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オーバーフロー水槽で淡水魚を飼育するには!注意点と改善策を考える

強力なろ過能力を持ち、特に海水魚水槽では採用される方も多いろ過システムオーバーフロー方式。

海水魚のみならず、淡水魚水槽でもその能力は絶大です。

しかし、淡水魚水槽でオーバーフローを採用する場合、注意点があります。

この注意点を知らないがゆえに、設置後大惨事になってしまうことも・・・!

しかしご安心ください。

ほんのわずかなポイントさえ押さえれば、淡水魚水槽でも十分に使うことができ、かつ強力に水を浄化してくれるので、とても頼もしい相棒となってくれることは間違いありません。

今回は、淡水水槽でオーバーフローろ過を使用する際の注意点をまとめました!

オーバーフロー方式とは

そもそも、アクアリウムで数あるろ過方式の中の一つ、オーバーフローとはどのような仕組みなのでしょうか。

これまでトロピカではオーバーフローろ過について数々解説してまいりましたので、今回は簡単に解説します。

オーバーフロー式の仕組み

オーバーフロー式の最大の特徴は、濾過槽があることです。

水槽の下にもう一つ水槽があるようなイメージです。

濾過槽には濾材がたっぷり入っており、強力に水をろ過します。

そしてろ過された水がポンプで水槽に送られます。

すると水槽の水位が上がり、上がった分だけオーバーフロー管を通って濾過槽に落ち、そしてまたろ過され…と循環するのがオーバーフローの仕組みです。

淡水魚水槽でオーバーフロー式を採用するときの注意点

ざっとオーバーフローの仕組みについて触れましたが、この仕組にこそ、落とし穴が隠れているのです。

淡水魚水槽でオーバーフロー式を使用する際のデメリットとも言える注意点とその対策を、一つずつ解説します。

生体が濾過槽に落ちる

最大のデメリットはこれです。

オーバーフロー管から、生体が濾過槽に落ちてしまうのです。

オーバーフロー管は多くの場合、三重になっています。

通常であれば、三重管の場合は一番外側の管が、コーナーカバー仕様の際はコーナーカバーにそれぞれスリットが空いており、生体の落下を防いでくれます。

↑の画像の、縦に入っている切れ込みがスリットです。

しかし、淡水魚は体の小さな種類が多いため、スリットの隙間から落ちてしまうことがよくあります。

ネオンテトラくらいの大きさの生体なら十分に成長した個体であっても落ちてしまうことがあります。

オーバーフローで淡水水槽を立ち上げてからというものの、日に日に生体が減ってゆく。。。という方は、濾過槽のウールボックスを確認してみましょう。

そこには地獄絵図が…ということにもなりかねません。

生体が濾過槽に落ちる 対策

スリットに目の荒い網を張りましょう。

三角コーナーのネットくらいの粗さがあれば水もよく通り、生体をブロックしてくれて便利でしょう。

グルーガンを使い固定する人もいれば、プラスチック製のクリップで止める人もいるようですね。

もしくは、確実にスリットを通らないと言えるサイズの生体の飼育に限定するというのも一つの手段です。

水草が育たない

次に挙げられるのが水草が育たないという問題。

育たないばかりか、種類によっては最悪の場合枯れてしまうこともあります。

理由は、水槽の溶存二酸化炭素量が少ないからです。

オーバーフローは水が水槽から濾過槽に落ちるとき、大量の空気を巻き込み、撹拌されます。

そうすると水中の二酸化炭素が抜け、代わりに酸素が溶け込みます。

生体にとっては呼吸がしやすい、住心地の良い環境になりますが、水草にとっては逆です。

水草は光合成に二酸化炭素を必要とします。

水中に二酸化炭素がないと光合成ができない、つまり成長ができません。

そのため、最悪の場合は枯れてしまうこともあるのです。

水草が育たない 対策

一番効果的なのは、水草の種類を選ぶということです。

二酸化炭素添加が必要とされるようなグロッソなどの水草はオーバーフロー水槽での育成は不可能と考えましょう。

↑こちらは外部フィルターで管理し、二酸化炭素を強制添加し育成している水槽です。

↑そしてこちらはオーバーフローで管理している水草水槽です。

アヌビアスナナやミクロソリウムなどの、いわゆる陰性と呼ばれる水草がオーバーフロー水槽での飼育に適しています。

陰性の水草だけでも、このようなキレイな水草レイアウトを楽しめますよ!

どうしてもという場合は、低床をソイルにしましょう。

栄養系ソイルにするか、肥料を埋め込むことで育成できる水草の幅は広がりますが、外部フィルターで育てたときほどのボリューム感は難しいとお考えください。

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スリットが目詰まりすると水があふれる

上述のように、オーバーフロー管の一番外側の管にはスリットが空いており、水だけが通るようになっています。

小型魚が通り抜けてしまうことがあるとはいえ、スリットはとても細い隙間です。

淡水水槽の場合は、水草の切れ端などが引っかかってしまうことがあります。

そうなるとスリットが目詰まりし、水が落ちなくなり、水槽から水が溢れてしまう危険性があります。

スリットが目詰まりすると水があふれる 対策

やはりこまめな清掃が一番です。

水槽はほぼ間違いなく毎日見ると思います。

その時、スリットにも目をやるようにしてください。

小さなカケラでも引っかかっていたら、そこから連鎖的にスリットをすり抜けるようなゴミまで引っかかってしまうので、みつけたらすぐに取り除きましょう。

また生体の落下を防ぐための網を取り付けた場合、さらに注意深く観察してください。

網を取り付けることにより、ゴミの詰まりやすさは段違いに上がります。

ちょっと気を抜いたら大惨事、ということも十分に考えられますので、しっかりメンテナンスするようにしましょう!

オーバーフロー水槽で淡水魚を飼育するには まとめ

いかがでしょうか。

オーバーフロー式は本当に便利です。

強力なだけでなく、構造上、溶存酸素量も多く、さらに濾過槽にヒーターを入れることもできるので、エアレーションやヒーターを水槽内に設置しなくても良くなります。

外部フィルターのような配管もないので、水槽をすっきりさせるにはもってこいのろ過方式です。

ただし、その特性をしっかり理解しないと思わぬトラブルの原因にもなります。

しっかりと事前に知識をつけ、準備し、最高の淡水魚水槽にしてください!

トロピカではオーバーフロー水槽について、たくさんの記事を書いてきました。

これらの記事も合わせて参考にしながら、素敵なアクアリウムライフをお過ごしください!