日本の川にはさまざまなエビ類が生息しています。子供のころに捕まえて遊んだことがある、という方もいるのではないでしょうか?
ところで、川で捕まえた魚やドジョウは自宅に連れ帰って飼育することができますが、エビも同様です。しかし、エビの種類によっては飼育にコツが必要だったり、他の生き物との混泳が難しかったりなど、飼育するうえで知っておきたいポイントがあります。
また、販売されているエビ類に比べて水質や水温に敏感で、水槽という閉じられた環境に慣れさせる必要があるということも覚えておきましょう。
そこで今回は、飼育の基本と難しいポイント・注意点をふまえて、日本の川にいる淡水エビを7種ご紹介します。
日本の川にいるエビ7種!よく見かける淡水エビ
まずは、日本の川でよく見かけるエビを7種類ご紹介します。
- スジエビ
- テナガエビ
- トゲナシヌマエビ
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
- ミゾレヌマエビ
- ヒメヌマエビ
各種類の特徴とともに、繁殖・混泳の可否など、飼育に関係することを解説していきますので、ご覧になってみてください。
スジエビ
日本の川に幅広く分布している3~5cm程度の川エビで、黒いスジが入っているのが名前の由来です。
雑食性ですが肉食傾向が強いため、魚との混泳はおすすめしません。
また、同じエビ類同士でも餌が少ない環境では、他のエビを口に入れてしまうことがあるので、混泳には注意しましょう。
繁殖は基本的に汽水が必要ですが、淡水で可能な場合もあります。
テナガエビ
テナガエビは、10cmを超えることもある淡水では大型のエビです。
川の中~下流、もしくは汽水域でよく見かけます。特徴的なハサミで器用に餌を食べますが、肉食傾向が強い雑食性なので混泳には向いていません。
繁殖には汽水が必要なことから、難易度は高いです。
トゲナシヌマエビ
主に西日本に生息する3cm程度の淡水エビです。
両目の間にあるトゲが短いことが名前の由来で、他の淡水エビと見分けるポイントになります。雑食性でコケを食べてくれるうえに温和なので、混泳に向いています。
繁殖するには汽水を用意しなければいけないため、難易度は高いです
ミナミヌマエビ
2~3cmほどの大きさの淡水エビで、身近な川や湖沼で目にすることが多いです。
水槽内に生えるコケを食べてくれるお掃除生体として有名なので、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。食性は雑食性ですが、他の生体を食べてしまうことはありません。
お掃除生体になるだけでなく混泳もさせやすいことから、熱帯魚やメダカの混泳相手として選ばれることが多いです。淡水の環境で簡単に繁殖させることができます。
ミナミヌマエビについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ヤマトヌマエビ
3~5cm程度の淡水エビで、アクアリウムではコケを食べてくれるお掃除生体としてミナミヌマエビと並んで有名です。
体が少し大きいことから、コケ取り能力ではヤマトヌマエビの方が優れます。雑食性でコケや餌の食べ残しを食べてくれますし、温和な性格をしているので、混泳相手としてもおすすめです。
水質がきれいな川の中~上流域に生息していて、他のエビほど頻繁に見かけることはありません。繁殖には汽水が必要なので、難易度が高いです。
ヤマトヌマエビの飼い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ミゾレヌマエビ
主に関東から西の川の中~下流に生息している、3cm前後の淡水エビです。目の横にある小さなトゲ(眼上棘)がなく、細身で全体的に突起が少ないシルエットをしています。
体色は透明度の高いもの、赤みの強いもの、模様が入るものなど様々で統一性がありません。
コケ取り生体としてアクアリウムショップで販売されていますが、つい最近まで別のヌマエビがミゾレヌマエビとして流通していたという経緯があり、いまだに本物かどうかを見分けるのが難しい側面があります。
そのため、ミゾレヌマエビを見分けたい時には、ルーペや顕微鏡を使って先述した眼上棘の有無を確認するのが一番確実です。
繁殖させるには汽水が必要です。
ヒメヌマエビ
2cm前後と小さい淡水エビで、西日本を中心に生息しています。
川の下流域に生息していることが多いものの、見かける機会は少ないです。体色はさまざまですが、褐色の個体が多く1本の縦縞や複数の横縞が入ります。
アクアリウムでも稀に見かけますが、体が小さくコケ取り能力も高くありません。繁殖のハードルが高く、汽水を用意する必要があります。
川エビを飼育する基本設備と方法
ご紹介した川エビは、野生のものを捕まえて飼育することが可能です。
しかし、野生のエビ類は水質に敏感な側面があるため、しっかりと飼育環境を整えてから採取するようにしてください。
ここでは、川で捕まえてきた川エビを飼育するために必要な基本設備と方法、注意点をご紹介します。
ろ過フィルター、水槽用クーラーは必須
採取してきた川エビを飼育するためには、能力の高いろ過フィルターと、水温を保つ保冷器具を準備しましょう。
水槽と違い、水が淀むことのない川に生息していたエビを飼育するには、水質と高水温に特に配慮が必要です。上部フィルターでも問題ありませんが、水槽用クーラーを設置する場合は外部フィルターを使います。
スジエビやミナミヌマエビなどは28度あたりまで、テナガエビは26度までと、どちらも夏などの暑い季節を水槽用クーラー無しで飼育することはできません。
水温が川エビを飼育できる範囲内であっても、常に一定に保つことでエビのコンディション維持につながります。
水合わせと水質管理は慎重に行う
野性の川エビは、観賞魚と共に販売されているエビよりも水槽環境になじみにくいです。
水質変化に敏感な面があるので、水合わせには時間をかけて水質管理にも十分に注意しましょう。
また、硝酸塩などの水の汚れにも強くはありません。水草を増やしたり、活性炭を使ったりなどして、できる限り硝酸塩などの値が低くなる工夫を行うと管理がしやすくなります。
エビに負担をかけない水合わせの方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
農薬・化学物質は厳禁!
水質に敏感な川エビの飼育では、農薬・化学物質は厳禁です。
水草を入れる場合は、無農薬であることを必ず確認してください。それでも心配な場合は、水槽に入れる前に数日から1週間程度水に浸け置きして、下処理をしておくと安心です。
また、添加剤などの使用は控えます。水のカルキ抜きも薬剤を使用するのではなく、エアレーションや2日ほど水を汲み置きして抜くのが最善です。
混泳が難しい
川エビの混泳は、同じ川に生息していない生き物とはなじまないケースが多いです。
また、川エビが攻撃したり、逆に食べられてしまったりすることも珍しくないため、混泳のハードルは高いと言えるでしょう。
もし混泳を考えているのであれば、まずは川エビだけで飼育を始め、1カ月以上かけて環境に慣れさせたうえで、エビを襲わない小型魚やエビとの混泳を検討してみてください。
川エビの採取は準備を整えて行おう
川エビの飼育は意外と難易度が高いので、採取する前に飼育環境を整えておきましょう。
採取する2週間前には水槽を立ち上げて、水質や飼育機材の調子を確認しておく方が無難です。とはいえ野生種なので、万全の環境を整えてもなじめないことがある点は心にとどめておきましょう。
まとめ:日本の川にいるエビ7種!飼育の基本と難しいポイント・注意点を解説
今回は、飼育の基本と難しいポイント・注意点をふまえて、日本の川にいる淡水エビを7種ご紹介しました。
日本の川にいる淡水エビは比較的簡単に採取できますし、飼育できる種類も少なくありません。ただ、種類によっては肉食性で他の生き物を狙ってしまったり、水槽用クーラーが必要だったりするため、事前に飼育環境を確認することが重要です。
熱帯魚のような鮮やかさはない川エビですが、泳ぎ方や餌を食べる仕草に愛嬌が感じられる魅力的な生き物なので、興味のある方はエビ水槽の主役や混泳相手として迎え入れてみてください。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
川などでガサガサをしたら手が長いエビが網に入りました。
そのエビを飼育しようとしているのですがブクブクって必要ですか?(酸素)
ぜひ、教えてください!!
ろ過フィルターがあればエアレーション(ブクブク)は無くても飼育できます。
よろしくお願いいたします。
ヒメヌマエビの寿命はどどのくらいですか
飼育下では約1年ほどです。
ミナミヌマエビよりも短命といった印象です。
よろしくお願いいたします。