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水草水槽に魚は必要?水草育成に最適なろ過システム・生体の種類とは

水草水槽はレイアウト次第で様々な情景を作り出せる、魅力に溢れるアクアリウムです。しかし、水草の育成は観賞魚とは違った難しさがあり、維持管理に頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。

ところで、水草水槽にも魚などの生体を入れた方が良い、と聞いたことがある方はいませんか。水草を育成するのに魚が必要なのか、疑問に思われるかもしれませんがある種の魚は必要で、入れた方が維持管理が格段に楽になります。

ここでは、水草水槽を管理するために魚などが必要な理由と、最適なろ過システム・生体の種類についてご紹介します。

水草水槽に魚は必要か?

結論から申しますと水草水槽に魚は必要です。なぜなら、魚がいた方が格段に管理がしやすくなるからです。水草水槽での問題点の一つに、コケの問題があります。コケも植物の1種なので、水草の生育に適した環境はコケにとっても快適な環境にあり、放っておくと繁殖してしまいます。

コケは鑑賞性を損ねるだけでなく、水草の表面に生えてしまうと光合成を阻害して、白化や枯れる(溶ける)原因になります。コケを発生させないための抑制剤も販売されてはいますが、それらの薬剤は少なからず水草にも悪影響を及ぼします。

特にウィローモスはコケの仲間なのでダメージを受けやすく、基本的にコケ抑制剤の使用は推奨できません。そこで、発生するコケを魚などの生体に食べてもらって除去しようというわけです。

その他にも、水草水槽に魚がいる利点としては、水草の栄養面が挙げられます。水草を含む植物の生育に必須となる栄養素として、窒素・リン・カリウムがあります。これらは「肥料の三要素」とも呼ばれていますが、光合成では合成できないので外部から供給してあげなければなりません。

三要素を添加できる水草用の肥料も市販されていますが、実はこれらの養分は魚などの生体の餌や排せつ物にも含有されています。そのため、水草水槽に魚などの生体をある程度入れて給餌をしつつ育成すれば、添加剤などに頼らなくても自然に水槽内のバランスを整えることが可能なのです。

水草水槽に最適な生体の種類と注意点

生体導入の注意点

さて、水草水槽に魚などの生体を入れた方が管理が楽だと述べましたが、入れる生体は何でも良いわけではありません

なぜなら、食欲旺盛な雑食性の中型魚などを入れてしまうと、排せつ物などによる水質の悪化に煩わされるだけでなく、肝心の水草が食害を受けることもあるからです。

また、コケ取り用の生体に関しても、コケにも種類があって全てのコケを食べてくれる生体はいないので、発生しているコケに合わせて入れる生体を選ぶ必要があります。

最適な生体の種類

オトシンクルス

(熱帯魚)オトシンクルス(3匹) 北海道・九州航空便要保温

オトシンクルスはナマズの仲間で、体長5cm程度の小型魚です。コケを主食としており、吸盤状の口で水槽内壁や水草の表面に貼り付き、こそぎ取るようにしてコケのみを食べてくれます。

食べるコケの種類は主に茶ゴケ斑点状藻で、大人しい性格で水草を食害することはないので安心して導入できます。

モーリー

(熱帯魚)ブラック・モーリー(4匹) 北海道・九州航空便要保温

体長6cm前後の小型魚でカダヤシ科に分類されており、グッピーやプラティと近縁の関係にあります。

モーリー類はオトシンクルスのようにコケを積極的に食べるわけではないので、コケ取り生体として機能させるには給餌量を調節する必要があります。食べるコケの種類は糸状ゴケ藍藻で、他にも油膜を食べてくれる性質があります。

サイアミーズフライングフォックス

TORIMATE(トーリーメイト) サイアミーズフライングフォックス 1匹

体長12cm程度に達するコイの仲間で、魚体に黒色のラインが入ることが特徴です。食べてくれるコケの種類としては、黒髭コケ・茶ゴケ・糸状ゴケが挙げられ、厄介な黒髭コケまで食べることから強力なコケ取り生体として重宝されています。

しかし、成長するにつれてだんだんとコケを食べなくなったり、縄張り意識が強くなって他の生体を攻撃するようになる恐れがある点に注意してください。

ヤマトヌマエビ

(エビ)ヤマトヌマエビ(10匹)(+1割おまけ) 北海道・九州航空便要保温

日本にも分布しているヌマエビの1種で、主に汽水域に生息しています。体長は5cmほどに成長し、食べるコケの種類は糸状コケアオミドロ黒髭コケです。

後述するミナミヌマエビよりも大型なので、日常的に口にするコケの量も多く、1匹あたりのコケ取り能力に優れています。コケの量が少ないと、水草を食害することがあるので注意してください。

ミナミヌマエビ

(エビ)ミナミヌマエビ(10匹)+(1匹おまけつき) 北海道・九州・沖縄航空便要保温

本州中部以西から九州にかけて分布しており、河川や湖、池など一生を淡水域で生活する陸封型の生態を持つヌマエビです。体長は3cm程度とヤマトヌマエビより小型なので、食べるコケの量も少なく、1匹あたりのコケ取り能力には劣ります。

ヤマトヌマエビと同様の種類のコケを食べてくれますが、黒髭コケは食べないので注意してください。

ネオンテトラ

(熱帯魚)ネオンテトラ(10匹) 北海道・九州航空便要保温

ネオンテトラはコケ対策ではなく、水草の栄養面と水質浄化に寄与する、バクテリアの繁殖を助けるために入れます。水草とコケ取り生体だけでは、発生するコケの量次第では生体用に餌を与える必要がないため、肥料の三要素が不足しがちです。

また、水質の浄化に貢献するバクテリアはアンモニアを養分としているので、アンモニア不足のせいで繁殖が進まないと、些細なことで急な水質の悪化を招いてしまいます。

よって、そのような事態を防ぐために、ネオンテトラを5匹程度入れて給餌を行い、バクテリアの繁殖を促す狙いがあります。排せつ物などから発生したアンモニアは最終的に硝酸塩に変換され、水草の窒素源として吸収されます。

ちなみに、同じような作用ができればネオンテトラにこだわる必要はなく、アカヒレやプラティなどの小型魚でも問題ありません。

水草水槽に最適なろ過システムについて

エーハイム クラシックフィルター 2213 ろ材付きセット 密閉式外部フィルター

水草水槽にかかわらず、ほとんどの水槽のろ過はフィルターで管理することが一般的です。現在、フィルターには様々な形式が存在していますが、水草水槽に最適なものは「外部フィルター」です。

外部フィルターはろ過槽が閉鎖されているので、飼育水が空気と触れ合う機会が少なく、溶存している二酸化炭素(CO2)が空気中に逃げることを防げるからです。CO2は水草が生育するための光合成に必要不可欠な物質で、不足するようなら外部から強制的に添加する必要があります。

さて、ろ過能力についてですが、外部フィルターは数ある形式の中でも、トップクラスに能力が高いフィルターです。

水質の浄化に必要なバクテリアは飼育水中にも存在していますが、主にフィルターのろ材を住処にして増殖・定着します。そのため、ろ過能力とろ材の量は比例関係が成り立ち、ろ材を大量に充填できる外部フィルターは有利なのです。

まとめ・水草水槽に魚が必要な理由と最適な生体・ろ過システムについて

水草にとって理想的な環境は、次に示す事柄が並行して成立している水槽環境です(太字が本稿で紹介したテーマ)。

  • コケが付かない
  • 水温・水質が適切である
  • 光合成が行える十分な光量がある
  • 必要な栄養分(肥料の三要素やCO2)が供給されている
  • アンモニアが適度に発生してバクテリアが増殖できる
  • 水が汚れる速度よりもバクテリアによる水質の浄化速度が勝る

これらの事象の均衡は、魚などの生体を入れることで無理なく達成できるものも多いです。個体数に注意しながら生体を入れて、水草水槽を管理してみてください。水草のみで育成する場合よりも、きっと良い結果が得られることでしょう。