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水草のトリミングで美しいアクアリウムを維持しよう

水草の「トリミング」という言葉を、あなたは聞いたことがありますか?

その答えはとりあえず心の中に仕舞っておいて……。この記事を読んでいる方の中には、街中の喫茶店や美容室、病院や書店などの綺麗なレイアウト水槽に憧れて、アクアリウムを始めた方もいるのではないでしょうか?

今回の記事では、街中で見かけるおしゃれな水草水槽を作るためには欠かせない、水草のトリミングについて紹介していきたいと思います。

水草のトリミングで美しいアクアリウムを維持しよう

トリミングとは?

犬や猫の毛をカットする「トリマー」という職業があります。簡単に言うなら、ペットの美容師さんのことです。もちろん、プロとしての資格を持っている方々なので、時に可愛く、時に綺麗なカットをしてくれます。

同じように、水草を「綺麗に」カットすることを「トリミング」と言います。

イメージとしては、盆栽の剪定に似ています。ただ無造作に水草を切るのではなく、数か月後の成長具合をイメージしながら、より綺麗で活き活きとした姿になるようにカットするのです。それは人間の髪と同じですよね? 素人が何も考えずにカットするのと、プロが全体的なバランスを考えながらカットするのでは、仕上がりが全然違って見えます。

そういう意味で、「全体的なバランス」というのは、アクアリウム水槽においても重要なキーワードの1つです。そのことを意識しながら、水草のトリミングについて考えていきたいと思います。

トリミングのメリット&デメリット

なぜ、水草はトリミングをする必要があるのでしょうか? 例えば「水草が元気に育ってくれるなら、それで良くない?」と思われる方もいるかなと思います。

そこで、まずはトリミングの「メリット&デメリット」について考えてみたいと思います。

【メリット】

  • 盆栽のように、イメージした姿(レイアウト)を作ることが出来る。
  • すっきりとした好印象を与えることが出来る。
  • 水草にバランスよく光を当てることができる。
  • 水の流れる余裕を作ることで、シダ病などの病気の予防になる。
  • 水草を殖やすことができる。
  • 水草の株のボリュームアップができる。
  • トリミングのタイミングで底砂の掃除ができる。

【デメリット】

  • 切りすぎると水草の株が弱ることがある。枯れたり、成長が止まったり。
  • 水草が成長するまでは、切断面が不自然になる。
  • 成長の早い水草は、トリミングが面倒になることもある。
  • カットした水草を処分するのがもったいなく感じる。

こうしてみると、適切なトリミングは「意図した水景を作るために必要」であり「水草を元気に育てるためにも必要」であることが見えてきます。

一方で、人によっては大きなデメリットになるのが「水草の処分」です。

私も数年前までは、殖えた水草を燃えるゴミに捨てるのがもったいなくて、ついつい水槽を増やしてしまったり、夏場にベランダで水草の水上葉育成を始めてしまったり、ボトルアクアリウムに利用したりしていました。

知人に譲るにしても限度がありますし、珍しい水草でなければネットオークションでの販売も数百円程にしかなりません。

本当に、もったいないという感情はやっかいなものです。

なお、トリミングした水草は絶対に野外に遺棄してはいけません。

耐寒性のある水草がミズヒマワリやボタンウキクサ、オオフサモやブラジルチドメグサなどのように特定外来生物に指定されると、一般家庭での栽培が不可能になってしまいます。

(↓もちろん、熱帯魚も同様です)

アクアリウムという趣味を末永く楽しみながら次の世代に繋げるためにも、ひとり一人の意識が大切だと私は思います。

アクアリウム(水草水槽)におけるトリミングの方法

トリミングの方法については―ー

  • 伸びた部分をカットする(ベーシックスタイル)
  • 茂みを作るために細かく刈り込む(ピンチカット)
  • 根元を捨てて株を更新する(挿し戻し)

―ーが基本になります。有茎種(茎が伸びるタイプの水草)は、この方法で概ね対応可能です。

詳しくは次の過去記事を参考にしてみて下さい。

しかし、ウィローモスやミクロソリウムのトリミングは、どうしたら良いのでしょうか?

あるいは、バリスネリアやアマゾンソードなどの「ロゼット型の水草」は、どのようにメンテナンスをしてあげたら良いのでしょうか?

まずは、ウィローモスのトリミングですが、これはとても簡単です。適当に葉をハサミでカットすれば大丈夫で、すぐに新しい芽が伸びてきてくれます。カットした後に脇芽が伸び、全体的なボリューム感が増えますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

次は、ロゼット型の水草やミクロソリウムのトリミングですが、こちらは「外側の葉を切り落とす」「ランナー(子株)を殖やして株を更新する」という対応をすることになります。

バリスネリアの仲間は、葉が水面にたなびいて光を遮ってしまいやすいので、「葉の先端を目立たないように斜めにカットする」という方法も有効になってきます。

なお、これはちょっとした小技なのですが、「水草の成長を止めるために、根本にはさみを入れる(根っこを切る)」という方法を覚えておくと便利です。

この小技を使うと、大きくなりやすいアマゾンソードの成長を止めたり、繁茂しやすい丈夫な水草の成長を緩やかにしたりすることが可能です。

もちろん、やりすぎると枯れる原因になりますので、様子を見ながら調整して下さい。

まとめ・水草のトリミングで美しいアクアリウムを維持しよう


綺麗で見応えのあるレイアウト水槽を維持するには、トリミングは欠かせません。元気で美しい水草を維持するためにも、トリミングは欠かせません。

小さな盆栽に迫力があるように、人間のヘアースタイルが印象を左右するように――トリミングは「限られた水槽の中に、大きな世界を描くための技術」だと私は感じています。

最初は水草をどんな風にカットしたら良いのか迷うことが多々あるかと思います。ですが、経験する中で色々と学べることが必ずあります。

あなたも、ハサミとピンセットを握って、水草のトリミングにチャレンジしてみて下さい。

大切なキーワードは「バランス」ですよ?

(↓こちらの関連記事も参考してみて下さい♪)

コメント

  1. 観月伽耶 より:

    いつも参考にしています、ありがとうございます。
    モスファンのボールを育てているのですが、これもウィローモスのようにトリミングできるのでしょうか?リボン状なのでハサミの入れどころがよくわからず放置してしまっています。

    • 中島 より:

      モスファンは枝分かれして増えますので判断が難しいところです。
      育てていらっしゃるモスファンの状態がわかりませんので、何とも言えませんが、
      試しに1本カットしてみて、大丈夫そうでしたら少しずつトリミングすると良いと思います。