自宅のアクアリウムに突然タニシが発生したことはありませんか?
アクアリウムにおいて意図せずして現れる嫌われ者のタニシ。
しかし実は、その貝はタニシではありません。正確には『モノアラガイ』や『サカマキガイ』という別の貝で、通称:スネールといいます。
この2種類は繁殖力が強く、すぐに増えてしまうので中々厄介です。かなり爆発的に増えるので早めに対処したいものですね。
今回はこの『モノアラガイ』や『サカマキガイ』が、そもそもなぜ水槽内に発生するのか、発生してしまったらどうすれば良いのかを紹介します。
なぜ水槽内にスネールが発生してしまうのか?
そもそもなぜ入れてもいない『モノアラガイ』や『サカマキガイ』のようなスネールが水槽内に発生するのでしょうか?
それは熱帯魚ショップ等で購入した水草に小さなスネールや、その卵が付着しているためです。
小さなスネールはまだしも、卵までは注意しててもなかなか見つけることはできません。スネールの卵はとても小さい上に、透明感が高く、まるで水泡のように見えるんです。ですので、卵に気づかないで水槽に持ち込んでしまう…これが水槽にスネールが発生するほとんどの理由でしょう。
スネールはとても繁殖力が強いので、少しでも水槽内に持ち込んでしまうとどんどん増え、気づいたら魚を飼っているのか、スネールを飼っているのかわからなくなるほど繁殖してしまいます。
スネールはなんと1・2日おきに、数十~数百の卵を産むのです。それが全部ふ化したら…!考えるだけでも頭が痛いですね。
▼水草・サンゴ経由で発生してしまった生体に関してはこちらもご参考にしてください。
水草にスネールが与える影響
そんなスネールは、水草にどんな影響を与えるのでしょうか。
まずはスネールの生態を知っておくと良いと思います。
スネールはコケのような藻類や、デトリタス(微細な有機物の粒子で、生物の遺骸や排泄物由来のものがほとんど)を食べて生きています。
ですから、適度な数しかいないなら、ある意味水槽のお掃除屋さんとして役に立つと言えるでしょう。
ところが困ったことに、スネールは水草も食べてしまうのです。特に新芽などの柔らかい部分や、柔らかい種類の水草を好んで食べます。逆に成長しきって硬くなった葉は、スネールにとって硬すぎるようで食べることはありません。
スネール自体が小さいため水草を食べられたことに気づかないケースもよくありますが、スネールが増殖するとどんどん被害が目立つようになっていきます。
水草を育てている人にとって、スネールの対策は必須です。
▼スネール・巻貝に関してはこちらもご参考にしてください。
スネールの魚への影響は?
では、スネールは魚へは何らかの影響を及ぼすのでしょうか。
スネールは魚へ直接ちょっかいを出すことはないので、そういう意味では影響はありません。ただし、水槽の中で飼育できる生体の数には限度があります。
数が増えればそれだけ水は汚れますし、酸素も消費されます。ですからあまりにもスネールが増加した場合は魚にも悪影響があると言えます。
スネールが増えてしまったらどうすればいいの?
新しい水草や魚を投入するうえで、スネールの侵入を完全に防ぐことは困難です。
そこで、増えてしまった時の対処法を5つ紹介していきます。
スネール駆除用の商品を使用する
増えすぎてしまったスネールを集めて駆除できる商品が販売されています。いわゆる「スネールホイホイ」のようなアイディアです。スネールの除去に慣れていない、初心者向けのアイテムです。
しかしこれらの商品は物理的に取り除いているだけなので、根本的なスネールの繁殖対策にはなりにくいといえます。特にスネールの卵はこの商品では除去できません。
しかし大きな親個体を取り除くことはできますので、スネールを自分で駆除するのに抵抗のある方は使ってみるのも良いでしょう。
スネールを駆除する薬品を投入する
『モノアラガイ』や『サカマキガイ』等のスネール類を駆除する薬品が販売されています。
しかしスネール類を殺す薬品であるため、魚や水草に全く害がないということはないのであまりオススメできません。
どうしてもという時には使用してもいいかもしれません。使用する場合は、魚など他の生体への影響をよく観察しながらにしましょう。
見つけ次第、こまめに取り除く
こちらの手段はかなり大変ですが、効果はあります。
水槽をいつも気にかけスネールを見つけたら、取り除くだけなので手法としては単純です。水草を植えるときに用いるような長いピンセットを用意しておくといいですね。
根本的な改善には繋がりませんが、大量繁殖は防げるでしょう。大型に成長してしまったスネールには特に有効な手段です。ただし卵を除去できないので、他の方法も併行して行うことが重要です。
水槽をリセットする
水槽内の水草・石や流木等のレイアウト品、フィルターや砂等もすべて取り出してリセットします。
取り出して洗浄するだけでは付着しているスネールの卵を取り除くことはできないので、熱湯消毒できるものはしましょう。また器具を乾燥させるのも有効な手段です。天日干しするのもオススメです。
とはいえ、かなり大変な作業なので、手に負えない場合の最終手段といったところでしょうか。
水草や器具についた卵を除去する
スネールは卵で増えます。
上で説明したとおり、卵は透明でとても小さいので、目で見て卵を除去するのは事実上不可能でしょう。
スネールは卵を水草や水槽の壁面などに産み付けます。完全に除去するには上に書いた水槽のリセットしかありません。ですが、リセットは本当に大変な作業なので、そこまではしたくない!という人は、水槽の大掃除を行いましょう。
取り出せる器具はすべて取り出し、熱湯消毒を行います。
水槽の壁面は出来るだけよくこすり洗いをしましょう。ただし傷をつけないようにご注意ください。
水草は熱湯消毒するわけにはいきませんので、水草をトリートメントする薬剤を使いましょう。
こちらの商品は、本来であれば水草を購入して新規に水槽に導入する際に用いるものです。水草に付着したスネールの卵を除去できます。薬剤を水に溶かして水草を10分程度漬けるだけなので使用も簡単です。
処理した後の水草を水槽に戻す際には薬剤が残っていないように、よく洗ってからにしてください。
スネールを食べてくれる生体を投入する
こちらの手法がシンプルかつ一番安全な対策でしょう。
ただしスネールが増えすぎてしまってからでは手遅れになることが多いので、スネールを発見したらできるだけ早く行うことをオススメします。
スネールを食べてくれる生体 厳選3種
それではスネールを食べてくれる生体を紹介します。
生体ごとの特徴をしっかり押さえて、自分の水槽に合っているものを選定しましょう。
アベニー・パファー
フグの仲間で泳ぎ方や表情に愛嬌があり、可愛らしい魚です。体長は3センチ程度にしか成長しないところも人気の理由です。
肉食性が強いので、スネールを食べてくれます。貝類が大好物なんです。固い歯があるので小さな貝なら、砕いて食べてしまいます。
スネールがあまりに大きすぎるとさすがに食べれないので、大きい個体は手で取り除きましょう。また、完全に食べられないがかじってスネールは死んだというケースもあります。そういった遺体を放置しておくと水質悪化の原因になりますので、死んだスネールはすぐに水槽から取り出してください。
また、肉食性が強いので、貝類だけではなくエビも食べます。アベニーよりも大きなエビであれば食害されることはないでしょうが、小さなエビであれば食べられてしまいますのでエビのいる水槽への導入には不向きです。
また、他の魚のヒレをかじることもありますので、ヒレの長い魚との混泳には向いていません。
アノマロクロミス・トーマシー
アフリカ原産のシクリッドの一種です。ラメの入ったようなキラッと輝く体色が美しい魚です。アベニー・パファー同様、肉食性が強くスネールを食べてくれます。
シクリッドは弱アルカリ性を好む種類が多いですが、このトーマシーは中性でも大丈夫なので他の魚と同じ水質で飼育できます。
他の熱帯魚にないような素早い動きを見せる個体もいて、そこも人気のポイントです。
ただし、気性が荒いためあまり他の魚との混泳に向いていません。そしてアベニー同様、エビ類も食べますので注意が必要です。
成長すると8センチ近くになるため、小さな魚は餌にされてしまう恐れもありますので、普段は別の水槽で飼育し、スネール発生時の緊急要員として用いる方法もオススメです。
キラースネール
こちらの貝は、スネールを食べる貝です。小さい体ながら、他の貝を食べてしまう恐ろしい貝です。口吻という長いストローのようなものをスネールの貝殻の中に差し込み、スネールを食べてしまうのです。最大で2センチほどにしか成長しません。
スネールキラーでタニシ等の駆除を行う場合かなりの数を投入しなければなりませんが、上の2種と違い、混泳に気を付けなくていいところはメリットと言えます。
また、水質の変化によって挙動が変わるので、水槽の水質を知るのにも役立ちます。酸素が不足すると水面近くに上がり、アンモニアや亜硝酸が増えると貝を閉じてしまいますので水換えをしてやりましょう。
スネールが絶滅した場合、スネールキラー用に餌を用意してやる必要があります。熱帯魚用の餌やアカムシで充分ですが、放っておくと餓死してしまうので注意しましょう。
ただ、スネールキラーも生物ですから繁殖して増えますので、その点を含んでお迎えしてください。
▼屋外飼育に関してはこちらをご覧ください。
水槽にタニシ(スネール)が現れた まとめ
今回はタニシ似たスネールが水槽に発生してしまった際の、対策方法を紹介しましたがいかがだったでしょうか。
持ち込まないことも大切ですが、防ぎようもないことですので大量繁殖する前にしっかり対策しましょう。
それではよりよいアクアリウムライフを!!
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