簡単きれいに水槽を掃除する方法――と聞いて、あなたはどのようなことをイメージしますか?
実はこれ、とっても奥が深い言葉なのです。
何十本から何百本もの水槽を維持しないといけない熱帯魚専門店。
水草レイアウト水槽を十何本も持っている水草マニア。
大型水槽を何本も持っている大型魚マニア。
小型魚用の30センチ水槽を何十本と維持しているブリーダーさん。
熱帯魚を10年以上飼育しているベテランさんと、先週水槽を購入したばかりの初心者さん。
それぞれの人にとって、『簡単に』という概念も『水槽の掃除にかけられるコスト(時間&お金)』も違ってきます。しかし、水槽をなるべく簡単にきれいにしたいという認識は、きっと共通していることでしょう。
そこで、今回の記事では「より多くの人に共感&実感してもらえる水槽掃除」をテーマに考えていきたいと思います。
どこに水槽を置くと、掃除が簡単になる?
まずはコレ、とても大切な事です。
水道から新しい水を給水するにしても、古い水を下水に排水するにしても、水槽との距離が遠ければ遠いほど、水を運ぶのが大変になります。正直、バケツやポリタンクで水を運ぶのは重たいです。でも水周りが近くに有れば、排水ホースから直接水を捨てることや水道に繋いだホースから給水することが可能です。
まずは『重たい水を持って移動する距離を短くすること』が、水槽のメンテナンスの手間を軽くする1つ目のコツです。
水槽の掃除を簡単にするための「予防」という考え方
次に重要になってくるのが、2つ目のコツ『予防の考え方』です。
なるべく汚れない水槽の環境を整えることで、毎回の掃除の手間が変わってきます。
例えば、「水槽全体にコケが生えている水槽」と「全然生えていない水槽」では、後者の方が毎週のメンテナンスの労力が少ないのは明らかですよね?
ここでは、そんな手間のかからない水槽を作るコツを見て行きたいと思います。
魚の収容量に余裕を持つ
魚の収容量に余裕を持つことは、とても大切です。
60センチ水槽にネオンテトラを1匹入れるのと、100匹入れるのでは水の汚れ方は大きく異なりますよね?
あくまでも目安なのですが、一般的に「魚のサイズが1センチに対して、水1リットルが適正な魚の収容量」だと言われています。
もちろん、肉食魚や中型~大型魚など水を汚しやすい魚は水量が増えます。魚が成長することで、1センチ当たりの体積も増えますので。
成長が早い水草で窒素を回収
コケの原因になる窒素(硝酸塩、亜硝酸、過剰な肥料成分など)を、成長が早い水草を植えることで吸収させるのも、コケ予防には良い方法です。
この方法を活用すれば、水槽のメンテナンスの時に、水草のトリミングをすることで窒素を水槽外に排出することができます。
個人的には、成長が早くて見た目も綺麗なロタラの仲間(ロタラ・インディカ/グリーンロタラなど)、成長がかなり早いウォーター・スプライトやベトナム・スプライト、低温にも耐えてくれるアナカリスなどの水草を、水槽のレイアウトや飼育している魚の種類などに応じて使い分けるのをお勧めします。
(特に、金魚水槽にはアナカリスを多めに入れることで、水質の改善効果が見られます)
オトシンクルスや巻き貝で水垢落とし
水槽のガラス面や給排水パイプには、どうしてもコケや水垢が付いてしまいがちです。毎回、歯ブラシやスクレーパーなどでそれを落とすのは、けっこう面倒な作業になります。
そこでお勧めしたいのが、水槽内にオトシンクルスや巻貝を導入することです。
彼らは水槽内を移動しながらコケや水垢を食べてくれますので、毎月の掃除の手間が大幅に軽減されます。
ガラス面のコケなども、巻き貝を適度に入れておけば綺麗に食べてくれます。
個人的にお勧めできる、コケを食べてくれる生き物はオトシンクルス・ネグロ、ラムズホーンの仲間(レッド/ブルー/ピンク/ノーマル)、石巻貝です。
プレコの仲間やアップルスネイル、日本産のタニシやカワニナなどは、大きくなりすぎたり増えすぎたりするので、あまりお勧めはしませんが、大型水槽で中型~大型魚と同居させるような場合には、有用な場合もあります。
水槽内部は、掃除しやすいレイアウトが大切
所有する水槽の本数が増えてくると、どうしても掃除が大変になってしまいます。
そんな時に必要なのが、「メインの水槽とサブの水槽を分けること」だと私は考えています。
所有するすべての水槽に100%の情熱とコスト(時間やお金)を掛けられるのが、本当は良いのでしょうが……。それが難しくなってきたら、サブ水槽の方では上手に手を抜くことも、アクアリウムという趣味を永く楽しむには大切です。
自分の情熱が燃え尽きてしまう前に、上手な手の抜き方を覚えるという意味で。
そこで大切になるのが、3つ目のコツである「見た目は綺麗だけれど、掃除がしやすいレイアウトを作ってみる」ことです。
具体的には――
①前景の水草を植えない。(底砂のメンテナンスがしやすい)
②移動できる流木に、活着させた水草を多用する。(〃)
③水流を考えて、流木の下など、汚れが溜まる場所をあえて作る。(〃)
④ごちゃごちゃしたレイアウトにしない。(〃)
――という工夫が出来ます。
ポイントは、底砂のメンテナンスがしやすいということに尽きます。
水槽内で一番汚れているのは、底砂とフィルターの中ですから、底砂のメンテナンスさえしっかりしていれば、水替えの回数を減らすことも可能だからです。
これに前述した考え方(魚の適正収容量を守る、成長の早い水草で窒素を減らす、オトシンクルスなどの生物を活用する)を取り入れると、さらに水替えの回数を減らすことができます。
まとめ・簡単きれいに水槽を掃除する方法
ここまで、簡単きれいに水槽を掃除する方法ということで記事を書いていきました。
その結果、人間の風邪と一緒で「予防のために、小さな工夫を積み重ねる」という結論に至りました。水槽が完全に汚れてしまってから掃除となると、どうしても大掛かりなものになってしまいます。例えば、水槽全体がコケで覆われたり、底砂の汚れが落ちなくなったり、飼育水が着色されてしまったりした時には、どうしても大量の水替えが必要です。
特に困るのは、「黒いヒゲコケ」が発生してしまった場合です。
このコケは水槽内の窒素分が増えると発生するのですが―ーとても厄介で、水槽内の流木や石、葉っぱの硬い水草(アマゾンソードやミクロソリウムなど)やフィルターパイプなどに一度生えてしまうと、根絶が難しく、最悪、水槽のリセットが必要になります。
ブラシでこするくらいではなかなか落ちないです。水草も、コケが生えたところをハサミで切り落として処分するしかなく、流木や石なども、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液に浸したり、熱湯を掛けたりしないとコケを枯らすことができません。
こうなる前に手を打っておかないと……本当に、大きな手間がかかります。なので「予防のために、小さな工夫を積み重ねる」ということを、頭の片隅に置いておいてあげて下さい。
―ー最後に、ちょっとした余談です。
水槽の掃除は、とても面倒に感じると思います。でも、部屋に好きな音楽を流したり、アロマを焚いてみたりするなど、「水替えと同時に楽しめること」を取り入れながら作業をしてみて下さい。面倒な作業時間を、有意義な時間に変えることができるかもしれません。ぜひ、次回の水替えの時にお試しあれ♪
水槽のプロが所属するサイト運営チームです。
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コメント
去年から、グッピーを飼って居るのですが、方当時は10匹程でしたが、今は100匹程になってしまいました、まだまだ生えそうなので水槽を買おうと思ってますが、これ以上増えると飼うのが辛くなるからどうしたら良いですか
グッピーは非常に繁殖しやすい魚です。
あまりに多い場合は、ショップにお願いすると引き取ってもらえる場合があります。
こちらの記事もご参照ください。
https://tropica.jp/2017/09/24/post-6388/