「赤虫」は嗜好性が高く稚魚から成魚まで、さまざまな観賞魚に与えられる餌です。
他の餌を食べない魚でも、赤虫であれば好んで食べることも少なくありません。
しかし、赤虫には「消化が良い」という意見もあれば、「消化が悪い」と言われることもあります。いくら良く食べる餌であっても、消化不良を起こしてしまっては意味がありません。
そこで、今回は赤虫は消化が悪いと言われる理由と安全な与え方をご紹介します。
赤虫の消化を考える!
赤虫は多くの魚が好んで食べる優秀な餌ですが、消化の良し悪しは意見が分かれます。
しかし、そのあたりをはっきりさせないと、魚に与え続けてよいものか判断ができません。
結論から述べると、「赤虫は消化が良い餌」と言えます。消化が悪いと言われるのは、おそらく与え方の問題です。
赤虫は消化が悪いという噂
赤虫は消化が悪いという噂がありますが、理由はおそらく、
- 与えすぎ
- 解凍できていない
この2つです。
よく食べるからといって、たくさん与えると消化不良を起こしても無理はありません。これは、赤虫に限らず、その他の餌にも言えることです。
また、完全に解凍できていない場合も消化が悪くなってしまいます。
赤虫は栄養価の高い優れた餌
赤虫は栄養価の高い優れた餌で、タンパク質が豊富に含まれています。
その反面、ビタミンはあまり多くありません。室内飼育の場合はどうしても太陽光に当たる機会がなくプランクトンも少ないので、ビタミンが不足しがちです。
そうなると、赤虫は餌としてあまり良くないのでは、と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。キョーリンの「クリーン赤虫」などは、ビタミンを添加することで、赤虫の欠点を補っています。
ただし、与えすぎると腸内環境が崩れてしまう可能性があるので注意しましょう。
赤虫を消化よく与えるには
赤虫は消化が良い餌ですが、与え方が悪いと消化不良を起こしてしまう可能性があります。
そのため、与える際は、
- 冷凍赤虫は完全に解凍する
- 鮮度に注意する
- 与えすぎない
この3点に注意して与えるようにしましょう。
順を追って解説します。
冷凍赤虫は完全に解凍しよう
冷凍赤虫は完全に解凍してから与えるようにしましょう。
解凍が不十分だと、消化不良を起こすだけでなく、内臓に負担をかけてしまう可能性があります。小さな容器に移して自然解凍、もしくは飼育水を少し加えると早く解凍することが可能です。
赤虫の鮮度に注意!
赤虫は鮮度に注意する必要があります。
冷凍とは言っても、長期間経過すると劣化や酸化するので使用を避けましょう。同様の理由で、一度解凍したものを再び冷凍して使うこともおすすめしません。
解凍したものは速やかに使用した方が良いです。
また、購入して持ち帰るまでに解けてしまうのを防ぐために、保冷バッグは必ず用意しましょう。お店によっては新聞紙などで包装してくれることもありますが、帰った頃には表面が半解凍状態になってしまうことも少なくありません。
与えすぎは消化不良のもと
赤虫は消化が良い餌ですが、与えすぎると消化不良を起こす可能性があります。
与える際は、食べ具合を確認しながら量を調整しましょう。冷凍赤虫は小さく分割されているので、きれいに食べ切る個数を覚えておくと、与えすぎを防ぐことができます。
心配であれば、赤虫を少なめにして人工飼料などで調整すると良いです。
冷凍赤虫を与えやすくするアイテム
冷凍赤虫は解凍してそのまま与えると、水槽内で散らばって食べ残しが増えたりろ過フィルターに吸い込まれたりなどして、水質悪化につながってしまいます。
そのような場合に役立つのが、「フィーダー」と「スポイト」です。
これらを使うと、赤虫が必要以上に広がらないので効率よく給餌することができます。
フィーダー
冷凍赤虫を与える専用のフィーダーです。
水槽の内側にキスゴムなどで貼り付けるだけなので設置も簡単。冷凍赤虫を入れると水温で自然に解凍され、完全に解けたものからスリットを抜けて落ちていきます。
わざわざ解凍してから与える必要もなく、半解凍状態による消化不良の心配もないため、とてもおすすめです。冷凍赤虫を与える機会が多い場合は1つあっても損はありません。
スポイト
解凍したものをスポイトで与える方法もあります。
フィーダーでは表層を泳ぐ魚に食べられて底層まで餌が行き届かない場合におすすめです。小さなプラスチック容器などに赤虫を入れ、飼育水で解凍したものをスポイトで吸い込み与えます。
目的の魚付近に落とすことができる効果的な方法です。水槽のサイズや給餌したい魚に合わせて、スポイトの長さを選ぶと良いでしょう。
ただし、勢いよく吸い込んだりスポイトを逆さまにしたりなどすると、ゴムの部分に赤虫が溜まることがあるので要注意です。
主食はあくまで人工飼料がおすすめ
赤虫は消化が良く栄養価も高い優れた餌ではありますが、主食には人工飼料を使うことをおすすめします。
ビタミンは添加してあるタイプであっても不足しがちなうえに、たんぱく質のみ与え続けると体型崩れを起こすこともあります。屋外飼育の金魚などが赤虫だけでも平気なのは、植物性プランクトンなどが水中にいるからです。
その点、人工飼料はビタミンはもちろん、魚に必要な栄養素を考えてバランスよく作られています。ただ、嗜好性では赤虫の方が高いので、人工飼料よりも赤虫を好んで食べる魚も珍しくはありません。
そのため、人工飼料をメインにして、時に赤虫を与えると良いでしょう。もちろん、与えすぎには要注意です。
まとめ:赤虫は観賞魚にとって消化が悪いのか?そういわれる理由と安全な与え方!
赤虫は観賞魚にとって消化が良く栄養価に優れた餌ですが、
- 与えすぎ
- 解凍が不十分
これらの理由で消化不良を起こすことがあるので、与え方には注意しましょう。
また、赤虫に限らず、同じ種類の餌を与え続けると栄養バランスが偏ってしまうため、人工飼料と合わせて給餌することをおすすめします。
赤虫を凄い勢いで食べていく光景は見ていて楽しいものです。給餌は観賞魚飼育の楽しみの1つとも言えるので、適切な量と与え方を守って嬉しそうに餌を食べる魚を眺めましょう。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。