少し前に「熱帯魚のお葬式」がTwitterで話題になっていたのを知っていますか? 海外のエピソードになるのですが、とある男性が「死んでしまった2匹の熱帯魚」のためにスーツに着替えて、お葬式をしたそうです↓
小さな熱帯魚のためにお葬式をしたことが世界中で話題になったのですが、そこには「話題になるくらいの意外性がある」という事実も隠れています。普通なら、小型の熱帯魚が死んでしまった時には、そのまま庭に埋めるとか燃える〇〇に出すなどしてしまうと思いますし。
……でも、少し待ってください。小型魚は庭に埋めても良いのでしょうが、大型魚はどうしたら良いのでしょうか? あるいは、思い入れのある魚の場合はどうなのでしょうか?
少し悩んでしまいますよね。そこで今回は、「熱帯魚が死んでしまったら、どうすればいいの?」をテーマに考えてみたいと思います。
熱帯魚のお葬式の選択肢①:ペット葬儀社で火葬をする
まずは、熱帯魚が死んでしまった時、お葬式(火葬)をしようと思ったらどのような感じになるのか考えてみましょう。葬儀社で熱帯魚1匹1匹にお葬式をあげることは正直、難しいかもしれませんが……情報として知っておいて損はないと思います。
なお、ここで紹介している費用や流れなどは、「ペット専用の葬儀社」をインターネット上で複数社比較した情報に基づきます。
熱帯魚のお葬式/費用
ペットの葬儀社は、主に犬や猫などのお葬式を取り扱っているところが多いのですが、爬虫類やハムスター、フェレットなどのお葬式も受けつけてくれるところも年々増えているようです。
熱帯魚のお葬式(火葬)の費用は、魚のサイズにもよりますが1万5000円前後が相場になります。アロワナなどの大型魚になると金額が上がるのですが、5~10㎏くらいの小型犬の火葬料が3万円程であることから、それと同等の料金になることが多いです。
熱帯魚のお葬式/ポイント
熱帯魚のお葬式をあげるにあたって、注意したいのは「総費用の確認」と「信頼できる業者を選ぶこと」です。
火葬した後に別費用を請求してくる業者や、納骨や火葬方法(合同なのか個別なのか)を説明してくれない業者はトラブルの元になりますし、気持ちの面でもモヤモヤしてしまいます。
また、火葬して終わりではなく「納骨する場所も考える必要がある」こともお葬式では注意が必要です。自宅に骨をずっと置いておく訳にもいかないですし、埋葬する場合にはお墓の管理料なども別途必要になってきます。
まとめると、熱帯魚のお葬式(火葬→納骨)をする場合には、かなり真剣に取り組む必要がありそうです。インターネット上の口コミなども参考に「丁寧な対応や情報提供をしてくれる葬儀社さん」を見つけてみて下さい。
現実的な対処法
さて、熱帯魚のお葬式について考えてみましたが、飼育している全ての熱帯魚を同じように火葬するのは正直、現実的ではありません。
そこで、実際に飼育者が取り入れることができる方法を考えてみたいと思います。
熱帯魚のお葬式の選択肢②:庭に埋める
自宅に庭がある方は、死んでしまった熱帯魚を埋めたこともあるかと思います。我が家もグッピーやネオンテトラ、カブトムシやクワガタなどが土へ返っていきました。
自分の土地なら、基本的に熱帯魚は埋めても大丈夫と思えるのですが……実は、環境のことを考えると「熱帯魚を庭に埋める」行為は、あまり推奨できる方法ではありません。
「病原菌や寄生虫を保有しているかもしれない」
という問題があるからです。死んでしまった熱帯魚を庭に埋めることで、病原菌や寄生虫が屋外に放出される危険性があるのです。
コイヘルペスや鮎の冷水病のように、地域の魚に致命的なダメージを与える病気を持っている可能性が0ではないことを考えると……環境を守るという観点では、庭に死んだ熱帯魚を埋めるのは止めておいた方が良い選択だと言えます。
(余談ですが、世界中の両生類に猛威を振るっている「カエルツボカビ」が良くも悪くも有名な事例です。輸入されたカエルに付着していたカビの仲間が原因で、世界のカエルの30%もの種類が減少したと言われています)
熱帯魚のお葬式の選択肢③:燃える〇〇に出す
そこで次善の策となるのが燃える〇〇に出すという選択肢ですが……正直、人によっては「可哀そう」「とんでもない!」って拒絶されてしまいます。
寄生虫や病原菌のことを考えると、とても環境に優しい手段なのですが「心理的には優しくない」のが原因だと思います。ペットを慈しむという気持ちからは少し遠くなってしまう気がしますからね。
せめて、可愛い棺桶(お菓子の空き箱など)を用意して、お線香をあげてからそっと見送るなど、真摯な気持ちを大切にしたいと思います。
熱帯魚のお葬式の選択肢④:アルコール標本にする
死んでしまった熱帯魚は、70~80%のエチルアルコールに浸けて、標本にすることも可能です。標本の制作方法は、個人で観賞する程度のものなら素人でも簡単に作れますし、ホルマリンなどの危険な薬品を使用しなくても、十分に観賞に耐えられるものが作れます。
標本の作り方はWEB検索をすれば色々出てきますし、長くなるのでここでは割愛させていただきますが……重要なポイントとしては「死んでしまってすぐに作ること」「80%より上のエチルアルコールは使わないこと」「魚の粘液は綺麗に落としておくこと」の3つです。
死んでしまって時間が経つと腐敗が進んでしまいますし、高濃度すぎるアルコールの使用や余分な粘液は、たんぱく質を固めてしまって標本液を濁らせてしまいます。
余談ですが、どうしても「庭に埋めたい」&「燃えるゴミには出したくない」という方は、一度アルコール標本にしてから庭に埋めるという手段もあります。1ヵ月くらいアルコールに浸けておけば、体の中の病原菌や寄生虫もアルコールで死滅しているでしょうから。
熱帯魚のお葬式の選択肢⑤:大型魚は剥製にする選択肢もある
大型魚は、剥製にして、身近に飾っておくという方法もあります。自分で大型魚の剥製を作るのはかなり難しいのですが、専門店に依頼することでかなり観賞価値の高い剥製を作ることが可能です。料金の目安は1㎝あたり800円~1200円(サイズや難易度により変動)と私が見たサイトでは紹介されていました。
インターネットのキーワード検索で、実績の写真と合わせてみることができますので、興味がある方は「熱帯魚 剥製」で検索してみて下さい。
おわりに/熱帯魚のお葬式は、ペットを大切に思う気持ちが大切です。
さて、ここまで熱帯魚のお葬式について考えてみました。
庭に埋めるのはできれば避けてほしい選択肢ですが、燃える〇〇に出すにしても「見送る気持ち」を大切にしていきたいと感じました。大事に飼育していたペットだからこそ、最後まできちんと責任をもって見送ってあげたいものです。
生きている以上、死は必然です。また、死というものは突然やってくるものでもあります。
その時が来たときに、落ち着いて乗り越えることができるように、ペットの終活を考えておくのもたまには良いのかもしれません。
そして魚達に少しでも長生きしてもらえるよう、今日もまた、たくさんの愛情を注ぎましょう♪
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