現在ではアクアリウムの普及により、餌についても様々なものが発売されており、熱帯魚用のベビーフードに至るまで容易に入手できるようになりました。
さて、熱帯魚を飼育するにあたり、ベビーフードの必要性に疑問を抱く方もいるかもしれませんが、繁殖させて稚魚からの育成を楽しもうとすると必須になります。なぜなら、成魚が口にしている餌では、稚魚の口に入らないため摂食できないからです。
特に、小型カラシンやベタなど小型魚の稚魚は超小型なので、特別にベビーフードを用意しておかなければ餓死させてしまいます。ここでは、熱帯魚用ベビーフードについて、種類や与え方などをご紹介します。
熱帯魚用ベビーフードとその必要性について
近年ではアクアリウムの普及に伴い、様々なアクアリウム用品が発売されています。熱帯魚用の餌もその例に漏れず、人工飼料から生きたままの小動物である生き餌、冷凍した生餌などに至るまで、今日ではショップや通販などで簡単に入手できるようになりました。
そして、それらの餌の中には稚魚の育成を目的としたベビーフードも含まれています。ベビーフードの必要性について疑問を抱く方もいるかもしれませんが、繁殖させて稚魚からの育成を楽しみたい場合に必須となります。
なぜなら、稚魚の口は小さいため、普段から成魚が口にしているサイズの餌では摂食できないからです。
特に、「カージナルテトラ」などの小型カラシンや「ベタ」、それから観賞魚という括りでは近年人気の「メダカ」などの小型魚は稚魚も超小型なので、特別に微細な餌を用意してあげなければ育成ができません。
これらの小型魚の繁殖が、成魚の飼育に反して難しい理由の1つが、誕生直後の餌の問題があるからなのです。ベビーフードは稚魚に食べさせることを考慮して生産されているので、人工飼料であればかなり細かくされて粉末状になっています。
また、自然下では稚魚期に動植物プランクトンを食べているので、「ブラインシュリンプ」やそれよりも更に小さい「インフゾリア」といった、微生物そのものも餌として市販されています。
熱帯魚用ベビーフードの種類
ベビーフードにも人工飼料や生き餌、乾燥餌などの種類があります。扱いやすいのは人工飼料や乾燥餌ですが、生まれたばかりの稚魚は動かないものを餌とみなさず、食べてくれないことがあるので注意してください。
そのような時は、まずは生き餌を与えて、徐々に人工飼料に慣れさせていくと良いでしょう。
テトラ テトラミン ベビー
ふ化後から数週間の稚魚期に与えることを考慮した人工飼料です。稚魚の口に合わせたパウダー状の餌で、稚魚の成長を促進するために各種栄養分が強化配合されています。
スドー 特撰メダカの餌 稚魚用
ふ化後2~30日前後(体長5~10mm程度)の、メダカの稚魚に与えるために配合された人工飼料です。餌の粒径は0.10~0.25mmと微細で、乳酸菌なども配合されているので消化・吸収に優れています。
ニチドウ ベビーフード
ブラインシュリンプの卵から殻だけを取り除き、卵黄を取り出して乾燥させたベビーフードです。乾燥餌なので取り扱いが容易で卵黄部分は栄養満点です。また、嗜好性も高いので稚魚の食いつきも良く、成長を促してくれます。
ニチドウ アルテミア100
基本的には上記のベビーフードと同じものですが、こちらは25g入りのものと60g入りのものがあり、グラム当たりの単価が抑えられています。
お試しに利用したり少数の稚魚を飼育するのであれば上記「ベビーフード」を、たくさんの稚魚を育成したい場合はこちらを利用すると良いでしょう。
各種ブラインシュリンプ
ブラインシュリンプは甲殻類に分類されるプランクトンの1種で、稚魚を飼育するうえでの基本的な餌です。塩水でふ化させて生き餌として与えるタイプや、乾燥餌・冷凍餌といったタイプが販売されています。
ただし、ブラインシュリンプは一部の魚種の稚魚にとって、口にするには大きすぎることがあるので注意してください。
インフゾリア・ゾウリムシ
インフゾリアは動物プランクトンの総称です。ゾウリムシなどが該当し、ブラインシュリンプを食べられないほど小さい稚魚用の餌としては最適です。
インフゾリアもブラインシュリンプと同様に、休眠卵をご自身でふ化させるタイプに加えて、培養液に入った状態で販売されているものもあります。ゾウリムシは特に増殖が容易なので、稚魚の餌用に培養しているアクアリストもいます。
熱帯魚用ベビーフードの与え方と注意点
まず、人工飼料や乾燥餌はそのまま、冷凍餌は飼育容器とは別の容器で解凍してから、ピペットで吸い込んで与えます。次に、ブラインシュリンプやインフゾリアのふ化させるタイプの餌は、ふ化用の容器を用意して卵から孵してから、冷凍餌と同様に水ごとピペットで吸い込んで与えます。
稚魚期は成長のために多くの栄養を必要とするので、1日に最低でも2回は給餌してください。成長を促進させ、死亡率が高い時期を早期に脱したいのであれば、1日に3回以上の給餌を行うと良いでしょう。
ここで注意していただきたいのは、1回あたりの給餌量を増やすのではなく、1日あたりの給餌回数を増やすことです。稚魚は体が小さいので、いたずらに給餌量を増やしても餌を食べきることができません。そのため、餌を消化・吸収し終えてから再び給餌しなければ、食べ残しが増えるだけです。
食べ残した餌は急速に水質を悪化させてしまうので量に注意して与え、食べ残しが生じた場合は速やかに取り除く必要があります。特にブラインシュリンプなどの生き餌は、食べ残すと生物の死骸がそのまま残ることになり、水質の悪化が顕著なので注意してください。
まとめ・熱帯魚の稚魚に与えるベビーフードについて
生まれたばかりの稚魚は口が小さく、成魚の餌は食べられないので、ベビーフードが欠かせません。現在ではベビーフードも選択の幅が広がり、パウダー状の人工飼料やプランクトンなどの生き餌に至るまで、様々な種類が容易に手に入ります。
繁殖させて卵から稚魚が誕生する様子を観察できれば感動もひとしおですし、体長数mmの稚魚から育てた熱帯魚には、より大きな愛着が湧くこと間違いなしです。ぜひ、熱帯魚用ベビーフードを活用して、繁殖とその後の稚魚飼育にチャレンジしてみてください。
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