アクアリスト歴が長くても、熱帯魚の経験はあっても、海水魚飼育が初めてという人は寄生虫に悩まされることが多いと思います。
ホンソメワケベラという海水魚が寄生虫や他の魚の粘膜を食べてくれるのをご存知でしょうか?ホンソメワケベラは海水魚の中では「クリーナーフィッシュ」として知られているんです。
しかし、ホンソメワケベラが掃除してくれる寄生虫は、病原菌になるようなものは対象外なので、病気の治療には向きません。
今回はホンソメワケベラの生態や飼育方法などについて、ご紹介していきたいと思います。
ホンソメワケベラはどんな海水魚?
「クリーナーフィッシュ(掃除魚)」として知られているスズキ目のホンソメワケベラは、自分よりも大きなウツボやハタなどの皮膚についている寄生虫や汚れた粘膜を食べています。
たいていは、ホンソメワケベラが寄生虫のついている魚に付きまとって食べ始めますが、中には自分からホンソメワケベラに寄っていく魚もいるんです。
クリーニング中の魚の周囲に順番待ちをしている魚がいるくらい魚同士でも人気があり、大型魚や肉食の魚から食べられることもありません。
普段から独特の泳ぎ方をする海水魚で、その泳ぎを見て他の魚がホンソメワケベラがクリーナーフィッシュだと認識しているとも言われています。
太平洋やインド洋などの熱帯・亜熱帯地域の海域に分布していますが、日本では房総半島から南の海域の岩礁やサンゴ礁周辺で生息しています。
ホンソメワケベラは病気原因の寄生虫は食べない
「寄生虫を食べる」というと「病気を治してくれる」と勘違いする人がたまにいますが、ホンソメワケベラが食べてくれるのは、「甲殻類系の寄生虫」です。
白点病の原因になるウオノカイセンチュウのような、病気を発生させる寄生虫は食べてくれません。そのため、病気が発生している水槽内に入れてしまうと、ホンソウメワケベラまで病気になる可能性があります。
病気の場合は市販の治療薬を使いましょう。
ホンソメワケベラの偽物がいる?
さまざまな海水魚から人気のホンソメワケベラですが、実は自然界にはホンソメワケベラそっくりな偽物がいるんです。
「ニセクロスジギンポ」という名前のスズキ目の海水魚ですが、身体の大きさや黒いラインの入り方などがそっくりで、パッと見ただけでは区別するのが難しいんです。
比較してみるとニセクロスジギンポのほうが腹びれが長く、黒いラインが細めといったところでしょうか。その他にもホンソメワケベラは顔の先に口があるのですが、ニセクロスジギンポは口の位置が顔先のやや下にあります。
ニセクロスジギンポはホンソメワケベラのふりをして、他の魚に近づき、クリーニングをすると見せかけて鱗や皮膚を食いちぎるという悪質な魚です。
ホンソメワケベラの購入方法
ホンソメワケベラを購入するのなら、一般のアクアショップより「海水魚専門店」に行くことをおすすめします。
海水魚専門店ではポピュラーな海水魚なので、大抵のショップならホンソメワケベラがいます。インターネットでの通信販売でも購入することができます。
しかしインターネット通販で購入すると大きめなサイズのものが届くことが多いため、事前にサイズを確認しましょう。
地域によって体の色が違う?
ホンソメワケベラは住んでいる地域によって、体の色に少し違いがあります。
フィジーなどにいるホンソメワケベラは、体側にオレンジ色が出ることがあります。インド洋に生息しているものは、日本に生息しているものと比較すると、黒いラインが少し変わっています。
口元のピンク色がとてもきれいなクチベニソメワケベラという種類も存在しています。
ホンソメワケベラの飼育方法は難しい?
ホンソメワケベラは丈夫で水温の変化に強い海水魚で滅多に病気にかかりにくいです。適温は25度ですが、低温や高温を好む海水魚との混泳も可能なので、比較的育てやすいと言えるでしょう。
ただし水質変化には弱い面があるので、定期的に水質検査をすることをおすすめします。
体調は10cm程度になるので最低でも30cm以上、できれば60cm以上の水槽で飼育しましょう。ホンソメワケベラだけならば30cmでもよいですが、混泳させる魚の大きさや数も考えて水槽のサイズを選ぶ必要があります。
ホンソメワケベラの死因トップは、「飛び出し事故」なので、水槽にふたは必須です。
遊泳性が強い海水魚なので、フィルターを調整して適度な水流を作ると喜びます。
ホンソメワケベラ向きのろ過層は?
ホンソメワケベラのようなベラの仲間は遊泳性が強いうえに大食いなため、フンの量も多くなります。必然的にろ過層も大きなものが欲しくなってくるでしょう。
大型水槽の場合はオーバーフロー水槽が最適ですが、どうしてもオーバーフローが使えない場合は、上部ろ過でも対応できます。
ろ過層やろ材についてはこちらの記事を参考にしてください。
砂や飾りは必要?
ホンソメワケベラは岩やサンゴの影、岩孔の中で、粘膜性の「寝袋」を作ってその中で寝ます。
そのため砂がなくても大丈夫ですが、隠れ場所となるライブロックや飾りサンゴなどのアクセサリーを入れてあげましょう。
しかし、掃除のときについうっかり中にホンソメワケベラが入り込んでいるのに気付かず…という事になりかねません。
掃除のときはライブロックや飾りの隙間などにホンソウメワケベラが入り込んでいないかをしっかりチェックしましょう。
他の海水魚との混泳は可能?
ホンソメワケベラは魚たちの間でも、きちんとクリーナーフィッシュとして理解されているので混泳させても問題ありません。
大型の肉食魚でさえ、ホンソメワケベラを襲うことはめったにないです。同種族間でも喧嘩や縄張り争いをすることもないですが、大抵1つの水槽に1匹いれば十分です。
餌の量は注意しよう!
ホンソメワケベラは寄生虫や他の魚の粘膜だけを食べているわけではありません。適度に餌をあげる必要があります。
市販されている人工餌や冷凍餌にも慣れやすいですが、お腹がいっぱいになっていると寄生虫を食べません。混泳させている海水魚の寄生虫や粘膜を食べさせたいのであれば、餌は少な目に挙げるようにしましょう。
市販の餌になかなか慣れてくれないときは、「コペポーダ」や「ホワイトシュリンプ」のような冷凍餌なら食べてくれやすいです。
ホンソメワケベラの飼育方法!寄生虫を食べるクリーナーフィッシュの魅力とはまとめ
今回は他の魚の寄生虫や粘膜を食べてくれるホンソメワケベラについてや、その飼育方法についてお話しました。
独特の泳ぎがかわいらしい海水魚ですが、他の魚の寄生虫を食べるために寄り添っていたり、他の魚がホンソメワケベラにクリーニングされている姿はほほえましいです。
ホンソメワケベラ自身はとても丈夫で病気にかかりにくく、幅広い水温に対応できるので育てやすいので、海水魚飼育初心者向きとも言えます。
ホンソメワケベラはクリーナーとしてはとても優秀な海水魚です。寄生虫処理や、寄生虫予防のためにホンソメワケベラを1匹導入してみませんか?
海水魚飼育に関してはこちらの記事がおすすめです。
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