皆様は「フィッシュレット」と呼ばれるアクアリウム用品をご存知でしょうか。フィッシュレットはアクア工房から発売されている投げ込み式フィルターの1種で、エアポンプの力で本体のファンを回して水流を発生させ、周囲のフンなどのゴミを回収するろ過装置です。
物理ろ過能力に優れるので、サブフィルターとして導入すれば大型魚やザリガニといった、水を汚しやすい生体の飼育環境の維持管理が容易になる優れモノです。ここでは、フィッシュレットの仕組みや効果、改造法などについてご紹介します。
フィッシュレットとその効果とは?
フィッシュレットは、アクア工房株式会社から発売されている、投げ込み式フィルターの1つです。本体サイズは幅9cm×奥行き9cm×高さ15.5cmと、投げ込み式フィルターとしては大型で、エアポンプに接続した状態で水中に沈めて使用します。
エアポンプから送られてくる空気で本体上部のファンを回して水流を発生させ、本体底部の開口部から周囲の水を吸い込むことで、飼育水中の熱帯魚のフンや食べ残しなどのゴミを吸入・回収する能力があります。
フンや食べ残しなどがバクテリアに分解されて、有害なアンモニアが発生する前に回収・廃棄でき、エアポンプからの空気の力でファンを回すのでエアレーションを兼ねることも可能です。
また、本体内部には水の入り口になる底部と、ファンの下部にセラミックス製のろ材が充填されているので、若干の生物ろ過能力にも期待が持てます。
フィッシュレットがザリガニや大型魚の飼育に効果的な理由
ザリガニも大型魚も飼育水を汚しやすい生体として知られています。ザリガニは大食漢のうえに雑食性なので動物質のエサも大量に必要です。さらに、少しずつかじって食べるために食べカスが生じやすく、水質がすぐに悪化してしまいます。
大型魚は動物質のものを好み、その体躯を維持するために大量のエサが必要です。食べる量が多いということは必然的に排せつ物の量も多くなり、水が大変に汚れやすい生体と言えます。よって、両者の飼育において飼育水の管理維持は大変に重要なテーマの1つです。
さて、水の汚れの主な原因は、排せつ物やエサなどの有機物が、バクテリアに分解されて生じるアンモニアです。そこで、アンモニアが発生する前に、フィッシュレットでそれらの有機物を回収・廃棄してしまえば、水質を長期に渡り保てるというわけです。
フィッシュレットはエアポンプが重要!
フィッシュレットはエアポンプから送られてくる空気の力でファンを回し、水流を発生させて周囲のゴミなどを回収しています。つまり、フィッシュレットの回収能力はエアポンプの能力に依存しており、吐出量が低いエアポンプを使用すると十分な効果を発揮できないので注意してください。
メーカーでは3L/min以上の吐出量を持ったエアポンプの使用を推奨しており、そのような製品には「水作 水心SSPP-2S」や「ニチドウ スーパーノンノイズW-1000」などがあります。
大型水槽用の高出力なエアポンプが求められるので、フィッシュレットを効果的に運用したいのであれば別途に用意してください。
フィッシュレットの使用上の注意点
配置場所について
フィッシュレットを効果的に運用するためには配置場所も重要です。いくら高性能なエアポンプを接続した状態でも、フィッシュレットには水槽の隅々までのゴミなどを回収する能力はありません。
それぞれの飼育環境によってゴミが溜まりやすい場所があると思うので、その付近に配置することで効率よく収集できます。
回収したゴミについて
フィッシュレットにより回収されたゴミは速やかに廃棄してください。というのも、本体内部にある状態だと飼育水中にあることと同義なので、バクテリアに分解されてアンモニアが発生してしまいます。
すると、フィッシュレットの利点を打ち消してしまうので、小まめに本体内部をチェックしてゴミが溜まっているようでしたら、飼育水から取り出して廃棄してください。
底砂があると能力ダウン
フィッシュレットは水ごとゴミを吸引することで効果を発揮するので、底砂があるとゴミが引っかかってうまく吸引できない可能性があります。底に何も敷かないベアタンクで導入すると最大限に能力を発揮でき、この点からも大型魚の飼育と相性が良いと言えます。
沈下性のエサに注意
フィッシュレットは、水流で引き寄せられるものであれば何でも吸入してしまうので、底棲魚用の沈下性のエサも回収してしまいます。
すると、底棲魚がエサを食べられずに餓死してしまう可能性があるので、フィッシュレットに吸い込まれない遠い場所にエサを落とすか、底棲魚の食事の時間にはフィッシュレットのスイッチを切ってください。
フィッシュレットの改造について
アクアリストの中にはフィッシュレットを改造して利用している方もいます。主な改造方法としては本体上部のフィンとエアーシャワーを取り外して、代わりに水中ポンプを取り付ける方式があります。
水中ポンプを用いて水を循環させることで、従来の方法よりも強力な吸引力を得られるのです。しかし、この改造法はある程度の工作スキルが求められ、本来あったエアレーションの機能は失われてしまう点には注意してください。
もっと手軽にフィッシュレットの能力を向上させたいという方は、メーカーが販売している専用のアタッチメントを利用することがおすすめです。
「アクア工房 フィッシュレット用 パワーリフト」という商品があり、この商品はフィンの部分を交換するだけでよく、3枚に増えたフィンで吸引力を3割程度アップすることが可能です。
まとめ・ザリガニや大型魚の飼育に効果的なフィッシュレットについて
フィッシュレットは物理ろ過能力に優れる投げ込み式フィルターで、特に大量のフンをする大型魚や食べ散らかすザリガニのような生体の飼育において水質の維持に大きく寄与します。
しかし、その能力はエアポンプに依存しており、底砂やレイアウト次第ではうまく機能しないこともあります。
また、せっかく回収したフンなどのゴミを放置していては、結局はバクテリアに分解されて水質を悪化させるアンモニアが発生してしまいます。フィッシュレットの特性を生かすために、小まめに回収したゴミを捨てることを忘れないでください。
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