アクアリウムで世話を怠って、ヘドロが溜まってしまった経験はありませんか?そのまま放っておくと見た目が悪いだけでなく、水草や魚にまで影響してしまうこともあります。そんな厄介者のヘドロですが、水槽内に溜まる原因と取り除く方法を知っていれば、対策は難しくありません。
今回は、ヘドロの発生原因と影響、除去方法について解説します。水質の改善が期待でき、水草や魚の健康を守ることにもつながるので、知っておいて損はありません。
水槽のヘドロの正体とは
そもそもヘドロの正体は何でしょうか。「底に溜まっている汚いもの」ということは知っていても、ちゃんと理解している人は多くありません。
ここでは、ヘドロの正体と水槽内に及ぼす影響についてご紹介します。ヘドロ対策の第一歩として念頭に置いていただけたら幸いです。
排泄物・餌の食べ残しやバクテリアの糞など
ヘドロの正体は下記の通りです。
- 生体の排泄物や餌の食べ残し
- 生体の死骸や体の一部
- バクテリアが分解した時に出るもの
- バクテリアの死骸
これらのような有機物の塊がヘドロ(デトリタス)の正体であり、“水槽の生ゴミ”と呼ぶ人もいます。肉食性の魚がいる水槽に発生しやすいため、淡水魚よりも海水魚水槽に多いです。ヘドロは生物濾過の最終過程にできたものであるため、アクアリウムとは切っても切れない存在です。
当然ながら、ヘドロの除去グッズも数多く販売されています。これらを使わないのであれば、バクテリアに分解してもらうしかありません。しかし、長い時間とろ過バクテリアとは別のバクテリアが必要です。その場合はスーパーバイコムやシーケムプリスティンなど専用のバクテリア剤を添加する方法があります。
水草への影響は
ヘドロは水草に悪影響を及ぼします。ヘドロの中には硝酸塩を下げる働きのあるバクテリアも棲んでいますが、水草の栄養になるほど硝酸塩が多くはなく、根がはられている底砂に汚れが溜まっている状態のため、水草育成に良い状態とは言えません。
コケの増加・生体の病気にもつながる
水草の成長には足りない栄養素もコケには十分。そのため、コケが成長し増加してしまいます。コケが増えすぎると、見た目が良くないだけでなく水草を覆ってしまうことによって、光量の減少による成長の阻害を招くこともあります。
また、ヘドロが大量に堆積すると、水質が悪化してしまいます。そのような状態は菌が増えやすいため、生体の病気につながってしまうことも珍しくはありません。ひどい場合は底砂の隙間にヘドロが詰まり、酸欠状態になった結果、水が腐ってしまうことも。そうなると大変危険で、生体の生死に関わってきます。
水槽にヘドロが発生する原因
水槽にヘドロが発生する原因は大きく分けて「餌のやりすぎ」「過密飼育になっている」の二つです。このような状態が続くと、あっという間にヘドロが堆積してしまいます。逆に言えば、これらに注意すれば発生予防になるため、とても効果的です。大切なことなので詳しく解説します。
餌のやりすぎ
餌をやりすぎると、それだけ排泄物や餌の食べ残しが増えるため、ヘドロも発生しやすいです。また、生き餌の場合は食べる過程でウロコや粘液など、体の一部が水中に飛散するので、特に要注意。給餌の際は食べる量を観察して、適度な給餌量を与えることを心がけましょう。
過密飼育になっている
水槽(水量)の大きさに対して生体の数があっていない、いわゆる“過密飼育”もヘドロ発生の大きな原因です。生体数が多いと、それに応じて餌の量と排泄物も増えます。このときに水槽が小さいと、あっという間に富栄養化が進みヘドロが発生してしまいます。そのため、できる限り過密飼育は避けた方が良いでしょう。
過密飼育やその対策についてはこちらの記事をご覧ください。
ヘドロの除去方法
ヘドロは水槽で魚を飼う上で避けては通れないものです。餌のやりすぎや過密飼育に気を付けていても少しずつ堆積していきます。もちろん、溜まってしまったら取り除く必要がありますが、ヘドロが水中に舞うと水質が急変してしまうことも。
そうなると、魚が体調を崩しかねません。ここでは、ヘドロを安全に効率よく除去する方法をご紹介します。
ろ過槽、フィルターの掃除
底砂に溜まったヘドロを掃除する場合は水槽から取り出して丸洗いするのではなく、水作プロホースなどの掃除用ホースを使ってヘドロや汚れを取り除きましょう。このとき、底砂が舞ってしまうとヘドロが水槽中に飛び散ってしまい、水質が悪化したり、菌が広まったりなどする危険があります。
それだけでなく、底砂で魚の鰓を傷つけてしまうこともあるので、手動式の掃除ホースで丁寧にやりましょう。
また、ろ過槽やフィルターを掃除する際、ろ材にヘドロが詰まっていることも珍しくはありません。その場合は飼育水で洗い流してください。水道水では残留塩素によって有益なバクテリアが死んでしまうので、避けましょう。ウールマットは捨てて交換します。
メンテナンスフィッシュを導入
メンテナンスフィッシュの中にはヘドロを食べてくれるものもいます。淡水ではコリドラスが有名で、他の魚が食べ残した、もしくは口からこぼれて底に溜まった餌を食べてくれます。底砂の表層部であれば、ひげを巧みに操り、掘り起こすように残飯を処理してくれるため、とても優秀な存在です。
海水ではマガキガイをメンテナンスフィッシュとして導入している水槽をよく見かけます。マガキガイは底砂に堆積した有機物を処理してくれたり、底砂を撹拌したりなどするので、ヘドロが溜まりにくい環境を整えてくれます。
まとめ:水槽のヘドロ!分解できる?水草への影響は?発生原因、除去方法を解説!
ヘドロは水質の悪化を招くだけでなく、水草や魚にまで悪影響をおよぼすことがあるため、定期的に除去する必要があります。また、溜まりにくい環境を整えるためにも、適切な給餌量と飼育密度を考慮することが大切です。
「ちょっとヘドロが気になる…」そのような時にこちらの記事が参考になれば幸いです。
奇麗な水槽を眺められるのは、アクアリウムの醍醐味と言っても過言ではありません。そのためにも、日々のメンテナンスに励みましょう。
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トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
わかりやすかったです!
ヘドロ除去できそうです。
アクアリウムがんばります。