水温が高い季節は、生物が活性化する時期。金魚たちが元気になるのは微笑ましいですが、菌や寄生虫の繁殖にも気を付けなくてはなりません!
症状と対策を考えていきます。
病気を防ぐには、水換え!
原因菌を繁殖させなければ症状が出ることはありません。
飼育環境を清潔に保つこと…つまり、水換えやお掃除が行き届いていれば、感染を防ぐことができると言えます。また、水換えをすることで金魚の代謝を促進できますので、症状が出てしまっても治癒する場合があります。
中には抗酸菌症のような凶悪なものもありますが、大抵の病気には水換えが有効です。
エロモナス菌
水槽内の常在菌と言われています。種類はエロモナス・ハイドロフィラ(水棲細菌)とエロモナス・サルモニシダ(鮭殺しの意)などが有名で、金魚をはじめとする観賞魚にもよく感染します。
餌の食べ残しなどの汚れを栄養源とすることと、酸素の届かない場所で繁殖しやすいことが相まって、底砂で繁殖しやすいです。底砂の掃除は、十分に注意が必要です。
増殖・感染を抑えるには、まずは徹底的に掃除しましょう!
治療薬は、観パラD・グリーンFゴールド(顆粒・リキッド)、エルバージュエースが挙げられます。
どれもが結構強力な薬なので、用法や分量には注意してください!ショック死してしまうこともあります。薬浴は薄めの濃度で始めると安心です。
エロモナス菌による病気
いずれも、体内から異常を起こすタイプの病気です。
腸内や筋肉組織を侵食します。
・松かさ病
菌が腸内などに感染し、体の調節がうまくできなくなり、体が膨らみ、それに応じて鱗が浮いてしまう病気です。
・ポップアイ
松かさ病と併発して起こる異常で、眼球が突き出してしまいます。進行すると目玉が取れてしまう恐れも…。
・赤斑病
体の一部が赤く、傷ついたように見える症状です。内出血にも見えます。
・鰭赤病
ヒレが充血する病気です。進行すると、ヒレが壊死してしまいます。
・穴あき病
充血から始まり、鱗がはがれ筋肉が露出する病気です。複数個所同時に症状が出ることもあり、衰弱死してしまいます。
・新穴あき病
耐薬性を持ったエロモナス菌による穴あき病です。治療は困難です。
現在のところ、金魚ではなく、鯉類のみに感染が認められています。
エロモナス症状の治療方法
治療には、飼育水に薬を投入して体表からアプローチはもちろん、松かさ病などの症状によっては、体内に薬の成分を届ける必要があります。
よく用いられるのが、餌に薬をしみこませた『薬餌』という方法です。
薬効成分のあるエサを食べさせることで、腸内から菌を退治します。
薬餌の作り方・やり方
【用意するもの】
餌:いつもあげている人工飼料やアカムシなど
薬:液状の薬(観パラD・グリーンFゴールドリキッド)
1.餌に薬をしみこませる。
濃度は10分の1~原液で、症状や体の大きさによって決めます。
強すぎると副作用もありえるので、最初は薄めからはじめても良いです。
念のためカルキを抜いた水で希釈します。あまり水分量が多いと餌がびちゃびちゃになり、乾燥まで時間がかかるので注意です。
薬液をかけたら、楊枝やスプーンなどで、まんべんなく染み渡るように混ぜます。
2.キッチンペーパーの上などに置いて、乾燥させます。
ちゃんと乾燥させないと、カビの原因になります。
3.乾燥したら密閉容器に入れて、保存します。
4.一日3粒を目途に、与えます。(重要)
市販でも、『パラキソリン』という薬餌が売られていますが、販売には免許が必要なため、入手しにくいです。
薬餌は強力な作用があると同時に、金魚への負担にもなります。
あげすぎるとかえって調子を崩すこともあります。
焦らず長期間にかけて、与えましょう。
体表付近の病気には薬浴
体表に近いところの病気(穴あき病、鰭赤病、赤斑病)は、飼育水に薬を入れて治療します。松かさ病などを併発している場合は、薬餌も並行してあげると良いのですが、薬の濃度が上がりすぎる危険があります。
どちらかの濃度を薄くして、調節してあげてください。
松かさ病には水換えも有効!
難治性といわれている『松かさ病』には、薬餌と同時に水換えも効果を発揮します。
松かさ状態は、体液の調整ができなくなり、体が膨らんでしまう病気です。
菌を排出しつつ、体液も減らしていかなければいけません。
そのためには金魚の自然治癒力が必要です。
水換えをすることで代謝を促し治癒力を上げるのです。
実際、ひどい松かさ病になった金魚も、1日おきの水換えを2週間つづけたら、松かさが治ったことがあります。
それでも治癒率は70%程度と言われています。
とにかく時間がかかる病気ですので、あきらめずに頑張りましょう!
カラムナリス菌
エロモナス菌と違い、主に体表や末梢部を破壊する菌です。※写真はイメージです。
水質の悪化で増殖・発症するので、これがでてしまったら、水換えもしくはフィルター濾過機能が足りていないという証でもあります。
また、金魚にストレスがかかると感染しやすくなります。
治療薬としては、メチレンブルー系(グリーンFリキッドなど)、観パラD、グリーンFゴールドリキッドが挙げられます。
カラムナリス菌による病気
・尾腐れ病
尾が濁り、ボロボロに溶けていく病気です。
溶ける前に、白点のようなコロニーが生じる場合があり、白点病と勘違いされることもあります。
・口腐れ病
口の組織が破壊され、ぶくぶくと膨れたようになります。
餌が食べられなくなり、衰弱死します。
・鰓腐り病(エラ病)
最初期はやたらと水面をパクパクします。次第にエラの開閉が早くなり、エラが貧血になり白くなったりし、やがてエラ蓋が捲れ、呼吸困難で死んでしまいます。
最初期は塩水浴で治療可能!
カラムナリス感染症は最初期ならば0.5%の塩水浴で治すことができます。
尾ぐされなどは、水換えのみで治るケースもあり、薬を使用しなくても平気なことが多いです。
ただしそれは最初期の話。症状が目に見えて進んでしまった場合は、薬を使用しましょう!
最初期で発見できるよう、日々の観察が大切です。
真菌
いわゆるカビ菌です。これも金魚に感染します。
この菌の一種が、鮭類の内臓に感染・病巣を作ることもありますが、今のところそのタイプの感染は、金魚では確認されていません。
真菌による病気
・水カビ病
体がカビによって、綿で覆われたようになる病気です。
進むと呼吸困難になり、死に至ります。
治療薬はメチレンブルー系の薬と、水温を上げることで治せます。
真菌は水温管理と水換えで撃退!
水温25度以上で水カビ病の菌は活動が鈍ります。治療の目安にすると良いです。
しかしながら真菌は常在菌でもありますから、完全に撃退することはできません。
ですのでやはり重要なのは、こまめな『水換え・掃除』であるといえます。
寄生虫を高水温で撃退する方法
25度前後の水温は、菌だけでなく寄生虫たちにも好条件です!
白点虫以外のイカリムシ・ツリガネムシ・ウオジラミなどの代表的な寄生虫が最も早く繁殖する温度です。
しかも高水温(28度以上)だと、有効な駆除薬である『リフィッシュ』や『トロピカルゴールド』などの毒性が増してしまい、使用することができません。
夏場の寄生虫駆除に頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
寄生虫の脱皮を阻止する薬?!
市販されている農薬の中で、寄生虫の脱皮を阻害して殺すというユニークなものがあります。
その名を『デミリン水和剤』と言います。(※写真はイメージです)
高水温(28度以上)でも魚毒性は低く、結構長く効き目も持続します。
脱皮を繰り返す、しつこいイカリムシ退治にはもってこいです。
しかし、希釈が大変であり(1㎎に1tの水が必要)、あくまで『農薬』ですから、魚毒性が低いからと言って、完全に無害ではありません。
本来は、蚊の駆除に使用されるため正しい使用方法ではありません。
使用は自己責任ということになります。
夏場の寄生虫は塩浴で様子を見る
イカリムシなどの大きな寄生虫は、毛抜きで引っこ抜いて対処します。
その後、傷口を消毒しつつ、再度寄生されないかを塩水浴で様子を見るのが良いかと思います。イカリムシは頭が残っているとそこから再生するので、しっかり体が切れないように抜きましょう!
夏場は塩水が非常に傷みやすいです。塩水浴をする場合は、ほぼ毎日、2/3以上の水換えをしてやる必要があります。
その他、寄生虫に関してはこちらの記事もご覧ください!
暑い季節はとくに水換え・掃除を頑張りましょう!
病気は種類が多く、判断が難しい場合がありますが、焦らずじっくり様子を見てやればおのずと病名がわかります。
普段から観察をしっかりして、病気にならないように管理してあげましょう!
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金魚に愛を注いでいるWeb担当。
かわいい金魚の為なら腰痛も何のその。金魚のテンションがMAXになる魔法の餌・アカムシを与えることに喜びを感じています!
アクアリウムに親しめる、良い情報をお届けできるように勉強&実践中です。
文章づくりも頑張ります!
コメント
とてもわかりやすいです。
参考になります。ありがとうございました。
ありがとうございます。
病気には必ず原因がありますので、日々の観察が大切です。
様子を観察してあげてくださいね。
初めまして。
ベタが今朝死にました。
夜に水槽から出してあげるんですが、ベタから人に感染する病気などはありますか?
アクアリウムの菌で人に感染する可能性があるのはエロモナスなどですね。
しかし、人間には体温(抵抗力)がありますし、ものすごく感染することは少ないです。
このページ長い間 のせて欲しいです色々な事が出ているので とても心強いです 私はこあかを飼って3年近くになります わからない時はアクアショップに相談しています とても親切に教えてくれます 1匹の金魚は口の所が赤くなって痛そうで可哀相で何もできません もう1匹は目が少し濁って見えます 心配です でも餌は喜んて食べているので安心です いつも金魚博士がいたら どれほど心強いかと思っています 貴重なページ有難うございます
コメントありがとうございます!
金魚はちょっとした体調の変化で、病気にかかりがちですから心配になってしまいますよね。
特に底砂利やフィルターのお掃除を強化すると病気を防ぎやすくなりますよ。
こんにちは!コメント失礼します。
先程金魚が、赤いフンをしていたのですが、(少し血ぽかったです汗)これは
病気なのでしょうか?
もし病気でしたら、治し方?を書いて欲しいです汗
赤虫などを与えた直後ではない場合は、絶食をして様子を見ます。
金魚自身の自然治癒力が頼りですので、水温を一定にして、水換えをこまめに行い、水槽内を清浄に保ち治療します。
3日以上~の絶食をおすすめします。