食用として知られているウナギですが、実は個人宅で観賞魚として飼育することが可能なのをご存知ですか?熱帯魚や海水魚とは異なる、「うなぎならではの習性」を把握して管理する必要があります。
ウナギはアクアリウム初心者でも習性を抑えておけば、淡水魚と同じような感覚で簡単に飼育することができるんです。
今回はなかなか一般人で飼育していない、「ウナギの飼い方」について水槽や餌のやり方など一般的なウナギの飼育方法についてお話していきます。
どうしてウナギは飼いやすいのか
飼育が難しそうなイメージを持っている人が多いと思いますが、ウナギは意外と飼育が簡単と言われています
- 水質悪化や水温の変化に強い
- 酸素不足・餌不足に強い
- 淡水魚飼育セットで飼育可能
このような理由から、ウナギは飼育しやすいと言われています。一般の淡水魚飼育の機材で飼育でき、環境悪化などにも強いということから飼育がしやすく、アクアリウム初心者でも簡単に飼育できるということができるのです。
ウナギの入手方法
ウナギの入手方法ですが、大きく分けて2つあります。
- ショップで稚魚を購入する
- 自分で天然ウナギを釣る
あまり見ることはありませんが、ペットショップやアクアショップではウナギの稚魚を購入することができます。
そのほかの方法として自分で汽水域で採取するという方法があります。釣りをしている人なら、たまにウナギが釣れたということもあるのではないでしょうか。
しかし日本固有種の二ホンウナギは 2014年6月12日に、IUCN(国際自然保護連合)により「レッドリスト」に登録されました。
このレッドリストとは、絶滅してしまう危険性かかなり高い絶滅危惧種が該当し、一部の都道府県では次のよう認定されています。
- 長野県:絶滅
- 東京都本土・福井県:絶滅危惧Ⅱ類
- 新潟県:準絶滅危惧種
- 北海道:希少種
絶滅危惧種に関しては、現状では国では特に罰則を設けていないようですが、地方自治体で罰則を設けている場合があります。また漁業領域で捕獲した場合は、違法と見なされることがあるので注意が必要です。
▼ウナギの捕獲に関してはこちらもご参考にしてください。
ウナギの調査方法にも問題があるので本当に激減しているのかは微妙なラインですが、わざわざ絶滅危惧種に指定されているウナギを捕獲するのは、個人のモラルに問うところが大きいです。
しかし天然物の場合、病気や寄生虫を持っていることがあるので、なるべくショップで販売されているものを購入することをおすすめします。
ウナギは成長すると1m近くになり、寿命は10年以上と長いためきちんと最後まで責任をもって飼育できるかよく考えて購入ましょう。
ウナギの種類は多い?
ウナギと名の付く生き物は意外に多いです。
- 二ホンウナギ
- オオウナギ
- デンキウナギ
- アミメウナギ
- インドピンクウナギ など
上記には水槽飼育可能なものも含まれていますが、実際にウナギ科であるのは二ホンウナギとオオウナギだけです。
ウナギ科のなかでも水槽飼育に向いているのは二ホンウナギです。
オオウナギは体長2mほどにまで成長するため、飼育できません。
ウナギの飼い方
それではここからウナギの飼い方について、具体的な内容に入っていきましょう。ウナギの育て方については、一般的な淡水魚飼育とあまり変わりません。
必要な機材
水 槽:20cmくらいまでなら水槽は60cmで大丈夫ですが、20cmを超えた場合は90cm以上の水槽を用意してあげましょう。細長い体をしていますが、あまり小さな水槽だと泳ぎ回ることができず、ウナギにストレスがかかってしまいます。最終的にウナギは1m近くにまで成長するので、成長しきったときのことを考えると、120cm水槽での飼育が望ましいと言えるでしょう。
ただし、ウナギは身体能力が高く多少の高さなら登ってしまう習性があります。そのため水槽はフタ付きのものを選ぶ必要があり、フタには重しを乗せたり、縁をガムテープなどで補強します。
フタがなかったり、大きな隙間があると夜中に隙間から外に出てしまい、朝気づいたら水槽の外で死んでいたということもあります。
▼飛び出しに関してはこちらもご参考にしてください。
ウナギ飼育におすすめの水槽は次の2つです。
ジェックス マリーナガラス水槽90cm
ジェックスの「マリーナガラス水槽90cm」はフタ付きなので、別にフタを購入する必要がありません。ガラス水槽なので傷がつきにくく、透明度も高いので、ウナギの様子が見やすいです。
ジェックス マリーナガラス水槽120cmスリム MR-19N 黒枠ガラス水槽
こちらもジェックスのガラス水槽で、フタ付きの120cm水槽です。照明など余計な器具がついていないため、無駄な出費をすることもありません。
水槽選びに関してはこちら!
水槽台:水槽サイズが大きくなってくると、重量がかなり大きくなるため設置面に対して負荷が大きくなります。
一般の家具やスチール台だと長期間水槽を置いておくことで、板に歪みがでて事故が起きることがあります。そのためウナギ飼育に使用するような大型水槽の場合は、専用の水槽台が必要になります。
水槽の重さや水槽台に関してはこちら!
フィルター:ウナギの飼育には上部フィルターが向いています。外掛け式フィルターを使用したときは、隙間からウナギが逃げてしまうことがあるのでおすすめできません。
アクアリウム上級者なら外部フィルターでも問題ありませんが、アクアリウム初心者の場合は管理が難しいので、最初は上部フィルターをおすすめします。
隠れ場所:ウナギは普段は岩影などに隠れているので、流木やホームセンターで販売しているパイプなど隠れ家になるようなものを用意してあげましょう。底床に細かな砂や砂利を入れると、潜ることもあります。
カルキ抜き:水質変化に強いといっても、水道水に含まれる塩素はしっかり抜いてあげましょう。
カルキ抜きについてはこちら!
ウナギは夜行性のため、光を好まないといわれているので水槽用の照明は必要ありません。あると逆にウナギにとってストレスになる可能性が高いです。
酸素不足に強いため、1~2匹の飼育であれば水換え時やろ過時に酸素を供給できるので、エアーもなくても大丈夫です。
水草:水草はなくても大丈夫ですが、ウナギ飼育では照明が不要なのであえて入れるのであればマツモやカボンバといった照明がなくても育てることのできる水草を選びましょう。
マツモ・カボンバについてはこちら!
水温
ウナギを育てるときの水温ですが、一般的に養殖所では26℃~30℃で飼育しているようです。しかし個人で飼育する場合は、自然な温度でOKという意見が多いです。
ただし、ウナギは高温に弱いという話もあり、30℃を超えると危険なので夏場は水温が高くなりすぎる場合は水槽用のクーラーなどを使用して水温を保ちます。
水温が低くなると冬眠してしまうので、水が凍らなければヒーターなしで越冬することができます。
▼温度調節に関してはこちらもご参考にしてください。
水換えの頻度
水換えの頻度は水の汚れ具合にもよりますが、基本的に1~2週間に1回くらいのペースで、水槽の3分の1程度を交換します。
水換えのやり方やタイミングなどについてはこちら!
底床にフンや餌の食べ残しなどが残っていると水質悪化の原因になるので、水換えの時にごみ取りや、ガラス面のコケなどの除去も行うとよいでしょう。
餌
ウナギは肉食性の魚です。飼育環境に慣れてくると人工飼料も食べてくれるようになります。
稚魚の間は小さなミミズや冷凍アカムシなどで大丈夫です。稚魚の場合は、人工餌に慣れていないものが多いので、焦らず少しずつ生餌に人工餌を混ぜて与え、人工餌に慣れさせるようにしたほうが後々飼育が楽になります。
成長するに従い、ヤマトヌマエビのようなエビ類やゴクラクハゼ、オイカワの稚魚などの小魚を食べます。生餌を与える場合は、ウナギの口に収まるくらい小さなサイズのものにしましょう。
アクアショップで手ごろな餌が見つからない場合は、釣り具店の生餌を購入するという方法や、自分でミミズなどを捕まえるという方法もあります。
夜行性の魚なので、餌を与えるタイミングは1日1回、夜間に行いますが、冬は食欲が落ちるので週1回程度与えます。
餌を食べてくれない時の対処法はある?
購入直後や捕まえてきたばかりのときは、周囲の環境が変わったことで警戒心が強くなり、餌を食べなくなってしまうことがあります。
基本的にウナギの場合は数か月餌を食べなくても生きていけるといわれているので、毎日決まった時間に餌を与えながら、食べてくれるか様子を見ましょう。
また隠れ場所が適しているか、水質や水温もこの時チェックしてみることも重要なポイントです。
餌も1種類ではなく、いくつかの種類を与えることで好みなどがわかる場合もあります。
冬眠する習性があるため冬場は食欲が落ちる傾向にあります。冬は餌やりを少し控えて様子を見るのもよいでしょう。
▼餌を食べない時に関してはこちらもご参考にしてください。
ウナギの飼い方の注意点
観賞用にウナギを飼育していても、夜行性なのであまり泳ぎ回っている姿を見ることは少ないです。そしてウナギはお腹いっぱいになるとねぐらに戻る習性があり、基本的に砂にもぐったり岩穴に隠れているので、面白みがあるかというと微妙な魚です。姿を見たいがためにガラス面を叩いたりしてストレスを与えないようにしましょう。
ウナギは水位を低くしても自分の体の半分くらいの高さまでなら余裕で顔を出しますし、高い所に登る習性があるので脱走には要注意です。
小さいうちは複数飼育していても問題ありませんが、大きくなるにつれ縄張り意識が強くなる傾向にあるので、喧嘩するようになります。
大きくなったときのことを考えると、最初から1~2匹程度の飼育にしたほうが無難と言えるでしょう。
低温に注意
ウナギは水温が低いと「水カビ病」にかかりやすい傾向にあります。砂利や流木などで擦れた部分に水カビが発生しやすくなるのです。
夜行性のため発見が遅れるケースが多いですが、水カビを見つけたら水槽の水換えを行って、市販の水カビ用の薬で治療します。
ウナギは混泳できるのか?
ウナギは肉食性の魚なので、基本的に口の中に入る小型の魚やヤマトヌマエビなどのエビ類は餌になってしまいます。
同じ水槽にいれるのであれば、次のような生き物がおすすめです。
- カワムツ
- フナ
- コイ
- 大きいサイズの金魚など
他の魚と混泳させる場合は、フンなどで水質悪化が早まるので、こまめな水換えと水槽内の掃除が必要になってきます。
▼ウナギとの混泳に向いている生体に関してはこちらもご参考にしてください。
飼育環境下で繁殖は可能?
ウナギは個人での繁殖例がなく、養殖場でもかなり繁殖が難しいようです。
繁殖させるとなると複数飼育が条件になってくるので、かなり大きな水槽が必要になります。個人飼育環境での繁殖は不可能に近いレベルと言ってよいでしょう。
うなぎの飼い方とは!稚魚からの飼育方法とエサやおすすめの飼育水槽まとめ
今回はウナギの飼い方についてお話しました。ウナギは成長すると1m近くになり、寿命も長いので死ぬまできちんと飼うことができるかよく考えましょう。
水質変化や餌不足・酸素不足などにも強いので、アクアリウム初心者でも飼育することができます。しかし脱走の名人なので、水槽のフタなどに工夫を凝らして飼育する必要があります。
もし気に入った水槽や水槽台が見つからない場合は、東京アクアガーデンのようにオーダーメイドで水槽や水槽台を作ってくれる業者に依頼して、オリジナルの物を作ることもできます。
大きな水槽を置くスぺースがあるなら、一度ウナギ飼育にチャレンジしてみませんか?
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