熱帯魚は今でこそペットショップやホームセンターなどでも売られ、手軽に楽しめる身近なものとなっていますが、最初のブームとなる1960年代以前は庶民では手が出ないお金持ちの趣味でした。
今のように多くの人が熱帯魚を楽しめるようになった大きな理由として飼育設備が進化したことや、改良品種が広がりを見せたことがあげられます。
今回はいつもとは若干趣向を変えて、日本で熱帯魚が広まった理由や人気の高い熱帯魚の移り変わりを見ていきます。
熱帯魚が日本で広まった理由
一般家庭をはじめ、病院やオフィスなどさまざまな場所で見られる熱帯魚。子どもから大人まで楽しめる一般的な趣味としても知られるようになり、その敷居も今でこそ低くなっていますが、熱帯魚ブームが起きるまでは非常にお金のかかるごく一部のお金持ちの趣味といった時期もありました。
ここからは熱帯魚が日本で広まるようになった理由を見ていきます。
はじめの熱帯魚ブームは1960年代!
日本における熱帯魚は大正時代から持ち込まれ始めたとされていますが、終戦後の1950年代になって飼育用品が普及するようになったこともあり、一般的に飼育できるようなりました。
それより前は維持費用はもちろん生体もかなり高価なもので、今でこそ1匹150円前後で買えるネオンテトラが1匹で10万円という考えられないレベルだったこともありお金持ちの趣味とされていたんです。またネトンテトラをもし繁殖できれば新聞に掲載されるなんて噂もあったといわれています。
しかし飼育用品の普及などもあり、徐々に庶民でも熱帯魚を楽しめる環境が整ってきたこともあり1960年代に最初の熱帯魚ブームが起き、生活の中に熱帯魚がどんどん浸透していくようになったんです。
熱帯魚や金魚の豆知識を知りたい人はこちらをチェック!
飼育設備の進化
熱帯魚を飼育する上でろ過フィルターやエアーといった必要な機材は改良による進歩が続き、高い品質のものを安く購入できるようになってきていることもあり、年齢を問わず熱帯魚の飼育を楽しめるようになっています。
最近ではアクアリウムを始めたい人向けに必要アイテムがセットになったスターターキットなども販売されていますし、価格も安いので熱帯魚飼育を始めやすい環境を活かしてアクアリウムを始める人も多くなっているんです。
初心者におすすめできる熱帯魚はこちらで解説しています。
改良品種の広まり
日本で熱帯魚人気が広がっている要因のひとつに改良品種が盛んに市場に出回るようになったことが挙げられます。熱帯魚に限らずどんなペットにもいえる話ですが、種類が乏しいとニーズも偏ってしまう結果になってしまいますが、熱帯魚の場合はネオンテトラだけで見てもダイヤモンドやニューゴールデンなどの改良品種が存在し、異なるニーズにも応えられるようになっています。
こういった改良品種の熱帯魚を採り入れて他とは異なる観賞ができるのも日本で熱帯魚人気が高まった理由のひとつと言えるでしょう。
観賞魚についてはこちらでも解説しています。
年代別!人気の熱帯魚
1960年代に起きた最初の熱帯魚ブームから時代は進み、熱帯魚の楽しみ方も多彩になっていますが、年代ごとに人気が高い熱帯魚に変化があることをご存知でしょうか。
ここでは80年代・90年代・2000年代・近年と4つの時代にわけてどういった熱帯魚が人気だったかをご紹介していきます。
80年代:ネオンテトラ・アロワナなどのアマゾン系
1980年代後半には熱帯魚ブームが起きますが、ブーム前でもネオンテトラやアロワナをはじめとしたアマゾン系の熱帯魚やディスカスなどは人気が高く、高値で取引されていました。この頃は水槽の枠がステンレスのものも多く、ショップなどでも水槽単体で販売されていることが多かったです。
水槽の歴史はこちらでも解説しています。
90年代:グッピーなどの改良品種
やがてバブル景気に後押しされるように80年代後半から90年代前半まで飼育しやすく色がきれいな「ブルーグラス」を中心としたグッピーブームに代表される熱帯魚ブームが起きました。この時期は色が鮮やかな熱帯魚の人気が特に高かったのも特徴です。
2000年代:カクレクマノミなどの海水魚
熱帯魚ブームが落ち着いた後もアクアリウムは一般的に定着し、人気の中心は依然淡水魚でしたが、突如として海水魚ブームが起こりました。その中心にいたのがカクレクマノミ。そう、「ファインディング・ニモ」が火付け役だったんです。
海水魚用の水槽や機材などはこのブームが起きる前は大型のものがほとんどで、一般家庭向けのものはほとんどありませんでしたが、この影響で小型のものが開発・販売されるようになり、また生体もブリードのものが出回るようになりました。
海水魚飼育は淡水魚よりも難易度が高く失敗してしまうケースも多かったですが、現在の海水魚飼育に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。
近年:ラスボラ・ボララスなどの小型魚
近年はアクアリウムを楽しむ人も多いですが、ラスボラやボララスといったサイズが小さく美しい熱帯魚の人気が高くなっています。これらの小型魚はそこまで大きな水槽を必要とせず、性格的に大人しいので同種混泳が可能なのも大きなポイントです。
また熱帯魚ではありませんが、色が鮮やかなメダカもとても人気が高く、メダカブームとも言われているほど。これらは「小型」「色が鮮やか」という共通点があるので、近年のニーズがここにあることがうかがい知れます。
人気熱帯魚は世相を反映する?
人気の高い熱帯魚は特に共通点があるわけではありませんが、80年代ならちょっと自慢できるような高級なもの、熱帯魚ブームも起きた90年代は華やかさが見える色鮮やかでポップなもの、近年であればコンパクトなスペースで飼育ができる小型魚、といったように世相を反映しているといえるものが多いんです。
まとめ:熱帯魚は日本でなぜ広まったのか!熱帯魚飼育の歴史と人気魚種をみる!
小型で美しいものから大型で存在感があるものまで、熱帯魚はさまざまな種類がありアクアリウムなどで楽しむ人も多いですが、1960年代の熱帯魚ブーム以前はお金持ちの趣味とされ、庶民の楽しみではありませんでした。
しかし飼育設備の進化により一般的に飼育ができるようになったことや、改良品種が数多く広まったことにより日本国内で熱帯魚の人気が下火になることはなく、今もなお高い人気を誇っています。
今回の記事がこれらの歴史や、ネオンテトラからラスポラまで、その時代ごとに人気が高い熱帯魚とその傾向を知るきっかけになれば幸いです。
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