アクアリウムをしていると、必ずと言っていいほど直面するのが、コケによる問題です。
水槽の壁面や水草に繁茂したコケは見栄えが悪いですし、こそぎ落としても何度も生えてくるため、とても嫌ですよね…。
そんなコケにお困りの時は、お掃除生体の力を借りてみましょう。コケを食べてくれる魚は色々いますが、それぞれ得意とするコケの種類が異なりますので、水槽の状態に合わせた適切な生き物を導入することで、コケの繁茂を抑制し、お掃除の手間を減らすことが可能です。
今回は、コケの種類別に、おすすめのお掃除生体や抑制の仕方について解説をしていきます。
それぞれのコケの特徴や対策の考え方についてもご紹介しますので、コケにお悩みの方はぜひこちらの記事をお役立てください!
コケは種類ごとに特徴がある
水槽に生えるコケは、大きく分けて5つの種類があります。
それぞれの見た目から
- 緑コケ(糸状コケ)
- 茶コケ
- 斑点状藻
- 房状コケ(髭コケ)
- 藍藻(アオコ)
と呼ばれており、形状や色もさることながら、生えてくる条件なども種類によって異なるのが特徴です。
まず、緑色の糸のような形をした緑ゴケは、コケの成長に必要なリンや窒素などの養分が水槽内に余剰している際に発生しやすい傾向にあります。
ヌメヌメとした茶色の茶ゴケは、生物ろ過の安定してない水槽立ち上げ初期に発生しやすいです。
水槽の壁面に生える緑色のポツポツとした斑点状藻は、ライトの照射時間が長く、水槽内の栄養素が増えてきている場合に繁茂しやすいです。
フサフサとした毛のような形状の房状コケは、ソイルや肥料を入れることの多い水草水槽内では、必ずと言っていいほど繁茂します。
飼育水が緑色に濁った状態の藍藻は、水換え不足や高水温、生体数の多い環境下で発生しやすいです。
このように水槽に生えるコケにはそれぞれ形状や発生条件に違いがあるため、いま頭を悩ませているのはどの種類のコケなのか、再度確認をしておきましょう。
コケの種類や特徴についてはこちらのコラムでも詳しく解説していますので、併せてご覧になってみてください。
緑コケのお掃除生体と考え方
まずは緑コケをよく食べるお掃除生体と、対処の考え方についてご紹介をしていきます。
ヌマエビ類、オトシンクルスがおすすめ!
緑コケをよく食べる生体としては、
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
- チェリーシュリンプ
- オトシンクルス
- サイアミーズフライングフォックス
- ブラックモーリー
などが挙げられます。
コケは無くそうとするのではなく、抑制しよう
緑コケは生体のフンや餌の食べ残しから発生したリンや窒素などの養分と、光をもとに成長していきます。
しかし水槽内からそれらの養分を完全になくすことは難しいため、なるべく養分を減らしてコケの発生を抑制しながら、水槽の鑑賞性を保つという考え方をしていきましょう。
お掃除生体はあくまでも『急激な繁茂を防いでくれる存在』と位置付けて、こまめに水換えや掃除を行い、養分を減らしていくのが得策です。
茶ゴケのお掃除生体と考え方
続いては茶ゴケをよく食べるお掃除生体と、対処の考え方についてご紹介をしていきます。
オトシンネグロや貝がおすすめ!
茶ゴケをよく食べる生体としては、
- オトシンネグロ
- オトシンクルス
- タニシや石巻貝などの貝類
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
- サイアミーズフライングフォックス
- ブッシープレコ
などが挙げられます。
水質が不安定になる要因を探ろう
茶ゴケは水槽立ち上げ初期に発生しやすいのですが、これは生物ろ過の過程で生じる硝酸塩が多すぎる影響と言われています。
弱い照明や、窓からの日光が長時間当たる場合にも生えやすいです。
茶ゴケに関しては好んで食べてくれる生体が多いので、お掃除生体を少数導入しつつこまめにメンテナンスをして、水質安定を目指しましょう。
斑点状コケのお掃除生体と考え方
続いては斑点状コケをよく食べるお掃除生体と、対処の考え方についてご紹介をしていきます。
イシマキガイがおすすめ!
斑点状コケをよく食べる生体としては、
- 石巻貝
- ブッシープレコ
などが挙げられます。
CO2や照明時間を見直そう
斑点状コケはCO2を添加している水草水槽で生えやすい傾向にあります。
水草を育成するのに適した豊富な栄養と光合成しやすい環境が整っている目印とも言えるので、「斑点状コケが生えるのは良い兆候だ」と捉える方も多いです。
斑点状コケを抑制するには照明時間を短くしたり、CO2を微調整するといった方法があるのですが、慣れが必要ですし、水草の育成を優先する場合には避けたいところです。
斑点コケはスクレーパーでこそぎ落としたり、お掃除生体に食べてもらいつつ、少しずつ抑制していきましょう。
房状コケのお掃除生体と考え方
続いては房状コケをよく食べるお掃除生体と、対処の考え方についてご紹介をしていきます。
ヤマトヌマエビやフライングフォックスがおすすめ!
房状コケをよく食べる生体としては、
- ヤマトヌマエビ
- サイアミーズフライングフォックス
などが挙げられます。
水流と肥料を調整しよう
房状コケは水中の養分が豊富で、光や水流が強く当たる場所に生えやすいです。
特に房状コケの中でも除去が難しい黒髭コケは、飼育水のGHが高くカルシウムが豊富な環境で爆発的に成長します。
水流の向きや強さを調節したり、水換えで過剰な養分を排除しつつ、コケの発生を抑えてきましょう。
また、房状コケはなかなかに硬いコケなので、好んで食べる生体があまりいません。
細々とした場所に生えたコケはサイアミーズフライングフォックスやヤマトヌマエビの助けを借りつつ、流木などに生えてるものは熱湯に浸けて弱らせたりして、徐々に減らしていきましょう。
藍藻のお掃除生体と考え方
続いては藍藻をよく食べるお掃除生体と、対処の考え方についてご紹介をしていきます。
ブラックモーリー
藍藻を食べる生体としては、ブラックモーリーなどが挙げられます。
水槽全体に水流を行き渡らせよう
藍藻は毒素を発生してしまう厄介なコケなので、今回ご紹介した中でも特に除去を優先したい種類です。
藍藻の発生した飼育水は緑色に濁るため、一見メダカ飼育に使われる青水(グリーンウォーター)だと思われがちですが、実は大きく異なります。
青水の色は植物プランクトン由来のもので、状態の良いものは炭のような香りがするのですが、藍藻の繁茂した水槽からはカビのような悪臭が漂います。
においを嗅ぐことですぐに判別できるでしょう。
藍藻は養分や汚れが蓄積しやすい淀みに発生することが多いため、まずはこまめに掃除・水換えをしつつ、水流が水槽全体に行き渡るよう吐出口や高さを調整します。
お掃除生体としてはブラックモーリーが挙げられますが、過信は禁物です。環境の改善を優先的に考えましょう。
まとめ:コケの種類別!おすすめのお掃除生体と抑制・対策の考え方を解説
今回はコケの種類別に、おすすめのお掃除生体や抑制の仕方について解説をしてきました。
水槽に生えるコケは大きく分けて5つの種類があり、それぞれ発生条件や好んで食べる生体、対策の仕方などが若干異なります。
まずはご自身の水槽にどんなコケが生えているのかを見極め、種類に合った対策をしていきましょう。
水槽に発生するコケと水流には密接な関係があるため、柔らかい水流を満遍なく行き渡らせるような工夫も大切です。
養分や水流、光量などを調節し、コケの目立たない美しい水槽を目指しましょう!
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!
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