都道府県別メダカの屋外飼育ポイント!気候で見る注意点と水温管理の裏技

ここ最近は夏が飛び切り暑く、冬も例年より寒い年があったり、異常気象が起きる年もありますので、屋外飼育の水温維持により気を付けなければいけません。

また、地域ごとの気温の違いなども考慮しないと、ネットに書かれている情報通りに飼育していたのにうまくいかない、なんてことになるかもしれません。

そこで、この記事では都道府県別のメダカ屋外飼育×気温をテーマに、屋外飼育に適している地域と注意が必要な地域、それぞれの注意ポイントや水温管理の裏技を解説します。

記事内で紹介している気温は、あくまでも過去のデータを元にしたものです。気温は毎年変動するので、あくまでも参考としてご覧ください。

メダカの屋外飼育は水温管理が重要

熱帯魚は飼育に適した水温が25度前後であるケースがほとんどですが、メダカは15度~28度、冬眠させるなら0度まで耐えることができます。

ただし、15度~28度に収まるならどのような水温でも構わないという訳ではありません。
一日に水温が急激に変化すると、いくら育てやすいと言われているメダカでも体調に悪影響が出ます。

また、0度近い低水温、30度以上の高水温にも耐えられるという意見もありますが、あくまでも”耐えられる”というだけで、長時間その水温が続いたり、急激にその温度に近づくといった温度変化はよろしくありません。
※低水温の場合、冬眠させるのであれば適切な準備をしていれば大丈夫です。


そして重要なのが、地域ごとに気候が違うので、場所によって注意しなければいけない水温管理ポイントが違うということです。

この記事では、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国&四国・九州・沖縄と、地域ごとにメダカの屋外飼育に適している地域と注意が必要な地域を解説します。

メダカの屋外飼育に適している地域

メダカの屋外飼育は、年間を通じて極端な気温になりにくい場所が適しています。

次の地域は、季節ごとの対策が全く必要じゃないという訳ではないですが、対策を施してもどうにもならないようなトラブルはあまり起こらないでしょう。

地域 屋外飼育適性 気温※ ポイント
関東 ○地域差あり 夏の平均気温:約28℃、冬の平均気温:約5℃ 内陸部は夏の高温・冬の冷え込みに注意
近畿 夏の平均気温:約29℃、冬の平均気温:約5.5℃ 比較的安定した気候なので最低限の対処でOK。
中国・四国 夏の平均気温:約28℃、冬の平均気温:約5℃ 夏の日差しには注意が必要
九州 夏の平均気温:約28.5℃、冬の平均気温:約6℃ 夏の直射日光や台風以外はばっちり
沖縄 夏の平均気温:約29℃、冬の平均気温:約17℃ 台風や豪雨の対策は必要だけど、冬の安定感が最高
※平均気温は、東京・大阪・広島・福岡・那覇など主要都市の2024年平均(気象庁発表)を参考にした例です。毎年変動するので、あくまでも参考としてご覧ください。

関東や中部など、範囲が広い地域ではやはり地域差がありますので、そこはご注意ください。
例えば、埼玉県でいうと、もっとも暑いといわれる熊谷市と涼し目の秩父市では、気温に差があります。

最高気温 最低気温
熊谷市 40度 -3.3度
秩父市 38.5度 -7.3度

参考:気象庁、過去の気温データより、最も高い気温と最も低い気温を抜粋
https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/monthly_h1.php?prec_no=43&block_no=00&year=2024&month=01&day=

都道府県別に解説するといっておいてなんですが、このように、一つの都道府県の中でも場所や日当たりによって気温は変わりますので、温度計や水温計を設置して、エサやりなどのタイミングで温度もチェックする事をおすすめします。

そして、以上のような屋外飼育に適している地域でも、次のポイントに気を付けましょう。

暑さ対策・日差しが当たりすぎないようにする

メダカは日光が大好きですが、直射日光が長時間あたる場所に置くと水温が上がってしまいます。
特に温暖な地域の猛暑日は、確実に注意が必要な日です。

また、日照時間はメダカの生活リズムにも関係しますので、朝~午前中のうちに日光が当たり、午後はやんわりあたるような位置で飼育するのがベスト。
近くに観葉植物など影が出来るものを置いたり、午後になったらすだれや網が貼られた虫よけ蓋ネットなどをかぶせてあげると良いでしょう。

日光とメダカの関係については、こちらの記事をご覧ください。

寒さ対策・飼育容器は深めがおすすめ

睡蓮鉢やトロ舟、メダカ飼育用の発泡スチロールなど、メダカを屋外で飼育するための飼育容器はいろんな種類があります。
冬の凍結リスクを防ぐには、深め・高さがある容器を選びましょう。

表面だけが軽く凍るくらいなら、冬眠が成功していれば大丈夫ですが、氷の層が厚くなったり全ての水が凍ってしまうとメダカは冬眠から永遠に目覚めません……。
水深が深ければそういった事態になる確率を下げられます。

ただし、水深が深すぎると水圧が増してメダカの体力消耗が激しくなるという意見もあります。
こまめに様子が確認できる室内飼育ではなく、メダカを視界に入れない時間が長い屋外飼育の場合は、細かな体調変化に気付きにくいです。
屋外飼育用の飼育容器(鉢やトロ舟など)は元々高さがないサイズがほとんどですが、極端に水深を深くするのは止めておきましょう。

飼育容器の下にスノコなどを置いて、設置面から離すという方法も有効です。

特に陶器鉢などは発泡スチロールでできたものと比べて熱伝導率が高めなので、外気だけでなく地面からも温度の影響を受けやすいです。
飼育容器自体もそれなりの重さだと思いますので、耐荷重が大きい頑丈なスノコを選びましょう。

メダカの屋外飼育に注意が必要な地域

地域 屋外飼育適性 気温 ポイント
北海道 × 夏の平均気温:約22℃
冬の平均気温:約-3℃
屋外飼育は避けた方が無難です
東北 × 夏の平均気温:約24℃
冬の平均気温:約0℃
沿岸部の一部地域は比較的温暖と言えますが、室内飼育の方が安全
中部 △~○地域差あり 夏の平均気温:約28℃
冬の平均気温:約4℃
日本海側、日本アルプス周辺は寒いので寒さ対策を!
内陸~太平洋側は比較的安定
※平均気温は、札幌・仙台・名古屋など主要都市の2024年平均(気象庁発表)を参考にした例です。毎年変動するので、あくまでも参考としてご覧ください。

上記の地域でのメダカ屋外飼育に注意が必要な理由は、基本的に寒さがあげられます。

特に北海道は、人間や犬猫などの動物でさえも、ずっと屋外で生活するということは難しい地域です。※人間以外は種類によっては可能です。

屋外飼育はあきらめるか、屋根がある部分に設置したうえでビニールハウスやミニ温室を使い室内に準じた環境を作るなど、入念な対策を施しましょう。

東北では、比較的温暖と言われる地域なら十分な対策を施せばできるでしょうが、それでも室内飼育の方が気兼ねなくメダカ飼育を楽しめると思います。

中部は新潟・長野・山梨・静岡・愛知・岐阜・石川・富山・福井を対象にしており、日本海側と内陸、太平洋側でかなり気候が違います。
静岡・愛知はぴったりですが、北陸は東北と同じように厳しいところがあります。

寒さが厳しい場所でメダカを屋外飼育するなら、先述の『寒さ対策・飼育容器は深めがおすすめ』に加えて次の寒さ対策も実践してみてください。

メダカの越冬対策

詳しくは↑の記事でも解説していますが、水温が5度以下になる辺りからメダカは冬眠モードに入ります。
メダカが快適に冬眠できて、春になったらちゃんと目覚めてくれるように対策をしましょう。

越冬対策ポイント

  • 飼育容器は深さがある物にする
  • 水量を保つため定期的に足し水
  • 物陰に隠れて冬眠するので、流木や寒さに強い水草などを配置
  • 冬眠前はエサをあげない
  • 保温グッズをつかう
  • 飼育容器の下にスノコ等を敷いて設置面からの水温低下を防ぐ
  • 凍結防止でエアレーションをつける
※エアレーションは氷点下まで冷え込む寒冷地だと、逆効果になるケースがあります。
気泡が水面を攪拌し、上部だけではなく深部まで温度を下げてしまう可能性があるからです。
水の表面が凍っても酸欠になりにくいというメリットもかろうじてありますが、寒冷地の場合は気を付けて使用してください。

保温グッズを使った対策は、飼育容器をさらに発泡スチロールに入れる、もしくは周囲に発泡スチロール板を並べる、防寒用のアルミシートで包むといったものが低コストです。

予算に余裕があるのであれば、ガーデニング用のビニールハウスや簡易温室でちょうどいいサイズのものを探してみるのもいいでしょう。
通販で買う場合は、「写真で見ていたより小さかった!」ということが起きないように、サイズを要確認です。

ビオトープで植物も一緒に育てているなら、落ち葉を水面に放置するのも保温対策になりますが、量や植物の種類によっては水質が悪化するのでなんともいえません……。
勝手がつかめないうちは、落ち葉ではなく別の保温対策を試しましょう。

メダカ屋外飼育の温度管理テクニック

さて、ここまでメダカを屋外飼育するのに向いている地域とそうじゃない地域、屋外飼育が厳しい地域での特殊な対策方法などをご紹介してきました。

しかし一番大切なのは、たとえ温暖な地域でも暑かったり寒かったり、時間や季節によって温度変化が大きいということです。

一日を通して水温の温度差(気候学でいう日較差)が10度以上あると、メダカにとっては急激な温度変化にあたります。

しかし季節の変わり目は最高気温と最低気温の差が10度以上の日はザラにあります。
人間も自律神経が乱れてしんどいところですが、メダカたちも同じようにしんどい思いをしているので、温度を適正な状態に維持するような管理をしてあげることが大切です。

天気予報で温度を毎日チェック

毎日の天気を確認するという習慣がある人は多いかと思います。
リモートワークなど、家にいる時間が多い人は何となくの天気しかチェックしないかもしれませんが、メダカを屋外で飼育するのであれば、一日の最高気温と最低気温もチェックしましょう。

そして、屋外飼育しているメダカの飼育容器に水温計を取り付けることも大切です。
エサやりのタイミングでチェックするなど、ストレスが溜まらない程度に水温をチェックする習慣をつけましょう。

屋外飼育でより正確な水温を測りたい場合は、次の商品もおすすめです。

検温部の先端が水中に約1cmほど入り込むため、メダカたちが暮らす水中の温度を正確に知れます。
2025年5月末の時点では商品名に「らんちゅう用」と書いてありますが、メダカや他の生体でも大丈夫ですよ。

スマート水温計を使う

最近はスマートフォンやPCアプリと連動したデジタル水温計なんてものも売られています。
これなら外出先であっても、いつでも水温をチェックできます。

屋外飼育への対応はされていませんが、水温関係の機能も付いた一体型スマート水槽なんてものもありますので、アクアリウムにもIoT化の波が来ていますね。

本体部分は防水し様ではない、など屋外向きではない商品もあります。
まだまだ新しいものなので、日本語の説明書がなかったり、使い方がわかりにくかったりと言った欠点はあるかと思います。
あらかじめ注意点を把握したうえで商品を選んでくださいね。

都道府県別・メダカの屋外飼育まとめ

メダカの屋外飼育における、都道府県別の水温管理については以上です!
日本の気候に適応できる育てやすい魚とはいえ、水温管理はとても大切なポイントです。
記事で紹介した対策も実践しながら、メダカを安全に屋外飼育しましょう。

主なポイント おすすめ対策
暑さ・日差し 容器の置き場所を工夫、午後は遮光
日陰やすだれ、植物で直射日光をカット
寒さ・凍結 深めの容器を使う、落ち葉や水草で隠れ家作り
発泡スチロール・ビニールハウスで保温
水温変化 温度計・水温計で毎日チェック
スマート水温計で外出先からも管理
越冬準備 冬眠前はエサを控える
エアレーションや足し水で水質維持

メダカの屋外飼育についてもっと知りたい方はこちら