私たちの食卓にはさまざまな食材が並びますが、中でもお魚料理を目にする機会は多いですよね。
実は日本では観賞魚とされている魚が、現地では食用になっていることもあるんですよ。幼稚園や小学生くらいのお子さんだと、「熱帯魚も食べられるの?」と親御さんに質問することもありますが、まさに食べられる熱帯魚がいるのです。
現在日本で観賞用として流通している次の魚などは、食べることができます!
- アロワナ
- ピラニア
- プレコ
- 鯉
- モツゴ
- チョウチョウウオ
- ヤッコ類
- 大型のベラ
- ブダイ類
- ハタ類
今回は食べられる観賞魚10種類のご紹介と、飼育用・食用の違いなどについても簡単にお話しいていきます!
食べられる観賞魚!10種
「観賞魚で食べられる」というと、日本では鯉やモツゴなどが広く知られていますよね。他にもフナなどが伝統食として食べられています。今回ご紹介していませんが、地域によってはタモロコやナマズも食されることがありますよ。
海水魚だと、バスレットや大型のベラ類が食用にされていることも。実際に海水魚を食べたことのあるトロピカメンバーのお話しでは、海水魚の煮つけは脂身が少なくて淡泊な印象だったそうです。
海外ではピラルクやタイガーシャベルノーズキャットフィッシュといった魚を食べている地域もあります。
そういった海外では食用とされている観賞魚を食べられるイベントが、水族館などで開催されています。なかがわ水遊園では2021年1月現在、園内のカフェでピラルクのココナッツ煮、タイガーシャベルノーズキャットフィッシュのイエローカレーを提供しているので、ご興味のある方は行ってみてはいかがでしょうか。
前置きが長くなってしまいましたが、食べられる観賞魚を10種類これからご紹介していきます!
アロワナ
「龍魚」という別名のあるアジアアロワナは、日本では大型観賞魚として知られていますよね。世界的に見ても観賞魚としては高価な部類です。
現在、アロワナの野生種は「国際自然保護連合のレッドリスト」に掲載されています。観賞魚として流通しているものは養殖されたアロワナが大半ですが、野生種が絶滅の危機に瀕しているため養殖ものでも高価になっているようです。
しかし元々アロワナは地域の食用魚で、普通に食べられている時代がありました。地元の方が普通に釣り上げることができた頃は、日常的に一般家庭の夕食に出されるレベルのものだったのです。味は淡泊ですが、骨が多いとのことなので少し食べにくいかもしれませんね。
※なお、アロワナは飼育時に許可が必要です。死んだときは許可証を返却しなければなりません。
ピラニア
B級ホラーでよく凶悪魚として登場する、肉食魚の代表として知られているピラニアも、現地では大切な栄養源です。
2019年には日本でも期間・数量限定で、ピラニアラーメンが販売されていたことがあるんですよ!
このピラニアラーメン、もちろんちゃんと食用として販売されているものを使い、出汁もピラニア100%というこだわりようでした。
実際にピラニアを食べた人の感想を調べてみると、「白身が厚くスズキに似ている」そうです。骨はとても硬くて、現地では鋭い歯を刃物替わりにしたり、装飾品などにしています。お土産品でもピラニアの歯を使ったものが人気だそうですよ。
プレコ
2020年にテレビ番組で人気グループが食しているのを見た!という人もいるのではないでしょうか?
沖縄では「マダラロリカリア」とも呼ばれているプレコも、食べられる観賞魚なんです。沖縄の河川では普通にプレコが泳いでいるのを目にすることがありますが、彼らは本来沖縄にはいないはずの「外来種」で、捨てられたものが環境に適応して繁殖したものと考えられています。
食用として日本では販売されていませんが、原産地では食用魚扱い。沖縄の野生化したプレコを捕獲して食べたという記事をネットで見かけることもあります。
川魚ゆえに、泥抜きをしっかりとしないと身が泥臭くて食べられないという人もいますが、身はしまっており鶏肉に近い感じで旨味があるそうです。臭いが気になる場合は、料理酒や香草を使ったり、揚げ物にしたりすることで臭みが消えて食べやすくなりますよ。
鯉
日本では昔から食べられる魚として知られている鯉も、最近は食用よりは観賞魚としてのイメージが強いですよね。
こちらもプレコ同様に、野生の物の場合は泥抜きをしないと泥臭さが残って食べにくいです。しかし鯉は、食用として養殖されているものがおり、料亭などで料理として提供されています。現在では長野や茨城・山形などで食用の鯉の養殖が盛んです。
今回ご紹介する観賞魚の中では比較的身近で食べやすい魚といえるでしょう。代表的な料理といえば「鯉こく」ですが、塩焼き、うま煮、鯉の洗いなど調べるとさまざまな調理方法が紹介されています。
モツゴ
釣り好きな人ならごく普通に食べているという人も多いモツゴ。アクアリウム好きなら食べずに飼育している人のが多いかもしれませんね。関東地方だと「クチボソ」と呼ばれることもあります。
こちらも川魚なので、釣った物を調理する場合は、できれば泥抜きしてから調理することをおすすめします。味の特徴としては少し苦味があるので、調理法によって好き嫌いが分かれるかもしれません。佃煮や甘露煮、唐揚げ・天ぷらといった食べ方が多いです。
チョウチョウウオ
カラフルなボディカラーから、沖縄や南国といったイメージのあるチョウチョウウオ。日本では津軽海峡から九州南岸、宮城・伊豆諸島などの温帯域に生息しいています。食用として市場に出回ることはありませんが、定置網にかかることは多いそうです。
そんなチョウチョウウオも食べることができる魚です。しかし、鱗が取りにくいうえに皮が薄くて弱いという特徴があり、海水魚ですがたまに身に臭みのあるものもいます。
とはいえ、基本的にはうま味の強い白身をしているので、お刺身はもちろん塩焼き・唐揚げ・ソテーや味噌汁といったどんな食べ方でも美味しくいただけますよ。
ヤッコ類
サザナミヤッコなどのヤッコ類は、沖縄や奄美大島では食用としてなじみ深い魚です。お刺身や焼き魚で食べる事が多いですが、独特の臭みがあり苦手という人も。臭みが気になるなら、ニンニクやバジルなどの香草と一緒に漬け込んでから、ソテーなどの料理にすることをおすすめします。
ヒレに棘があり、表皮やエラ・骨が硬いので自分で釣ったものを調理する際は、ペンチなどで棘を取ったり、骨を折ったほうが調理しやすいですよ。
大型のベラ
ベラ類もよく食べられている観賞魚ですよね。海釣りする方だと、釣ったその場でさばいて食べることも多いのだとか。関東地方ではそのまま「ベラ」と呼ばれることが多いですが、関西方面では「キザミ」という呼び方が一般的。地域によっては「キュウセン」と呼ばれることもあります。
身は白身で柔らかく、クセがないので食べやすいです。
しかし、ベラ類もチョウチョウウオと同じくが硬い・鱗が飛びやすいので調理するのは手間がかかります。地域によっては魚市場で販売されていることもありますが、出回っている数は少ないです。
ベラを使った郷土料理では広島の「はぶて焼き」が有名で、お刺身や煮つけ料理といった食べ方もできます。
ブダイ類
食用として広く出回ることはありませんが、ブダイが獲れる温暖な地域では食べられることも多い魚です。伊豆半島や伊豆諸島ではブダイの干物が有名ですし、沖縄では「イラブチャー」と呼ばれ、刺身や唐揚げ・煮つけなどの食べ方で親しまれています。
鱗は大きいですが皮が厚くゼラチン質で、ベラなどと比べると骨も柔らかく、身は少し赤身のある白身で食べやすいです。旬は海藻食となる冬場で、臭みがなく脂がのっていて美味しくなります。逆に雑食性になる夏場は磯臭さが出るという人も。
煮物や鍋料理・蒸し焼き・揚げ物・刺身などさまざまな調理法で食べられますが、ソテーの場合は身が崩れてしまいやすいので注意して調理してくださいね。
また、同じブダイの仲間でもアオブダイは食中毒の危険があるので食べるのは止めておきましょう。(沖縄ではアオブダイと呼ばれる魚が提供されることがありますが、こちらは「ナンヨウブダイ」や「イロブダイ」などの食べられるブダイなのでご安心ください)。
ハタ類
アオノメハタやアカハタ、クエなどのハタ類は食用として広く知られていますよね。熱帯魚ではバスレット、キンギョハナダイなどがいます。
ただしどんなハタ類でも食べられるわけではありません。ハタ類の中でも「シガテラを蓄積していないもの」が、食用とされて流通しています。シガテラとは「シガトキシン」という天然毒のことで、人間が食べると食中毒を起こす毒素のこと。
この毒はハタ類が独自に作り出すものではなく、渦鞭毛藻(うずべんもうそう)という、微細藻が作り出しているんです。魚が海藻などに付着した渦鞭毛藻を食べてしまうことで体内に蓄積されるため、大きい魚ほどシガテラ毒の量が多いとされています。
ハタ類は美味しいお魚が多いので、食べるならば市場に出回っているものを食べるのが安心ですね。ハタ料理は「あら鍋」や「あらの姿煮」といった物が有名です。
飼育生体と食用生体の違い
同じ魚でも飼育生体(観賞用)と、食用生体ではどこが違うのか、気になりませんか?
ここからは飼育生体と食用生体との違いについて、お話ししていきます。
飼育生体はスマートで長生き
食用生体と飼育生体の違いのひとつめは、「寿命と体型」です。
食用として養殖されているものは「人間が食べるために育てる」ので、当然ある程度太らせたり脂も乗せなければなりません。そのため観賞用に飼育している魚とは、与えている餌が異なりますし、体も太目なものが多いです。
一般家庭で飼育する場合は、「健康な状態で長生きさせること」が一番の目的ですよね。そのため食用と比べると余計な脂がない分、体型がスマートで長生きします。
食用は匂いがマイルドで味にクセがない
最近ネットでごく普通に自宅で飼育していた魚を食べたという記事を目にしましたが、この方は臭みが気になったと言っていました。食用と鑑賞用では寿命や体型だけでなく、匂いや味にも差が出ます。
一般家庭でごく普通に育てた魚の場合、臭みが強いことが多いですし、食用として飼育されていない野生の鯉などは泥抜きをしないと泥臭さが残ってしまいます。
しかし最近の養殖ものは、そういった匂いやクセの少ない物が多いですし、脂ののり方も養殖物の方が良いことが多いです。特に鯉やフナなどは、人によってはある程度慣れないとクセが強いと感じる人が多いようです。
食べる際は自己責任です!
「観賞用」として販売されているものや、自分が釣った魚を自分でさばいて食べる場合は自己責任になります。
自分で釣った魚や自宅で飼育している食用可能な魚でも、ハタのように毒を蓄積している種類の可能性もありますし、釣った場所が食用に適していない成分が含まれた水である事も考えられます。またもっと身近な問題だと、寄生虫や食中毒といった問題もありますよね。
味も食用として飼育販売されていないのであれば、保証がありません。面倒くさがらずに、下処理をしっかりしないと臭みが抜けず、予想していたのと違う結果になることもよくあることです。
まとめ:食べられる?!観賞魚の種類!飼育生体と食用生体の違いを解説!
今回は観賞魚で食用できる魚を10種類ご紹介しました。他にもウミブドウなど、アクアリウムで育てることのできる生き物や海藻類で食べることのできるものはありますので、ご興味のある方は調べてみると面白いかもしれませんね。
しかしこの記事は、自宅飼育しているものを食べることを推奨しているわけではありません。 あくまで知識として、食べることのできる観賞魚をご紹介しました。
釣った魚や捕獲した魚を調理する場合は自己責任になるため、水質や魚の毒、寄生虫や病原菌など十分注意したうえで調理してくださいね。
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