『季節来遊漁』をご存知でしょうか?
黒潮の流れに乗り、南国の魚が通常は生息していない海域に姿を現すことを指す言葉です。日本でも季節来遊漁が訪れる季節に静岡県や千葉県などに足を延ばすことで、出会うことができるんですよ。
東京アクアガーデンのスタッフの中でも、海水魚を愛してやまないメンバーは毎年関東付近で季節来遊漁を採取していて、今年も例年どおり採取してきました。
ソラスズメダイや、ハコフグの仲間、ニシキベラ、ハゼなどさまざまな海水魚を採取できましたが、海には毒を持つ生体もいるので採取するときに注意する必要があります。
今回は東京アクアガーデンスタッフが採取した季節来遊漁をご紹介していきます。
季節来遊魚を追え!アクアガーデンスタッフが行く!
『季節来遊漁』は、知っている方が少ないかもしれません。
『季節来遊漁』は日本では毎年夏の終わりころから11月ごろまで、関東なら千葉県や静岡方面へ足を延ばすことで出会うことができますが、ほとんどが稚魚です。
黒潮の流れに乗ったカラフルな南国の魚が、普段は生息していない海域に現れる熱帯地方の魚のことをいいますが、水温が低くなると死んでしまいます。
東京アクアガーデンのスタッフの中でも、海水魚を愛してやまないメンバーは毎年、関東付近の某所(場所は秘密です!)で、かわいらしい季節来遊漁を採取しています。
季節来遊漁の詳細については、こちらのページで解説していますよ!
東京アクアガーデンのメンバーは今年も採取に行ってきましたが、採取セットは以下のようなものを使用しています。
leankingの「玉網 折りたたみ タモ網」は、レッドとブルーカラーのものは75~100cmまで長さを調整することが可能。ブラックは伸縮できず長さは82cm固定です。
ワンタッチで折りたたむことができ、収納スペースを取りません。ネット部分は深さが30cmあるので、大き目な魚でも楽に採取することができます。
ニッソーの「乾電池式エアーポンプ α-B1」は、車などでの移動で海水魚を運ぶときに活躍してくれます。単1のアルカリ電池を2本使用しますが約30時間連続使用できるので、移動時のエアーにピッタリです。
生体の採取だけでなく、震災などの非常時に水槽に使用することもできますよ。
海での生体採取でバケツや、昆虫用の飼育ケースなどを使用する方が多いです。しかしバケツや昆虫用の飼育ケースだと、水量が少なく酸欠を起こす可能性がありますし、あまり数を入れられない・狭すぎて生体がストレスを感じやすいというデメリットもあります。
アイリスオーヤマの「ボックス クリア TB-43」のサイズは、42x33x24cmと大きなボックス型。中身も透けて見えますしバケツよりも広さがあり、水量も多く確保できるのでおすすめです。
採取した生体の持ち帰り方などについては、こちらの記事で解説しているので、興味のある方は是非読んでみて!
こんな魚が採れました!
ここからは、今回東京アクアガーデンスタッフが採取した、かわいらしい季節来遊漁をご紹介していきます。
季節来遊漁を採取して自宅で飼育を考えている場合は、いくつか注意する点があるのでこちらの記事も読んでくださいね。
ソラスズメダイ
関東の海で目立つ季節来遊漁No.1といえば、真っ青な体色が美しいソラスズメダイです。ソラスズメダイは気性が荒いので、自宅水槽での複数飼育には向いていません。
海なら群れて泳ぐ姿を見ることができますよ。
ハコフグの仲間
季節来遊漁の中には、ぽってりとした体つきがかわいらしいハコフグたちの姿も見ることができます。
今回は黄色いボディにドット柄がポップな印象を与える、「ミナミハコフグ」も採取することができました。ミナミハコフグは成長すると体色が黄色味を帯びたグレーになるという特徴があり、体表から毒を出すので混泳には向きません。
チョウチョウウオ
今回は薬指くらいの太さの、フライチョウチョウウオの稚魚が採取できました。フライチョウチョウウオは成長すると体長は20cmと大きめになるので、自宅で飼育する場合は60cm以上の水槽を用意したいですね。
しかし雑食性・やや神経質という特徴があり、飼育は難しい種類なのでマリンアクアリウム初心者の自宅飼育はおすすめしにくいです。
ニシキベラ
ニシキベラは今回採取した場所で元から生息している海水魚です。体色の美しさでは、季節来遊漁に負けないほどで、メスはオスと比較すると青みが薄くなります。成長すると10~20cmほどに成長します。
ギンポの仲間
ギンポは浅い岩場にいることが多い小魚で、地域によっては食用にすることもある海水魚です。
今回ギンポの仲間は2種類採取することができました。どちらもキャラメルのような色合いがとてもかわいらしいですね。
イシダイ
今回はイシダイの稚魚も採れました。稚魚は成魚とは異なり、イエローカラーに黒のバンドルの体色が綺麗ですね。
実は食べてもおいしい魚なんですが、今回は食べていませんよ。
ハゼ
季節来遊漁ではありませんが、おなじみのハゼもしっかり採取できました。この時期の海は普段から見ることのできる海水魚と、季節来遊漁が入り混じっていて面白いですよ。
イソクズガニ
海と言いえばカニ!というほど、磯遊びの定番のカニですが、今回はイソクズカニが採れました。イソクズカニは房総以南の、温かめの海に生息しています。
海藻などを身につけたカモフラージュが得意なカニなので、じっくり観察していないと見逃してしまいがちです。
アカヒトデ
海といえばヒトデも定番ですよね。ヒトデはたくさんの種類がありますが、今回は人目をひく真っ赤なアカヒトデが採れました。珍しい種類ではありませんが、派手な色が気分を上げてくれます。
おまけ:シーグラス
シーグラスは、大きな湖や海岸などで見つけることのガラス片。長期間波に揉まれているうちに、とがった部分が丸くなり、曇りガラスのような風合いになっています。
ハンドメイド作家さんの間でも人気の素材で、海岸ではシーグラスがたくさん採取できますよ。
悲劇!生体の毒に気を付けよう!
海の生物で毒を持つといえばクラゲやフグが有名ですが、ヒトデにも毒があります。
今回採取したハコフグは見た目はかわいいのですが、危険を感じ取ると体の表面から毒を放出するんです。
そして今回、採取した魚などのほとんどを同じ容器に入れていたのですが、移動中にハコフグが危機感を感じたらしく毒を出してしまい、採取した魚の大半が死亡するという事案が発生してしまったのです……。
ハコフグやヒトデといった毒を出す生体は、採取後は他の生き物に害を与えないよう、容器を別にしましょう。
またエイやアイゴなど毒の出る棘を持つ海水魚がいるのをご存知でしょうか?
海の生き物の毒は、人間に対しても大きな被害を与えるものも多いので、採取するときは周囲にクラゲなどがいないかを確認し、毒針を持つ魚などが採れた場合は扱いに注意してくださいね。
ちなみに今回採取した黄色いミナミハコフグは、幸いにも別の採集箱にいたので、このような現象はおきませんでした。今ではスタッフの自宅水槽のアイドルになっています。
まとめ:海水魚を採取しよう!アクアガーデンスタッフで魚を採りに行ってきました
今回は東京アクアガーデンスタッフが、海へ魚を採取しに行ったときに使用したアイテムの紹介と、実際に採取した生き物などの紹介をしました。
生き物を採取するのは楽しいですが、発生したゴミなどはその場に捨てず、きちんと持ち帰り処分すること。
また必要以上の数を採取しないということも大切なポイントです。
自然環境や生態系を守るため、そして周囲に迷惑をかけないためにも、一般常識やルールを守った採取を行ってくださいね。
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