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地震でも倒れにくい水槽とは?アクアリウムの地震対策(設計編)

地震で倒れにくい水槽とは?

地震が起きても倒れにくい水槽ってどんな水槽でしょう。

鉛筆みたいに縦に細長い水槽があったら倒れそうですね、平べったい水槽は倒れにくそうですよね。

皆様の水槽はどうでしょうか。恐らく一般的な水槽であれば、正面から見て横長の長方形をしているでしょうから、転倒には強い水槽になっているはずです。

しかし、水槽単体では倒れにくくても、この水槽が水槽台の上に乗ると、状況が変わってきます。

水槽台の上に水槽が乗ると、とたんに縦長になって、倒れやすい要素を満たしてしまうんです。

では、倒れやすい要素ってなんでしょう。

今回のテーマです。

実は、弊社ではお客様にアクアリウムを提案するときは、アスペクト比というものを計算して、水槽の地震での倒れやすさを判断しています。

アスペクト比がわかれば、アスペクト比と転倒開始加速度との関係グラフがあるので、そこから、転倒開始加速度(ガル)を割り出すことができます。

更に転倒加速開始速度(ガル)と、地震震度の一般的な目安があるので、アスペクト比がわかれば、おおよその震度いくつまで耐えられるのかという目安が得られます。

アクアリウムのアスペクト比とは

アスペクト比とは、単純に縦横比の事を意味します。

地震の倒れやすさを測る目的でのアスペクト比は、細かい説明は省きますが、以下から算出できます。

縦(H):アクアリウムの地面からの重心位置(高さ)

横(L):アクアリウムの奥行きの1/2

アスペクト比:H/L

※アクアリウムで一番多いと思われる横長の長方形水槽について書いています。その他の変形水槽はこの限りではありません。

※アスペクト比は、本来L/Hです。H/Lとした方が分かりやすいので、今回はH/Lとしています。

つまり、あたりまえのことですが、アクアリウムはアスペクト比が低いほうが倒れにくいのです

60cm水槽のアスペクト比

さて、以上は水槽単体でみた時のことを簡単に書きました。

一般的な60cm水槽を例に取りましょう。

幅60cm×奥行き30cm×高さ35cmの水槽があったとします。

すべて水を満たしたとして、砂やレイアウト物などは誤差として捉えると、重心は中心になります。

ですから、この場合アスペクト比はおよそ1.17です。

水槽台に乗った60cm水槽のアスペクト比

水槽台の上に乗った水槽はこんなに単純な計算ではありません。

水槽と水槽台は別々のものなので、縦(H)については、水槽・水槽台のそれぞれの重心位置を求めて、そこから一つの物体としての総合的な重心の位置を求めなければいけません。

どうでしょうか。ついてきていただいていますか?少し物理っぽくなってきました。

重心という概念が出てきましたので、水を満たした水槽と、水槽台のそれぞれの重量も計算に入れながら、話を進めます。

では、この水槽が70cmの水槽台の上に乗っているとします。水槽台の重量は15キロだとします。60cm水槽の重量は60キロだと仮定しました。

この場合、アスペクト比は5.16に跳ね上がります。

また、このアスペクト比は水槽と水槽台を一体とみなしてという前提が入っています。

どういうことかというと、水槽と水槽台がぴったりくっついているという事です。実際には水槽は水槽台に乗っかっているだけということも多いかと思います。

 アスペクト比と、震度の関係

本来、アスペクト比から転倒開始速度を割り出してから、おおよそ耐えられると思われる震度が出てくるのですが、話を簡単にするために転倒開始速度を省いて考えます。

ただし、このアスペクト比と震度の関係はかなりアバウトなものなので、目安として捉えてください。

アスペクト比 1~1.5の場合 震度6程度

アスペクト比 1.5~3の場合 震度5強程度

アスペクト比 3~7の場合 震度5弱程度

※気象庁震度階級関連解説表(1996)参照

つまり、数字だけ見ると一般的な60cm水槽は震度6程度水槽台に乗ると震度5弱程度まで耐えられるということが言えるのです。

アクアリウムは地震に弱いのか

いかがでしたか。少し難しかったかもしれません。

これでもなるべく簡単に書きたかったので、多くの条件を省略しました。アスペクト比を算出する上で、本当はもっと複雑な計算になります。

実際には水槽の中に砂が入っていたりレイアウト物があったり、水槽台の中には濾過槽があったりと重心の位置が決めにくくなるからです。

ただ、今回の結論ですが、倒れやすい要素とは、すなわちアスペクト比(H/L)が大きいということです。

水槽台も合わせて見た目が極端に縦長になるとか、水槽台の中身が無く重心が高い場合などは、地震に弱いアクアリウムと言えるでしょう。

みなさまもぜひ、ご自身のアクアリウムのアスペクト比を求めてみて下さい。

7とか8とか出てくると、結構危険です。

普通のメーカー品を使用している場合は、そんな数字はまず出てきません。

しかし、自作水槽を使用しているとかオーダーメイドで水槽を作ったとか、こだわりのアクアリウムをお持ちの方は、一度計算してみることを強くお勧めします。

水槽の地震対策をしよう

地震が起きたら大変なので水槽を辞めよう。と思うのではなく、地震対策を初めましょう。

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もし水槽が地震などにより破損したり、水がこぼれてしまった場合はこちらの記事をご覧ください

地震対策をしっかりとして、よりよいアクアリウムライフを過ごしましょう