カラフルな色合いと独特の模様を持つマンダリンフィッシュ。
「ニシキテグリ」という和名もある、派手な印象の海水魚です。基本的な飼育方法は一般的な海水魚と変わりがありませんが、餌を食べるのが遅いので、食べるのが早い生体との混泳はおすすめできません。
人工餌を食べてくれないため、マリンアクアリウム初心者にはやや敷居が高い海水魚ですが、餌の問題をクリアできれば飼育は比較的簡単です。
今回はマンダリンフィッシュの飼育ポイントや餌・繁殖などについてお話していきます。
マンダリンフィッシュとは
マンダリンフィッシュは、スズキ目ネズッポ科に属する海水魚で、「ニシキテグリ」という和名があります。この「ニシキテグリ」という名前、漢字で書くと「錦手繰」となるんです!
体の鮮やかさを「錦」という言葉で表し、「底引き網(=手繰り網)」によく引っかかることから「手繰」とつけられたそうですよ!アクアリストの間でも、そのサイケデリックな模様が人気です。
琉球諸島~オーストラリアのサンゴ礁地帯に生息していて、体長は5~7.5cmほど。体の鮮やかな青は、「青色素胞」という色素胞が関係しているそうです。マンダリンフィッシュ以外の生き物の青色は、薄いプリン結晶や薄膜の干渉作用によるものだといわれています。
性格はとても温和で、他の海水魚からいじめられることは少ないですが、同種同士の場合は縄張り意識などがあるのか小競り合いすることがあります。
マンダリンフィッシュの飼い方と注意点
マンダリンフィッシュの飼育は、基本は他の海水魚と同じですが、餌など注意したい点がいくつかあります。
ここからは、マンダリンフィッシュの飼育時のポイントについてお話していきましょう!
基本的な飼い方
マンダリンフィッシュの飼育は、60cm以上のオーバーフロー水槽で、サンゴ砂を底砂に使用しましょう!
温かい地域に生息している海水魚なので、活発に動き回るのは27度前後。水槽内では胸びれをゆらゆらと動かしながら、常に餌を求めてさまよっています。泳ぐというよりは「散歩」しているという表現がピッタリな海水魚です。
混泳に注意!餌を食べる速度が問題
マンダリンフィッシュは、水槽内をゆらゆらとゆっくりと泳ぎます。そして餌を食べるのが遅いという特徴があるので、給餌のときに上手く食べることができないことがあるんです。
餌やりのときは、マンダリンフィッシュがしっかりと食べているかチェックしてあげないと、餓死してしまうことも。そのため通常の海水魚水槽で、他の海水魚と混泳させるのは可能ですが、餌やりでつまづくことが多いようです。
混泳させるのであれば、餌を食べるペースが同じくらいの種類にしましょう。具体的には、タツノオトシゴやチンアナゴ、キイロサンゴハゼや共生ハゼなどといった「待ち伏せ型」の種類が向いています。
生息地がサンゴ礁地帯なので、サンゴ水槽での飼育もおすすめです!
マンダリンフィッシュの餌
マリンアクアリウム初心者の場合、マンダリンフィッシュの飼育で一番問題なのが餌でしょう。
マンダリンフィッシュは自然界では、ゴカイといった多毛類や、小型の貝類、魚の卵やヨコエビ、貝虫といったものを食べています。甲殻類や無脊椎動物を食べているのですが、ショップで販売されているマンダリンフィッシュでも、人工飼料を食べてくれません。
「じゃあ何を食べるの?」と疑問に思う方もいるかもですね。
マンダリンフィッシュは、コペポーダのような「プランクトン」を食べるプランクトンフィーダーなんです。そのため餌は冷凍ブラインシュリンプや、冷凍クリーンコペポーダが主食になります。
餌は1度に大量に与えるのではなく、1日数回少量ずつ与えるようにしましょう。
場合によっては飼育環境が変わることで、冷凍餌でもなかなか食べてくれないことがあります。このような場合は環境になれるまで焦らず、餌をスポイトで目の前に落とすなどして、餌を認識させるようにしましょう。気になって突っつくようになれば、食べるまで時間はかかりません。
冷凍コペポーダ
コペポーダは海産のケンミジンコ(動物プランクトン)の仲間のこと。ブラインシュリンプと同じくらいの大きさです。海水魚だけでなく淡水魚飼育でも使われることのある餌で、サンゴの餌にもなります。
ブラインシュリンプにはない、高度不飽和脂肪酸のDHAや、EPAを含んでいるだけでなく、アスタキサンチンも多いので色揚げ効果も期待できるんですよ!
冷凍ブラインシュリンプ
ブラインシュリンプというと、「卵から孵化させる」というイメージを持つ方が多いですよね。
でも市販品には生きたブラインシュリンプをキューブ状にまとめて、冷凍したものが販売されています。冷凍ものなら孵化させる手間がなく、解凍してそのまま与えるだけなので、お手軽です。
生きたブラインシュリンプについてはこちらです。
水槽内に発生したヒラムシも食べる!
海水魚飼育をしていると、ふと気が付いたらヒラムシが発生していることありますよね。ヒラムシは見た目が気持ち悪いだけでなく、サンゴに悪影響を与えるやっかいな奴です。
しかしマンダリンフィッシュは、このヒラムシを食べてくれるんです!
そのためクリーナーフィッシュとして入れるのもありですが、ヒラムシだけでは餌が足りなくなることが多いので、冷凍餌も必要になります。
マンダリンフィッシュの寿命
実際のところ、マンダリンフィッシュのように歴史の浅い海水魚は、研究が浅いため自然界だけでなく飼育環境下でも何年生きるのかははっきりしていないんです。長期飼育している方が多いと具体的に寿命はどれくらいなのか、平均を取ることができるのですが…。
ヤッコの場合、寿命は7年程度といわれていたのですが、過去に20年近く飼育されているものがいたことが話題になったこともあります。マンダリンフィッシュの場合、飼育環境下だと3年以上は生きるということがわかっていますが、最長で何年生きることができるのかは、まだわかっていません。
マンダリンフィッシュの繁殖について
以前個人ブログでマンダリンの産卵に成功した、という記事を見かけたことはあります。しかしその記事以外で飼育環境下で産卵に成功し、成魚にまでしたという話は聞いたことがありません。もしも繁殖が容易なら、既に養殖されたものが市場に出回るはずですが、2019年6月末現在養殖ものは出回っていません。
このことから考えると、マンダリンの繁殖は難しいと言えるのではないでしょうか。
まとめ:マンダリンフィッシュを飼育しよう!飼い方や寿命を解説!繁殖は可能?
今回はカラフルで独特の模様が魅力的な、マンダリンフィッシュの飼育についてお話しました。餌の問題が一番難しいですが、それさえクリアすれば後は一般の海水魚飼育と変わりありません。
混泳させる魚に気を付けなければなりませんが、混泳が不可ということではないです。同じスローイーターの魚やサンゴと混泳させると、それこそゆらゆらと幻想的な水槽ができること間違いなし!
価格もそれほど高くない海水魚なので、マリンアクアリウムにある程度慣れてから飼育にチャレンジしてみましょう!
混泳のおすすめの、生体たちの飼育方法です!
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「別名」や「別名称」と書かれていますが「標準和名」に訂正したほうがいいと思いますよ。
コメントありがとうございます。
誤解を生んでは良くないので、修正いたしました。
※和名 としてあります。