熱帯魚水槽に水草を入れることで、より自然豊かな水景を作ることができ、飼育している熱帯魚達が嬉しそうな表情、動き方をしている感覚を受ける人も多いのではないでしょうか。
でもそれは決して誤った感覚ではなく、多くの熱帯魚にとって水草がある環境は好ましい環境と言えるでしょう。
しかし、水草が持つ水槽に与える本当の効果、メリットはそれだけではありません。
熱帯魚水槽に水草があるという環境は、水槽内の熱帯魚が安らぐだけでなく、水槽に生える嫌な藻を吸収する、または水質向上と水槽管理面でも大きな役割を担うのです。
ここでは、熱帯魚水槽に水草が必要な本当の理由について解説していきます。
水草が必要な理由
熱帯魚水槽に水草が必要な大きな理由として、熱帯魚の隠れ家を作ることでのストレス緩和効果と、水槽に生える藻の原因となるリンを吸着する目的、そして鑑賞目的として意味があります。
まず、熱帯魚は人間に常に姿を見られることを嫌います。
ひっそりと身を隠し安らぐ場所を必要とするため、水草が植栽された隠れる場所と言うのは、熱帯魚達からするととても大切な場所となります。
次に、水草が持つ水質向上効果です。
ただし、注意しなければならないのは、すべての水草が効果的に藻の発生要因の1つであるリンを吸着するわけではありません。
リンを吸着するスピードが速い水草を入れることで藻の発生を抑制することが可能となります。
そして最後に鑑賞目的としての効果も絶大ですね。
それぞれ詳しく解説していきます。
熱帯魚のストレス緩和としての役割
水草を植栽し隠れ家を作ることができれば、熱帯魚たちはストレスを緩和することができより一層鮮やかな発色を引き出してくれます。
とくに、繁殖目的で飼育する場合、メジャーな所で言えばグッピーやプラティーなどが多いですが、水草があることで産まれたばかりの稚魚が隠れるには最適です。
すこし話は逸れますが、グッピーやプラティーの稚魚を産卵箱で飼育する場合もありますが、水草が植栽されている水槽で稚魚を育てるケースのが、大人になった個体が美しい、または元気なことが多いように感じます。
やや残酷な話ですが、強い個体のみが生き残るといった自然の環境さながらになることが、こういった結果をもたらす要因ではないかと考えています。
水草を植栽することで、多くの熱帯魚にとって良い結果が生まれることが多いため、是非水草を適度に植栽して熱帯魚たちの美しさを最大限に引き出してあげましょう。
藻の抑制としての役割
水草を植栽することで、水槽に発生する藻を抑制することができます。
その理由は、水槽に生える藻の栄養分となるリンという栄養源を水草が吸収することになるからです。
ただし、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、単純に水草を入れて置けば良いというわけではありません。
なぜなら、水草がリンを吸着する時は水草が成長する時だからです。
つまり、水草を成長させなければ藻の抑制はできないということです。
そのため、水草を使い藻の抑制をさせたいのであれば、水槽の環境に適した水草で、かつ成長の早い水草を選定することが最も効果的なのです。
この条件に一番適した水草は、マツモやウィローモスといった水草です。
この2種類の水草は、育成も容易で成長も早いためおすすめです。
鑑賞目的としての効果
水草が植栽されていない殺風景な水槽、または人工の草が入っている水槽と比較し、やはり本物の水草でレイアウトされた水槽は目を見張るものがあります。
水流にたなびいてゆらゆら揺れる水草の姿、光合成をして酸素の気泡を放出する姿など、本物の水草が奏でる美しさは、水槽の質を上げて鑑賞価値を高めるには必須とも言えるでしょう。
そして、水草には多種多様の種類が存在します。
水槽管理者の技術とセンスで葉の細い繊細な水草、葉の大きい水草、水槽の目を引く鮮やかな赤色の水草、黄色味の強い水草などを、水槽レイアウトのどこに植栽するかで水槽の雰囲気が大きく変わるところも魅力の一つと言えるでしょう。
これから、美しいアクアリウムを楽しみたいといった方は、水草を植栽して美しく育てることをおすすめいたします。
ナチュラルシステムとしての役割
最後になりますが、水草は魚の排泄物や残餌などの有機物を葉や根から吸収することも分かっています。
ろ過フィルター無く管理することが多いビオトープは、まさに自然の生態系を意識して制作するため、水草の存在は非常に重要となります。
ただし、いろいろな種類の熱帯魚を飼育する場合、水草の浄化作用だけではやや物足りないのも事実です。
水草だけの浄化作用で管理する場合は、水槽内の生体数を減らし余裕を持った水槽管理、そしてこまめな観察が大切です。
熱帯魚を複数飼育する場合は、必ずろ過フィルターを設置するようにしましょう。
水草水槽なら、外部フィルターがおすすめです。
まとめ: 水草の重要性とは! 熱帯魚水槽に水草が必要な本当の理由をプロが徹底解説
水草の重要性について解説しました。
水草は鑑賞価値を上げるために入れる方も多いかとおもいますが、それ以外にもいろいろとメリットがあるのをご理解いただけたかとおもいます。
ただし、そのメリットを生かすためには自身の水槽をよく把握し、数ある水草のなかでどの水草がベストなのか、またはベターなのかを見極めて導入することが大切です。
その見極めが難しい場合は、まずは、マツモやウィローモスなどの簡単に育成できて効果的な水草を導入するようにしましょう。
水草を育成できるようになれば、ますますアクアリウムが楽しくなります。
ぜひ、水草が織りなす自分だけの水の世界を作り、アクアリウムを楽しんでいきましょう!
熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!
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