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採取した魚をそのまま水槽に入れてはいけない理由!危険性を解説します!

海や河川などで採取してきた魚は、そのままメインで運用している水槽に入れてはいけません。その理由には、主に以下に示す2点が挙げられます。

  • 病気を持ち込む可能性が高い
  • 人工飼料を食べないことで餓死の危険がある

自然環境下では、病原性細菌や寄生虫といった病原体が居ることが普通で、天然魚がそれらを保有していることは珍しくありません。また、天然魚は餌付けを行わなければ、餓死するまで人工飼料を口にしない個体も少なくありません。

これらの理由から、採取してきた魚をそのままメイン水槽に導入すると、水槽環境の崩壊を招く恐れがあるのです。ここでは、採取してきた魚をそのまま水槽に入れてはならない理由と、採取魚を飼育する際に危険を回避する方法などについて解説していきます。

採取した魚を水槽に入れてはいけない理由

病気を持ち込む可能性が高い

採取した魚は病原性細菌や寄生虫など、病原体を保有している可能性が高いです。なぜなら、海や河川、湖や池などの自然環境下では様々な病原体が居ることが普通で、そこに住む魚類は常にそれらと接する機会があるからです。

淡水魚の生食は一般的ではありませんが、その理由は皆さんもご存じの通り、天然の淡水魚には寄生虫が付着していることが珍しくないからで、海水魚に関しても「アニサキス」は有名です。

これらは人に対して高い病原性を示す種類ですが、もちろん魚に対して高い病原性を示すものも存在しています。

寄生虫と同様に病原性細菌についても、現在飼育している魚にとって脅威となり得る種類を保有している可能性は否めません。そのため、採取してきた魚をそのまま水槽に入れると、その魚に付着していた病原体が水槽内に放たれ、今まで飼育してきた魚に寄生・感染する恐れがあります。

また、採取時に傷を負った魚をそのまま水槽に入れてしまうと、その傷に水カビなどが感染して病気になり、他の魚にも次々と感染が拡大する危険もあります。

これらの事から、病気の蔓延による水槽環境の崩壊を防ぐために、採取してきた魚をそのまま水槽に入れることは避けなければなりません

人工餌を食べない可能性がある

天然魚は、採取した当初は人工飼料を食べないことも珍しくありません。人工飼料を食べるか否かは個体差が大きいのですが、餓死するまで口にしない個体も見られます

いったん水槽に入れた後に餓死を恐れ、個別に給餌するために捕獲して隔離しようとすると、採取魚のみならず先住魚にとってもストレスがかかり、下手をするとケガを負わせる危険もあります。

すると、せっかく安定していた水槽環境が不安定になってしまうので、やはり採取魚をいきなり水槽に入れることは避けた方が良いです。

感染などの危機を回避する方法

採取した魚はそれだけで飼育する!

なるべくなら、採取した魚はその個体のみ、あるいはそれらの個体同士だけでの飼育が望ましいです。その主な理由に細菌類への耐性の違いが挙げられます。

水中にも常在している細菌は存在し、その中には「エロモナス菌」など代表的な魚病の原因となる種類も居ます。それらの存在割合はそれこそ水槽単位で異なり、河川などの自然環境下との比較では言うまでもありません。

魚たちは生まれ育った環境下での細菌類への耐性は獲得しています。しかし、環境ががらりと変わり未知の細菌叢(個々の環境下において存在する細菌の種類や構成比のこと)に晒されてしまうと、どうしても調子を崩したり細菌感染する個体も出てきてしまうのです。

そのため、水槽で飼育されてきた既存の魚と採取してきた魚を混泳させると、互いに細菌感染のリスクが発生してしまいます。どうしても混泳させたい場合は、下記の「トリートメント」をしっかりと行ってから導入しましょう。

導入する場合はトリートメントしよう!

トリートメントとは、現在運用しているメイン水槽とは別の水槽などの容器を用意して、そこで新しく迎えた魚を一定期間飼育することです。

トリートメントの狙いとしては、病気の持ち込みを防ぐことや餌付けを行うことなどが挙げられ、新魚を既存の水槽に導入する際には、必須といっても過言ではない工程です。

トリートメントを怠ったがゆえに、メイン水槽に病気が蔓延した事例は散見されるので、面倒くさがらずに行っておくことをおすすめします。採取時に外傷を負ってしまった魚も、メイン水槽に導入する前にトリートメントで傷を治しておきましょう。

また、トリートメントには上記の、新しい環境における細菌叢への耐性を獲得させる目的もあります。トリートメント容器でメイン水槽の飼育水を使って一定期間飼育することで、採取魚を取り巻く細菌叢を置き換え、それらに対する耐性を獲得させるのです。

先住魚が居ないストレスの少ない環境で飼育してあげれば調子を崩しにくいですし、万一細菌感染したとしてもすぐに治療に取り掛かれる利点があります。

病気の発症がない、病気や傷の治癒が完了した、餌付けができたことなどが確認できたら、メイン水槽に導入しましょう。

餌付けはじっくり行おう!

採取した天然魚を飼育する際は、人工飼料を食べてくれかどうかで、その後の維持管理の難易度が大きく異なるので、餌付けは行っておきましょう。しかし、餌付けが上手くいくかどうかは個体差が大きいので、じっくりと取り組むことが重要です。

天然魚の多くは、採取してから2~3日は環境の変化などのストレスもあり、人工飼料に見向きもしないので餌は与えません。その後は生餌を与えて環境に慣れさせて、徐々に人工飼料を混ぜて与えると、食べられる餌であることを認識して口にするようになります。

ただし、天然魚の中には、全く人工飼料を受け付けない個体も居ることは留意してください。そのような個体を飼育するためには、生餌を用意し続ける他ありません。

まとめ:採取した魚をそのまま水槽に入れてはいけない理由!危険性を解説します!

自然環境下で採集してきた魚は、病原体を保有している可能性や、餌付けができていないことから、そのままメイン水槽に入れてはいけません。いきなりメイン水槽に導入することで、せっかく安定していた水槽環境が崩壊する危険があります。

採取魚を飼育する際は、基本的にはその個体のみか、採取魚同士だけで飼育しましょう。メイン水槽で飼育している魚と混泳させたい時は、トリートメントをしっかりと行うことが重要です。後は、餌付けを行っておくと、その後の管理が楽になります。

魚たちを安全に飼育するためには、天然魚が抱える危険性について知っておくことが重要です。