熱帯魚・海水魚問わず、夏場の水温上昇対策で水槽用クーラーを使っている人は多いと思います。
しかしアクアリウム初心者の人の場合、水槽用クーラーのメンテナンスに関する情報を仕入れにくいですし、メンテナンス方法がわからないことが多く、外部フィルター以外の掃除をしていなくて壊れるまで放置していることもよくあります。
アクアリウム中級者でも水槽用のクーラーのメンテナンスを行っている人は意外と少ないようですが、水槽用クーラーはきちんとメンテナンスを行って入れば意外と長く使うことができるんです。
そこで今回はゼンスイの「ZC-100」を例に、水槽用クーラーのメンテナンス方法やチェックポイントについてを解説していきますので、水槽用クーラーのメンテナンスの参考にしてください。
水槽用クーラーの選び方についてはこちらの記事を参考にしてください。
水槽用クーラーのメンテナンスチェックポイント
水槽用のクーラーは一般家庭のエアコンなどの電気製品と同じで、長期間使っていると隙間やフィルター部分に埃やごみが入り込んでしまいます。
メンテナンスをまったく行わないで長期間使用していると
- 冷却フィンの隙間に埃が詰まって、空気が抜けにくくなり冷えなくなってくる
- 内臓されているファンに埃が付着して回転が下がり冷えにくくなる
- ファンの回転が下がると、モーターが焼き付いてしまい冷やせなくなる
このような現象が起こるようになってきます。
ゼンスイのHPにあるQ&Aのページでは、家庭で行うメンテナンスについては、全面フィルターの埃を掃除機などで取り、目詰まりしてるときは水洗いとだけ書かれています。
しかしこれだけでは本体内に入り込んだ埃をきちんと取ることができず、メンテナンスは不十分ともいえるんです。
メンテナンスを行うチェックポイントは?
メンテナンスは定期的に行ったほうがよいですが、急に次のような症状が出たときはすぐにメンテナンスを行うことで故障を回避することができます。
- 稼働音が大きくなってきた
- 水槽の水が冷えにくくなってきた
- 設定温度が狂ったり、温度センサーがきちんと動作しない
- 水の周りが悪くなる
- 稼働時間が増えたり消費電力が増えた
このような症状がでるようであれば、すぐにメンテナンスを行いましょう。
またこのような症状がなくても、メーカーでは3ヵ月~半年に一度のメンテナンスを推奨しています。
水槽用クーラーのメンテナンスに必要な道具には何がある?
水槽用クーラーのメンテナンスを行うときには、次のような道具を用意しておきましょう。
ドライバー
本体のカバーなどを外すために使います。プラス・マイナスどちらもそろえておいたほうがよく、電動ドライバーがあると便利です。
モンキーレンチ
ゼンスイのZCタイプは、本体のカバーを外すために六角ネジを外す必要があります。
ネジはかなりきつく締められているため、モンキーレンチを使うと外しやすいです。モンキーレンチの替わりに凹形状・40mm前後で六角形のソケットを使用することもできます。
六角ネジは分解防止対策のため、素手で外すことはできません。
潤滑剤
潤滑剤はモーターの滑車を滑らかにしたり、サビて外しにくいネジを外すときに重宝します。油やグリースといったものがありますが、質が悪いとグリースが固まってしまい回転が落ちることがあるので、100円ショップのものは使用しないほうがいいです。
エアダスターや掃除用のブラシ
エアダスターは手の入りにくい部分の埃を落とすために使います。なるべく逆さまにしても使えることのできるエアダスターを選ぶようにしましょう。
ブラシは古くなってしまった歯ブラシでも代用可能です。冷却フィンなどの埃や汚れを取るために使いますが、スプレーよりもしっかりと汚れを落とすことができます。
水槽用クーラーのメンテナンス方法
水槽用の冷却クーラーは、本体内部の清掃だけでなく、配管の清掃も必要になってきますので、わりと時間がかかります。本格的に水槽用クーラーを使う前や、クーラーを使う必要がなくなったタイミングでメンテナンスを行うとよいでしょう。
しっかりと汚れを取るためになるべく休日など、時間に余裕のある時に行ったほうがよいです。
本体内の掃除方法
まず最初に本体のメンテナンス手順について解説しましょう。ここで紹介するメンテナンス例はゼンスイの「ZC-100」で解説しています。
同じゼンスイ商品でも「ZC-700E」など機種によってはカバーの作り方が違うため、カバーの外し方が異なる場合があるので注意してくださいね。
1.フィルターとカバーネジを外す。
まず最初に本体前部にあるフィルターを外し、カバーを止めているネジをすべて外しましょう。ネジは前・側面・裏側にあります。外したネジはカバーを付けるときに必要になるので、紙コップなどに入れてなくさないようにしておきます。
ゼンスイのZRタイプの場合にはさらに取っ手を外しておかないと、カバーを外すときに引っかかるのでこの段階で外します。
2.上部にある六角ネジを外す
「六角ネジってどこにあるの?」と疑問に思う人が多いかもしれませんが、実は上部の配管をつなぐ部分の丸い円盤状の上に六角形があるところです。分解防止のため、パッと見ただけでは六角ネジが見えなくて分解できないように見えますが、ちゃんと外すことができます。
この六角ネジの部分を外さなければ、カバーが外れない仕組みになっているので、本体内部の掃除をするときには必ず外さなければなりません。
六角の部分が40mmと大きい上にとても堅いので、モンキーレンチを使って外します。サイズと形状が合うようなら、バイク用のソケットをモンキーレンチの代用品として使うことも可能です。
この六角ネジとその下の丸いリングも、メンテナンスが終わって元に戻すときに必要なのでなくさないようにしましょう。
3.カバーを外し、内部の埃を除去する
手前にあるパネルを前に倒しますが、外れないときはカバー部分を少し持ち上げると倒れやすいです。ここでパネルを倒さないでカバーを外そうとすると、パネルを引きちぎってしまう場合があるので注意してください。
パネルがきちんと手前に倒れたのを確認して、カバーを真上に持ち上げると簡単に外れます。
ZRシリーズの場合まず前面のカバーをゆっくりとずらします。これはカバー前面にコードがついているので、力任せに引っ張るとコードが切れてしまうのを防ぐためです。前面と取っ手が外れている状態で、残りのカバーを真上に持ち上げるとすぐに外れます。
カバーを外して中を見ると、意外に汚れが酷くて驚いている人が多いのではないでしょうか?
玄関先や窓際、屋外など置き場所によっては短期間でもかなり汚れることがあるので、しっかりと本体内部の汚れを落としましょう。
4.【上級者向け】ファンを外す
ファンについた汚れもきちんと落とす必要があります。
しかしファンを外すのは初心者にはおすすめできません。取り外しや戻すときに周囲の部品を破損してしまう可能性があるためです。ファン周辺にある銅のような管を曲げてしまうと、液ガスが漏れてしまうことがあり、ファン前面のアルミがゆがむこともあります。
配管部分の掃除方法
水槽用クーラーは水槽内の水を本体内に取り入れて、冷やして水槽内に戻す仕組みになっています。そのため水の通る配管部分や、冷却タンクのメンテナンスも大切になってきます。
またメーカーの公式サイトでは冷却タンクに関してはIN/OUT口にホースをつないで、綺麗な水を流すとだけ書かれていますが、やはりこれだけでは汚れが十分に落ちない可能性が高いです。
これからご紹介するクエン酸を使った方法は、メーカーが保証している方法ではありませんので、この方法を行う際は自己責任で行う必要があることをきちんと理解してから行ってください。
クエン酸は薬局やホームセンターの掃除用品コーナーなどで購入可能です。
1.クエン酸を溶かした水を循環させる
この作業は水を循環させるので、水がこぼれてもよいようにお風呂場で行うことをおすすめします。
冷却層や排水管部分はブラシが届かないため、水を循環させることで内部の水垢やコケなどを取る方法が一般的で、クエン酸やハイターなどを溶かした水を循環させる人が多いようです。
しかしハイターはかなり強力な薬品です。天然成分のクエン酸のほうが、熱帯魚や水草への影響が低いので、クエン酸で掃除することをおすすめします。
汚れの程度は使用状況などにより異なりますが、ぬるま湯を使って2~3時間くらいでよいでしょう。時間があるなら冷却タンクにクエン酸を溶かした水を入れた状態で一晩おいておくと、より汚れが取れやすくなります。
一度もメンテナンスを行っていなかった場合には、かなり汚い水が出てきてびっくりすることも。汚れた水は都度捨てて新しい水を入れます。
2.クエン酸をすすぐ
大体汚れが落ちたと思ったら、次はきれいな真水で冷却層や配管内についてしまったクエン酸を流します。
水槽用クーラーを傾けて中にあるクエン酸水を抜き、真水を回します。この時に汚れが残っている場合はまた少し汚い水が出ることもあるので、真水を流している時に何度か水槽用クーラーを傾けて汚い水が出てこないことを確認しておきましょう。
真水を流す時間はクエン酸を回していたのと同じ時間で行いますが、真水の入った状態で一晩おいておいて翌日に真水を回してもよいです。
クエン酸は酸性のものなので、アルカリ性の水槽で使用している場合にはしっかりすすぐ必要があります。
3.水槽用クーラー内に水を補充する
冷却層に水槽内と同じ水質・温度の水を注ぎますが、このとき設置してから注ぐほうが水をこぼす可能性が低くなります。
設置してから水を注ぎ入れるだけのスペースがない場合には、先に水を補充してから設置しますが、こぼさないよう注意しましょう。
自宅でできない場合にはメーカーのサポートを利用しよう!
水槽用クーラーを販売しているゼンスイでは、購入後のサポートが充実しており、メンテナンスのサポートも行っています。
有料にはなりますが、新しいものを購入するよりはるかに安いです。製造メーカーがしっかりとメンテナンスを行ってくれるため、自分でメンテナンスをして壊してしまうのが心配だという人や、水槽用クーラーのメンテナンスの時間が取れないという人は、ゼンスイ商品の場合はメーカーにお願いすることも検討してみましょう。
水槽用クーラーを長く使おう!メンテナンス方法とチェックポイントとはまとめ
水槽用クーラーは外部フィルターだけでなく、本体内にも埃がたまってしまい故障の原因となってしまうことが多いです。そのため、水槽用クーラーを長く使うためには、日頃からのメンテナンスがとても大切です。
水が循環する配管や冷却層なども、外から見えないだけで水垢やコケ、カルシウム成分などが溜まっているので、それらを除去する必要もあります。
自分でメンテナンスを行って壊してしまうのが心配なら、メーカー側がサポ―トで水槽用クーラーのメンテナンスを行っていることもありますので、そういったサービスを上手く活用しましょう。
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