決めます。
そして、石や流木もたくさん種類がありますので、どうのように選んだら良いかがとても重要となります。
最後に、水草の選定です。
水草も色合いや形状、サイズといろいろなラインナップがあるなかで決めていかねばならず、これを正しく見極めることは初心者にはハードルが高いのは当然です。
水槽レイアウトのコツは、基本をおさえることです。
そうすれば、誰でもセンスある美しいアクアリウムを楽しむ基本となります。
ここから、構図から水槽に使う石や流木の素材、そして水草までを、それぞれ掘り下げて解説していきます。
水槽レイアウト構図
水槽レイアウト構図は大きく3つに分けることができます。
三角構図
水槽構図のなかでも人気が高く、初心者におすすめの構図がこちらの三角構図となります。
水槽の右端もしくは左端を水槽のトップまで流木や水草で高さを出し、そこから水槽の橋に向けて高さを斜めに下げていきます。
正面から見ると三角形となるように作ります。
三角構図は、水槽の片方に集中して水草を植栽し、低い方には水草量を抑えてレイアウトすることができるため水草にかかる費用も抑えやすいことも特徴です。
なお、三角構図をおこなう場合は、必ず高さを出すところにボリュームのある水草や石、流木でメインとなるポイントを作ってください。
高さを出す場所にインパクトがないと、のっぺりした水槽レイアウトになりがちです。
意識して制作していきましょう。
凹型構図
三角構図同様、王道の水槽レイアウト構図です。
水槽の中央付近に空間を作り、水槽左右は水草や石、流木でボリュームを出していきます。
凹型構図は。一番プロっぽく綺麗に見えやすい水槽レイアウトを制作できますので、これから水槽レイアウトにチャレンジする方には非常におすすめです。
三角構図と比較すると、水草を多く使わなければ美しい凹型構図となりにくいのですが、完成した時には万人に受ける美しい水槽レイアウトとなります。
わたしが1番好きな水槽レイアウトです。
凸型構図
結論から申し上げますと、一番難しい水槽レイアウト構図です。
水槽の中央付近に高さとボリュームを設けて、水槽の端は高さを低くするレイアウト構図です。
レイアウトの形を決めるのに流木や石、水草の選定を決めるのも難しいのですが、水槽の維持管理面でもろ過の回し方も難しいです。
外部ろ過器の場合は、水槽左右にパイプ類を設置してしまうと丸見えとなってしまいます。
水槽中央に寄せてパイプ類を設置することもできますが、ろ過循環が滞り水質が悪化するリスクもありますので、パイプ類を隠したい場合は透明のパイプ類を使うことがベストです。
水槽レイアウトにスパイスを加える
前述で解説した水槽レイアウト構図に、下記のスパイスを組み込んでいきます。
- 高さを強調する
- 奥行き感を演出
- 魚の隠れる場所を作る
- 魚の泳ぐ遊泳スペースを確保する
高さを強調する
構図の部分でも触れましたが、水槽のレイアウトは構図を守り高さ部分を強調することができれば、より美しい水槽レイアウトとなります。
水槽の中で一番高くレイアウトをする部分には、大きい流木や石、または高さとボリュームを兼ね備えて水草を植栽すると良いでしょう。
奥行き感を演出する
水槽の奥行きを演出する簡単な方法は、空間の作り方にあります。
凹型構図は奥行き感を演出するのに大変向いている構図です。
水槽端に水草を植栽し中央付近は何も置かないことで、中央に吹き抜けができ立派な奥行き感を演出することができます。
また、より深い奥行きを演出するために、吹き抜けの場所においては、水槽の砂を手前を高くし、後方に行くに従い低くすることで、吹き抜けたところは奥行き感が強調されます。
奥行きを演出し水槽に深みを持たせてみましょう。
魚の隠れるスペースを設ける
流木や石でトンネルを作る、または水草の茂みを作ることで、飼育魚のストレスを緩和させることができます。
とくに、導入当初の熱帯魚は隠れる場所が無いと、不安とストレスから病気を発症する可能性もあります。
鑑賞した時に、完全に魚の体が隠れる場所を作るようにしましょう。
ストレスなく元気に泳ぐことで、その魚の本来持つ発色を存分に発揮してくれることでしょう。
魚の泳ぐスペースを確保する
最後に、遊泳スペースを設けることも大切です。
とくに、コンゴーテトラやハーフオレンジレインボーなどの中型魚は、十分な遊泳スペースが無ければストレスから本来持つ美しさを十分に発揮できない可能性があります。
また、水草が覆い過ぎて遊泳スペースを狭めると、魚が隠れてばかりで鑑賞上も美しくありません。
魚が水槽前面側で遊泳できるよう水槽手前は空間を開けるようにして、水槽後方に従い背の高くボリュームのある水草を茂らすことをおすすめします。
石や流木のレイアウト素材
石や流木を使って水槽レイアウトをすると、より自然なレイアウト風景となります。
わたしからのアドバイスとして、石だけのシンプルな水槽レイアウトは熟練のセンスと経験が必要なため、自信の無い方は流木も使うことをおすすめします。
流木を主として配置してから、流木に合わせて石を入れていくと、より満足する水槽レイアウトとなるはずです。
石や流木の種類は統一する
そして、石や流木は同じ形状、色で揃えてあげると、統一感が生まれさらに美しい水槽レイアウトになります。
そして、水槽内をあたたかい雰囲気にしたいなら、明るい色の石を使う、水槽内を暗く熱帯雨林のような雰囲気にしたいなら、暗い石を使うと良いです。
あとは好みで流木の使用可否を決めていきましょう。
石の大きさはバラバラにする
石の大きさを揃えてしまうと、メリハリのない水槽レイアウトとなりやすくなります。
サイズはバラバラにし大・中・小と3種類用意すると、メリハリの利いた美しい水槽レイアウトを作りやすくなります。
レイアウト素材のサイズ
水草を多く植栽する場合、せっかく置いた流木や石などのレイアウト素材が水草に覆われて見えなくなることがあります。
せっかくカッコ良い形状のレイアウト素材を選んでも、、見えなければ意味がありません。
とくに主となる石や流木は、水草の生長を見越した大きい素材を用意するようにしましょう。
水草の選び方
一言に水草と言っても様々な種類があります。
生長しても背が高くなるもの、高くならないもの。
生長が遅い種類、早い種類。
ボリュームアップに使える水草、そうでない水草など最終的にどのように生長するか、特徴を理解してから植栽するようにしましょう。
とは言っても、どれを選んだら良いか分からない方も多いことでしょう。
ここでは、水槽レイアウトにはじめてチャレンジする方へおすすめの水草を、いくつかご紹介いたします。
水槽の前面におすすめの水草
クリプトコリネ・ウェンティーグリーン
背が高くなりにくい水草で水槽の前面に植栽する水草のなかでは、育成も簡単で美しいためおすすめです。
さらに背の低いグロッソスティグマなどの水草を植栽する場合は、その後ろにクリプトコリネを植栽することが多いでしょう。
しかし、維持管理を簡単にすることへ優先順位を上げて考えた場合は、クリプトコリネ・ウェンティーグリーンがおすすめです。
水槽の中央におすすめの水草
ミクロソリウム
水槽中央に植栽する水草は、水槽後方に植栽する水草の根元を隠す役割があります。
そのため、できるだけ成長が遅くトリミングが頻繁に必要ない水草が適しています。
まさに、ミクロソリウムはこの点において優れており、大変おすすめです。
ミクロソリウムはいろいろな種類、販売方法がありますが、流木に活着されている見うろソリウムが育成も容易なことが多くおすすめです。
アヌビアスナナ
ミクロソリウム同様、成長が遅くトリミングの手間が少ない優秀な水草です。
ミクロソリウムと比較しやや深いグリーン色の水草であるため、ミクロソリウムの根元付近にアヌビアスナナを配置すると、自然観ある美しい中景草となります。
なお、こちらも様々な種類や販売方法がありますが、流木や石に活着されている水草を選ぶと育成しやすくおすすめです。
水槽の後方におすすめの水草
バリスネリア・スピラリス
シュッとした細い水草ですが、育成が簡単で横に新しい子株を出すランナーという方法で増えていきます。
水草育成がなかなかうまくいかないという方は、自信のない方にもおすすめです。
ただし、水草の森を作る主軸とするにはやや迫力にかけますので、水草を多く使用する場合は、引き立て役として使用するとより美しい水景となるのでおすすめです。
ハイグロフィラ・ポリスペルマ
有茎草のなかでも、育成が簡単で美しい水草です。
生長も早く育成も簡単、そしてきれいという素晴らしい水草で、水槽にボリュームを出すにもうってつけの水草です。
この水草だけでも十分ボリューム出せますし美しい水景ができますが、上記のバリスネリアと組み合わせても良いですし、赤系の水草と組み合わせても良いです。
これから美しい水草水槽を目指す方には、是非チャレンジしていただきたい水草です。
まとめ: 水槽レイアウトの基本はこれだ! 簡単で納得のいく水槽レイアウトのコツ!
水槽レイアウトの基本について解説しました。
これまでどうしたら美しい水槽レイアウトができるのかと疑問だった方は、是非本記事を参考にしていただければ幸いです。
水槽レイアウトはセンスよりも、まずは基本を知り忠実に再現できることが大切です。
基本を知り完璧にマスターしてから、自分流のアレンジを加えていくとさらに良い水景を作ることができます。
自分自身が納得する水槽レイアウトを制作し、さらに1歩進んだアクアリウムライフを楽しんでいきましょう。
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
よろしくお願いいたします!
楽しくワクワクして読ませていただきました。 また、とても参考になりました。
ありがとうございます、
こちらこそ暖かいコメントをいただき、ありがとうございます!