アクアリウムを運用していく上で大切な機材や用品というと、水槽やろ過フィルターなどの大きなものが頭に浮かびやすいですが、忘れてはいけないのが、日常のお世話や緊急時に使用する常備品です。
バケツやクリーナーポンプ、カルキ抜きなどは日々のメンテナンスに必要ですし、魚病薬や携帯式エアーポンプといったものは、準備していないと緊急事態に対処することができません。
どれもアクアリウムを続けていく上で欠かせないアイテムですので、これらの細かな用品のストックも忘れずに確認しておきましょう。
ここでは、日々のお世話に、またはいざというときに、備えておくと安心な水槽の常備品をご紹介します。
水槽の常備品とは
水槽の常備品には、水槽運用で必ず使うアイテムと緊急事態に使うアイテムの2種類があります。
使用頻度は大きく異なりますが、どちらも水槽を安定して管理するために欠かせないものです。
ここでは、常に準備しておいたほうが良い理由と使用する場面を解説するので、常備品を揃える参考にしてみてください。
水槽運用で必ず使うアイテム
水槽で魚や生体を飼うときに必ず使うアイテムは次の4つです。
- バケツ
- クリーナーポンプ
- カルキ抜き
- 水温計
1つでも欠けると水槽のメンテナンスができなかったり、効率が下がったりするため用意しておきましょう。現在使っているものだけでなく、スペアも持っておくとより安心です。
バケツ
バケツはアクアリウムに欠かせない必須アイテムです。
水換えでは必ず使いますし、生体を一時的に隔離できるため、水合わせや薬浴・塩水浴する場合にも重宝します。
バケツのサイズは、10~15L程度の大きなものがおすすめです。
水換えで排水・注水するときに、大きいほうがこぼしづらいですし、水を運ぶ回数を減らせます。
また、バケツが壊れてしまうことは滅多にありませんが、複数個用意しておくと便利です。
水換えのときに排水と新しい水の準備を同時にできますし、魚の隔離や治療を行うときも、複数のバケツを使って、生体の状態に合わせた管理を行うことができます。
クリーナーポンプ
クリーナーポンプは、水換えの時に水を吸い込み排水しながら底砂の掃除ができる便利なアイテムで、あるとメンテナンスの効率が格段にアップします。
しかし、クリーナーポンプ自体に汚れやカビが付いていると、水槽に雑菌を持ち込む原因になりますので、交換用をいくつかストックしておきましょう。
また、クリーナーポンプには、以下の3種類があり、それぞれ使用感が異なります。
- プロホース
- プロクリーナー
- 電動式クリーナーポンプ
それぞれの特徴をご紹介しますので、ご自分の水槽に合ったものを選ぶ参考にしてみてください。
プロホース
プロホースはホースと呼び水するためのポンプが一体になったもので、ポンプを数回手押しすると排水が始まります。
水の吸い込み口を砂利に差し込めば、ゴミや汚れごと水を吸い出せる仕組みです。S~Lサイズがあるので、水槽の大きさに合わせたサイズを選びましょう。
プロクリーナー
プロクリーナーは底砂を掃除するための吸い出し口単体を指します。これだけでは呼び水で排水することはできませんが、オプションのポンプを接続すればプロホースと同じように簡単に排水が可能です。
プロクリーナーの特筆すべき点は、ホースも好みの長さのものに付け替えられる点で、長いホースを接続すれば直接水道に排水ができます。
バケツで排水を運ぶ必要がないので、水量が多い大型水槽ではこちらの方が便利です。
電動式クリーナーポンプ
電動式クリーナーポンプは、スイッチを入れるだけで排水できるのが魅力です。
手動のポンプで呼び水する場合、水槽と排水口に高低差を付けないと上手く水が排水できませんが、電動式ならば位置を気にせず素早く排水できます。
ただ、電動式は重くて小回りが利かないので小型水槽や複雑なレイアウトの隙間などには使いづらいです。
中型以上の大きな水槽やベアタンク式の隙間が少ない水槽ならば、電動式のメリットを存分に活かすことができますので、ご自分のスタイルに合わせて選択してみてください。
カルキ抜き
カルキ抜きは、水辺の生物を飼育する際の必需品です。
水換えに使う水道水には生体に有害な塩素(カルキ)が含まれているため、カルキ抜きで除去しないと使用できません。カルキは、バケツに水道水をためて日光が当たる場所に1~2日置いておけば抜くことができますが、時間がかかるためカルキ抜きを使用する方が簡単です。
水槽の大きさにもよりますが、水換えは2~3週間に1回は必要なので、常備しておきましょう。
水温計
魚はもちろん、水草やサンゴなどの健康を維持するためには水温の管理が必須です。
水槽には必ず水温計を設置して、正確な水温を把握できるようにしておきましょう。
水温計は壊れやすい機材というわけではありませんが、予備があるといざという時に安心ですし、水温を合わせたり、隔離水槽で使用したりと何かと使い道があります。アナログ式ならば安価ですので、複数持っていても損はありません。
電池を動力としているデジタル式の水温計を使用している場合は、電池のストックも欠かさないようにしましょう。
緊急事態に使うアイテム
水槽で飼育している魚が緊急事態に直面したときのために準備しておきたいのが次の3つです。
- 隔離水槽や容器
- 魚病薬
- 携帯式エアーポンプ
魚の体調不良や水質の異常などはいつ発生するかわかりません。急に症状が進行することもありますので、問題ないときにこそ、緊急事態を想定した備えをしておきましょう。
隔離水槽・容器
隔離水槽や容器は次のような場面で使用します。
- 病気の魚を薬浴・塩水浴する
- 新しい生体を水槽に入れる前にトリートメントする
- ケンカが発生したときの避難場所にする
- 卵や稚魚が産まれたときに隔離する
急を要することが多く、対応が遅れると事態が悪化してしまうようなこともありますので、必ず事前に用意しておきましょう。
隔離ケースには、水槽を用意しておく以外にもバケツやプラケースを代用したり、本水槽に引っ掛けて使う産卵箱を使用する方法があります。
ただ、産卵箱は卵の隔離には良いですが病気の隔離には不向きですし、バケツやプラケースは水槽用ヒーターを使用することができず、隔離水槽としては不便です。
そのため、スペースや予算に都合がつくのであれば、ガラス水槽を一つストックしておくことを検討してみてください。
魚病薬
魚病薬も常備しておきたいアイテムの一つです。
病気は基本的に治療が早いほど、回復する確率が上がります。また白点病などの感染力が高い病気では、早い段階で対処しないと水槽全体に蔓延してしまうことも珍しくないため、いつでも治療が開始できるよう薬を準備しておきましょう。
この時、常備しておくならば、様々な状況に対処できるだけ効能の多い薬が最適ですが、そこでおすすめなのが『グリーン F ゴールド顆粒』です。
この薬は幅広い病気に効果が期待できる魚の万能薬といっても過言ではない薬で、とっさの時に使用する常備薬として重宝します。
また、初期段階の病気の治療では塩水浴が推奨される場合がありますので、塩の残量も確認しておくと安心です。
携帯式エアーポンプ
携帯式エアーポンプは、緊急時の酸欠対策に効果的です。
地震などの災害時に停電すると電源式のエアーポンプが使えなくなってしまいますので、緊急用に電池式を一つ用意しておきましょう。ろ過フィルターや電源式エアーポンプが壊れたときの予備としてもおすすめです。
ソーラー式でも良いですが天候に左右されるので、安定感では電池式が勝ります。
常備品の整理とストックについて
常備品は水槽台の中や衣装ケースなどにまとめて、収納場所がわかるようにしておきます。
常備品はどれも水槽の運用に必要不可欠なため、スペアを容易しておくと安心ですが、通販サイト翌日配送サービスを利用したり、近隣のショップですぐに購入したりできるのであれば、無理にストックしておく必要はありません。
ただ、必要になった時にすぐに購入できるよう、販売状況には気を配りましょう。
常備品の交換目安
最後に、常備品の交換目安についてです。壊れるようなものでないと交換時期が判断しづらいですが、基本的には傷んでいたり、汚れが酷かったりする場合には交換をします。
例えばバケツやクリーナーポンプは、カビが生えたまま使用すると水槽に雑菌を持ち込んでしまう可能性があるため、使用前によく確認しましょう。
液状のカルキ抜きは劣化しやすく、時間が経つと腐卵臭のような異臭がすることがあります。この場合も使わずに買い替えてください。
カルキ抜きは固形タイプの方が長期保存に向いています。
また、一度開封した魚病薬は劣化が進むため短期間で使い切りましょう。丁寧に保管していても、開封して数カ月経過したものは劣化していると考えて良いです。
まとめ:水槽の常備品とは!アクアリウムで必ず使う・緊急時の備品を考える
今回は、普段のお世話に欠かせないものから緊急時に必須のものまで、アクアリウムの常備品をご紹介しました。
クリーナーポンプやカルキ抜きは定期的なメンテナンスを効率よくこなすために、おすすめのアイテムです。
バケツは使用用途が多岐に渡るため複数準備しておいて損はありません。
また、隔離水槽や魚病薬、携帯式のエアーポンプは緊急時に使用するため、用意しておくといざという時に慌てずにすみます。緊急時は対処が遅れると生体の生死にかかわることも少なくありませんので、余裕のある時に準備しておきましょう。
ぜひ皆さんもご紹介した内容を参考に常備品を揃えてみてください。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。