爬虫類を飼育している水槽などで多く見かけるバックボード。実はアクアリウムで使うことで以下のようなメリットが得られるんです。
- 少ないアイテムで本格的なレイアウトを実現
- 水族館のような精巧な水槽を作ることができる
- 軽量なので安全
バックボードは売られているものを買って使うのもいいですが、擬岩や流木などを使って自作することも可能なアイテムです。今回はバックボードを使うメリットやおすすめアイテム、自作する方法などをご紹介します。
バックボードとは
(これは擬岩です)
飼育ゲージなどで見かけることも多いアイテムですが、立体的な凹凸を持たせたバックスクリーンのことを指す言葉です。バックパネルやバックウォールといった呼ばれ方をすることもありますよ。
水槽内に入れたり貼り付けることで水槽の雰囲気を変えられるほか、立体感を持たせることが可能で爬虫類の水槽でもよく使用されるアイテムです。
バックボードを使用するメリット、効果
バックボードをアクアリウムに取り入れることはそこまで一般的なことではないですが、意図的に取り入れることでさまざまなメリットを得ることができます。ここからはどのようなメリットがあるのかをお話します。
簡単に本格的なレイアウトを実現
アクアリウムのレイアウトを整えていく中で、飼育している生体がヒレの長い熱帯魚などの怪我をしやすいタイプなために流木をレイアウトに取り入れられないケースや、シュリンプ類など水草を食べたり掘り返したりする生体がいるために水草を入れられないといった悩みに直面することも少なくありません。
こういった理由で水槽内にレイアウトアイテムを入れづらい場合はバックボードを取り入れるのがおすすめです。
水槽内のアイテムが少ない場合は見た目が寂しいことに加えて、生体が落ち着かないこともありますが、こういった問題もバックボードで解決できる場合もあり、水槽内の環境に影響を与えないレベルで本格的なレイアウト水槽を作り出せるんです。
水族館のような水槽を作ることができる
アクアリウムを楽しむ人の中には自分の水槽を水族館のように精巧でリアルな水槽にしてみたい、と考える人も多いのでは?意外に思われる人もいるかもしれませんが、水族館の水槽などにある立体的な岩や岩壁などのアイテムは本物ではなく、本物のように見せて作られた擬岩が使われています。
そのため実際にこういった擬岩を用意するのが難しい場合でも、擬岩風のバックボードを用意して入れることで、憧れの水族館風の水槽を自宅で再現することもできます。
擬岩のバックボードは軽量なので安全
改めて触れる問題ではありませんが、水槽はとても重いもので岩壁を擬岩ではなく天然の岩で再現しようとした場合、岩の重量に加えて水の重さ、水槽本体や機材の重量などが合わさり、その重量もかなりのものとなってしまいます。
重量が重くなれば重くなるほど水槽台や設置場所の床にかかる負担は大きくなり、耐荷重の大きいものに変えたり床の補強を行ったりといった対策が必要になる場合もあり、より負担が増加してしまいます。
しかし擬岩を使ったバックボードであれば軽量なものがほとんどなので、重量を気にせず使えるというメリットがあります。
水槽の重さと耐荷重の関係性をもっと知りたい人はこちらの記事を参考にしてみてください。
簡単に導入できるおすすめのバックボード
バックボードといっても自作する人もいますし、売られているものもさまざまな種類があるのでどれがいいのか悩んでしまうことも。そこでここでは売られているバックボードの中でも購入しやすく、レイアウトにも取り入れやすいおすすめアイテムを5つ見ていきます。
擬岩のバックボード
多彩なスタイルの中からお気に入りのものを選べるので、異なる生体ごとに違うバックボードを用意するといった使い方もできます。背景のパターンはわりと大きめですが、3D造園効果もあるので水槽の見た目を立体感のあるものにすることが可能です。
アクアリウムで使われることが多いライブロックを擬岩として人工的に作り、バックボードにした商品です。割れやすい商品なので取り扱いには注意が必要ですが、ライブロックならではの凸凹感が水槽のレイアウトに幅を持たせてくれます。
水槽内に入れることで水質がアルカリ性になってしまうため、海水水槽なら問題ありませんが淡水を好む熱帯魚などの生体を飼育している場合や、水質を酸性寄りにしたい場合は厳しいアイテムといえます。
迫力なら天然素材を使用したバックボードもおすすめ!
擬岩ではなく本物の石や岩といった天然素材を使ったバックボードも販売されています。これらのアイテムは重量があるので使う水槽を選ぶなどのデメリットもありますが、存在感という意味では圧倒的なものがあります。また使われている素材が天然素材なので、生体がなじみやすいのも大きなポイント。
しかし水槽に立てかけて側面に負荷がかかりすぎると地震のときなどに水槽が破損しやすくなるので、売られているものを使う場合は使用方法通りに設置させることが重要です。
ここからは天然素材を使ったバックボードの中でおすすめのアイテムをご紹介します。
ウォールロック ナチュラル +風山石セット
佐川急便指定 ウォールロック ナチュラル 60cm水槽用 580×350mm(1個)(形状お任せ)同梱不可 沖縄不可
素材に本物の石を使った本格志向の『ウォールロック』シリーズのひとつです。ゴツゴツとした自然な形の石が使われているので圧倒的なまでの存在感を見せてくれますし、ハンドメイド品なので同じものがないのも大きなポイント。風山石もセットになっているのでバックボードと一緒に使うことでさらに味を持たせることができます。
ウォールロック シャープ
ウォールロック シャープ 30cm水槽用 280×290mm(1個)(形状お任せ) 沖縄別途送料
こちらもウォールロックシリーズのひとつですが、石の形が切り出した四角いものを使用しているのでナチュラルとは違った見せ方ができます。側面からみると上よりも下のほうがせり出している造りになっているので、立てたときのバランスもしっかりしています。
ウォールロック シャープ Ver.枝状流木
佐川急便指定 ウォールロック ナチュラル Ver.枝状流木 60cm水槽用 580×350mm(1個)(形状お任せ)同梱不可 沖縄不可
切り出し石のような四角い石を組み合わせた『ウォールロック シャープ』に枝状の流木を組み合わせてさらにワイルドな見た目に仕上げられたバックボードです。使われる石も流木もひとつとして同じものがないので、オリジナリティを求める人におすすめのアイテムです。
好きなアイテムを貼り合わせて作ることも可能
ここまでは売られているバックボードの中でおすすめのアイテムをご紹介しましたが、実はバックボードは簡単に自作することもできるんです。ここからはバックボードを自作する方法や、注意点を見ていきます。
簡単にバックボードを自作する方法
バックボードを自作する場合、簡単にできる水槽用接着剤を使う方法と、発泡スチロールを削って作ることで手間はかかるものの本格的なものが作れる方法があります。ここでは簡単な前者での作り方をご紹介します。
基本的には擬岩や飾り石、流木など水槽内に設置できるアイテムを用いて、水槽用接着剤で板状に貼り合わせて接着剤が乾いたら水槽の背面に立てかけるだけで完成です。接着が完了するまでの時間はアイテムによっても変わりますが、数時間~半日程度かかることも。
特に専門的な知識が必要でもないですし、好きなアイテムが使えるというメリットもあるので自分が望むバックボードを手に入れることができるのが大きなポイント。しかし自作の場合はバランスが安定せず、水槽内で転倒してしまうことを防ぐためにほかの石や流木などで押えてあげる必要性があります。
水槽用バックボード作成の注意点
バックボードを作るときに使う水槽用接着剤は熱帯魚などの生体に対して多大な健康被害を及ぼすものではないですが、水質変化を引き起こすこともあるのでエビなど水質変化に弱い生体を飼育している水槽に使用することは避けたほうがいいです。
そのほか擬岩であれば問題はありませんが、流木や飾り石などを使う場合はボード自体の重量にも注意が必要です。重い岩などを使うとレイアウトに存在感を持たせることはできますが、水槽の壁面などに負担がかかってしまうため破損などをおこしてしまう恐れがあります。
こうした点からも自作する場合はできれば擬岩を中心に作ることが望ましいです。流木や飾り石などのアイテムを使用する場合は、流木は前処理をしっかりと行い、飾り石は軽くて小さいものを使用することが望ましいです。また重い石などを使う場合はボードの下部に重心がいくように心がけて作るのも重要です。
簡単自作バックボードに使えるアイテム
バックボードを自作する場合は、擬岩や飾り石・流木など簡単に手に入れられるアイテムを使えるのが大きなポイント。もちろん若干こだわりたい場合はモルタルを使って自分で擬岩を作ってもいいですし、水を吸収しにくいスタイロフォームなど使う人もいます。
擬岩を自分で作る場合は塗装剤も水槽に悪影響を与えないものを選ぶ必要があるので注意が必要です。
バックボードを使用する時の注意点
バックボードを使うことで水槽のレイアウトに幅を持たせることができますが、バックボードならではの注意点もきちんと把握しておかないといけません。ここからはそんな注意点をご紹介していきます。
溝に汚れなどが溜まりやすい
バックボードはその構造上細かい凹凸があるものがほとんどで、そのため溝にコケや汚れが溜まりやすいんです。これを放置すると水質悪化の原因にもなるので、水替えと同時に行うなどタイミングを見計らって掃除をしてあげましょう。
もちろん流木などと同じようにオトシンクルスやヤマトヌマエビといったコケ取りをしてくれる生体を入れておくと、汚れがたまる頻度が低下するのでおすすめです。
アクアリウム用でないと材質・塗料が水に溶ける可能性がある
バックボードはお店で売られている立体的なものや、自分で作ることもできるので幅広い種類があるアイテムですが、売られているものを買う場合は水槽専用のものを使わないと、塗料などの有害物質が水に溶けだしてしまい、熱帯魚をはじめとする生体がダメージを受けてしまうことがあるんです。
また水槽専用のものを購入したり、自分で作る場合に水槽用の接着剤や塗料などを使った場合でもバックボードを入れることで水質が変化してしまうことが少なくありません。そのため水質変化に弱い生体を飼育している場合は使用を避けるのがおすすめです。
まとめ:水槽にバックボードを入れてみよう!自然で本格的なレイアウトができます
バックボードは自作でも簡単に作ることも可能で、怪我をしやすい熱帯魚や水草に悪影響を及ぼす生体を飼育しているために使える水槽のアイテムが少ない場合でも本格的なレイアウトが実現できるアイテムです。
その一方で水槽の水質を変化させてしまう点や、重いバックボードを使う場合は水槽の側面に負荷がかかりすぎることがあるなどのデメリットもあります。
バックボードの導入を考えている際はこの記事を参考にして、水族館のようなデザイン性の高いレイアウト水槽を作り出しましょう!
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