熱帯魚水槽をお持ちの方なら、誰でも一度は悩まされるのが「コケ」問題ではないでしょうか。
水草をキレイに育てたいから肥料をやればコケ、光量を増やせばコケ、じっくり水草を育てればその葉の上にコケ、もう、どうしたらいいのー!ってなりますよね、わかります……。
こちらのページでは、熱帯魚水槽に発生するコケのうち、特にガンコで硬いコケの正体、硬いコケを取り去る方法、除去した後は、同じコケが再発生しないようにする対策についてご説明していきます。
水槽の頑固なコケ対策を動画でもチェック!
YouTubeチャンネル『アクアリウム大学』でも水槽にはえてしまう頑固なコケ対策を解説しています!
コケは厄介なので、対策を動画でもチェックしてみてくださいね。
ガンコで硬いコケ・その正体
スポット状コケと呼ばれます
他にも、緑斑藻・斑点状藻などと呼ばれることもあります。
特徴は
- 明るい緑色
- 大きさは初めは2~3ミリ 徐々に大きくなる
- 直接指で触れると、ぽこっと盛り上がっている感じがわかる
といった感じです。
このコケが生える水槽は、水質その他のバランスがとれていますので、水槽そのものは良い状態と言えます。とはいえ、ほうっておくと全面緑となりかねないコケでもあるので、早期の除去が大切ですね。
スポット状コケが嫌われるそのワケ
他のコケももちろん嫌われるのですが、スポット状コケは独特な特徴を持っており、なんといっても硬い!ちょっとこすっただけでは取れない!というやっかいなコケなんです。
では、どう対策を練れば良いでしょうか。敵に勝つにはまず敵の性質を知るところから始めなければなりませんね。そこで、コケの性質についてご説明します。
コケは植物の仲間
コケ植物は、植物の中で最も原始的なものです。植物の一種ですから、光合成をして身体を成長させています。必要とする肥料も、一般の植物と同じです。なので、水草水槽を作るために肥料を添加したり、光量を増やすとコケもスクスク生長してしまうんですよね。
他にも魚の排泄物もコケの肥料となりますので、水換えをしない・魚を入れすぎるといったこともコケの繁茂の一因となります。
我々からしたら憎い存在ですが、基本的には「植物の1つ」だと思っていただければ、対策も思いつくものですね。
生命力が強いです
原始的な植物ゆえ、とても生命力が強いです。
普通の水草なら生きていけないようなわずかな光でも光合成をします。ねっこがなくても生きていけますし、栄養分が少なくても生きていける。それがコケなんですよね…。
ガンコな硬いコケを取り除くには
スクレイパーでこそげ落とす
物理的にこすり落とそうという作戦です。このような専用の道具があると、比較的落としやすいですね。もし手元にないのであれば、30センチの定規や三角定規でも、こすり落とすことはできます。
ただし、水槽がガラス製であることが条件で、アクリル・プラスチック製の水槽はキズがつきやすいので注意が必要になります。
こすり落としたらすぐに水換えをしましょう。水中にこすり落としたコケの破片が漂っているからです。放っておくとまた壁面にくっついてしまいかねません。
メラミンスポンジでこすり落とす
ガンコで硬いコケは、ちょっと掃除しただけでは取れません…。最近は磁石のついたスポンジが販売されていて、水に手を入れずに掃除できて便利なのですが、それではガンコなコケはとれない場合もあります。
そんな時は覚悟を決めて、手でゴリゴリするしかありません。ただしこの場合も水槽がアクリルやプラスチック製だと傷がつきやすいので注意が必要です。
水草についたらトリミング
成長のゆっくりな水草の葉などにスポット状コケがついてしまうこともあります。そうなると、スポット状コケがついた部分をトリミングして除去したほうが良いでしょう。コケがしっかりへばりつきますので、水草からスポット状コケだけを取り去るのは厳しいです。
コケを食べる生物を導入する
コケを食べる生物はいろいろ知られていますが、今回ご説明しているスポット状コケは、平らな面にはりつくタイプのコケなので、同じような生活ぶりのイシマキガイなど、貝の仲間が掃除に向いています。
他にも、オトシンクルスや
ミニ・ブッシープレコも役に立ってくれます。
エビは、壁面にへばりつくタイプのコケの除去は得意ではありません。
ガンコなコケを生やさないためには
熱帯魚に餌をあげすぎない
コケの栄養分となる、熱帯魚の餌の食べ残しを減らすという対策です。
熱帯魚が可愛くてたくさん餌をあげたくなるのもわかりますが、食べ残しは水質の悪化も招きますので、少し足りないかな?と思うくらいがちょうどいい場合もありますので、今一度、餌の量を見直してください。
水換えの回数を増やす
熱帯魚水槽の水の富栄養化がコケの繁茂の引き金になりますので、水を頻繁に換えることでそれを防ぐことが出来ます。
水槽の中で飼育されている魚の量やサイズ、種類、水草の量やサイズ、様々な要因がからみあっているアクアリウムなので、もしスポット状コケがでてしまった場合は、普段よりもやや早めに水換えをするようにしましょう。
「水換えは月に○回」と決めている方も多いかと思いますが、コケが出た場合はその回数を見直してください。
水草用肥料の量を見直す
植物であるコケは、水草用の肥料が同じように肥料となります。水草をどんどん成長させたくて、ついたくさん肥料を上げたくなるのもわかりますが、様子をみて少しずつ増やしましょう。
また、肥料が多すぎたと感じた場合は、早めの水換えをお願いします。
光量を見直す
コケの仲間はどれも植物ですから、光合成をして生きています。よって、光がないと生きていけませんし、光が十分にあるとますます成長します。
水草水槽の場合、光量の調節が難しいかもしれませんが、熱帯魚水槽であれば思い切って光の量を下げることも必要になってきます。
また、太陽光が直接水槽にあたることのないように注意してください。
コケがはびこる前に掃除する
今回ご説明している「スポット状コケ」はコケの中でも除去が大変な種類です。その固着力といったら……一度経験すれば「もうこりごり」と思えるレベルです。
大きくなればなるほど、除去が大変になりますので、次のような処理を心がけましょう。
- 水換えをするたびに、水槽のガラス面をこすり掃除する
- こすった後は早めに水換えをする
こすると、スポット状コケの生体が水のなかを漂うことになりますので、すぐに水換えを行なうことで発生をゆるやかにすることができます。
魚の数を見直す
富栄養化がコケの繁茂の元になりますので、熱帯魚水槽の中の魚の数を見直すことも必要かもしれません。魚の排泄物をバクテリアが処理したものは、植物によっては栄養分ですので、魚が多い=排泄物が多い=水槽の水が富栄養化しやすいというサイクルにはまってしまうことがあるのです。
水槽内の水草を増やす
富栄養化によってコケが生えるのであれば、その栄養分を吸収する他の生物……そう、水草を多めに入れるという手もあります。水草は栄養分を吸収してくれますが、水草ばかり茂って他のものが見えない!となっても本末転倒なので、程度問題ではあります。
たくさん生い茂った水草は下の記事のように販売することもできるかもしれませんね。
コケのない美しいアクアリウムを
ガンコで硬い、スポット状コケについてご説明させていただきました。
水の状態がいいときに発生するとはいえ美観を損ねますし、除去するのに手間がかかりますので、生やさないのが一番です。美しい水槽をキープするために、ちょっとした工夫や一手間をお願いします。
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