改良メダカとは言え、その飼育方法は多くの部分で原種と共通しています。
しかし、「アルビノメダカ」や「ダルマメダカ」、「ヒレナガメダカ」など原種と姿形が大きく異なっている品種については、それぞれの特徴をよく理解したうえで、適切な環境を用意しなければ長生きさせられません。
これらの品種は、視力が弱かったり遊泳力が低いなどの性質を持つので、混泳相手や水槽レイアウトに注意が必要です。
ここでは、改良メダカの飼育方法について焦点を当て、主に注意点についてまとめました。
改良メダカの基本的な飼育方法
改良メダカに適した水槽とは
基本的には原種メダカと変わりませんが、「スモールアイ」や「アルビノ」、「ヒレナガ」といった原種とは姿形が大きく異なっている品種については、水槽ならびに水槽環境の見直しを行った方が良いです。
まず、スモールアイやアルビノなどは視力が弱くなっている特徴があるため、他の品種と同じような感覚で飼育すると、障害物や他の個体とぶつかることが多くなってストレスの原因になります。
次に、ヒレナガ系はその名の通りヒレが長くなっており、その分だけ1個体が占めるスペースが広いです。よって、多品種と同様の環境で飼育すると、ヒレを引っかけるなどして、せっかくの奇麗なヒレを傷つける恐れがあります。
これらのことから、原種と容姿が離れている品種を飼育する場合は、より大きな水槽を使用したうえで、レイアウトも簡素にまとめることをおすすめします。
メダカのような小型魚の場合、水槽の大きさ(水量)に対する個体数の目安は、体長1cmにつき水1Lと言われています。過密になると水質の悪化が速くなり、縄張り争いも頻発するようになるので、目安よりも少なめの個体数で飼育した方が維持管理は容易です。
ヒーター・フィルター・その他機材
屋内飼育で繁殖を狙う場合は、通年で繁殖に適した水温を維持するためにヒーターを使用します。ヒーターは水槽サイズ(水量)に対応した物なら基本的には問題ありませんが、メダカは隙間に挟まって死亡する事例が散見されるため、隙間が少ないタイプの機種がおすすめです。
フィルターについては、メダカは強い水流を嫌うので、スポンジフィルターなどの排水の勢いが弱い形式が良いでしょう。メダカはあまり水を汚す魚種ではないため、ろ過能力よりも排水によって生じる水流に気を使う必要があります。
その他の機材としては、品種によっては照明器具が必要です。メダカは基本的には、日光を浴びた方が健康的かつ丈夫に成長します。
しかしながら、「シロメダカ」や「アルビノメダカ」といった品種は紫外線に弱いので、日光を当てるよりも熱帯魚用LED照明などの機材を用いて管理した方が、良い結果が得られやすいです。
改良メダカの餌
餌についても基本的には原種メダカと同様ですが、体色が濃い品種は「カロチノイド」などが豊富に含まれた、色揚げ効果のある物が良いでしょう。
ただし、色揚げ飼料は同時に高タンパク質で消化に悪い傾向にあるため、与えすぎに注意して必要に応じて低タンパク質のヘルシーフードを併用してください。
特に、「ダルマメダカ」などの品種は内臓に負担がかかっていて、消化不良を起こしやすい特徴があるので、餌の大きさや量、給餌の頻度や水温などに注意してあげてください。
改良メダカにあった水質・水温
原種・改良品種問わず、メダカに適した水質は中性付近で、水温は15~35℃程度です。メダカは適応力が高い魚種なので幅広い水質・水温で飼育できますが、いずれも急変するとpHショックや水温ショックを引き起こし、最悪の場合は死に至るため注意してください。
水質管理のコツは、しっかりとろ過バクテリアが繁殖した環境を作り上げたうえで定期的に水換えを行い、その際は多くても1/2ほどの換水に留めることです。
メダカの場合、水温が15℃を下回ってくると活性が低下し、5℃前後に到達すると冬眠してしまいます。逆に、水温が35℃を超えると、暑さのせいで活性が低下するので夏場は注意が必要です。
ダルマメダカなどの消化不良を防止するには、活性が高い状態を通年で保つことが有効なので、水温を25℃前後に保温すると良いでしょう。
繁殖活動を行う水温は23℃前後で、卵が孵化するのは積算温度が230~250℃に達した時です。具体的には、卵を水温23~25℃で管理した場合、10日前後で孵化するということです。
当然ながら、水が汚れていると水カビが発生するなどして卵が死んでしまうため、水質の管理も忘れないでください。
改良メダカと相性の良い水草
基本的にはどのような水草でも構いませんが、ヒレナガ系などの品種はヒレを保護するために、「マツモ」といった葉が柔らかい種類や、「ホテイアオイ」などの浮草の方が良いでしょう。
しかし、アルビノなどの紫外線に弱いタイプの場合、日光や強い照明を避ける必要があります。すると、水草が枯れてしまう恐れがあるので、そのような品種と水草を混泳させたい時は、柔らかい「ウィローモス」などの陰性水草がおすすめです。
改良メダカの飼育ポイント
混泳できる魚・生体
泳ぎが不得手なヒレナガ系や視力が弱いアルビノなどは、遊泳力が高い魚種と混泳させると餌を上手く取れずに弱ってしまう恐れがあります。そのため、遊泳力に大きな差が生じる組み合わせは避けた方が無難です。
また、テトラ系などは環境によっては他魚のヒレをかじることがあります。メダカがターゲットにされると衰弱する危険があるので、よく観察したうえで混泳を試みてください。
その他の生体とは概ね相性は良好で、エビ類や貝類などとは比較的安全に混泳できます。ただし、ザリガニやスジエビなどはメダカを捕食するので混泳は不可です。
改良メダカがかかりやすい病気
ほとんどの品種は、「尾ぐされ病」や「水カビ病」、「白点病」など原種と共通していますが、ダルマメダカは特に「転覆病」に注意が必要です。転覆病の原因として考えられるものは、浮袋の異常や消化不良によって腸内にガスが溜まることが挙げられます。
前者だった場合、治療は困難ですが、後者は消化不良を解消すれば改善される可能性があるため、水温を25℃程度まで上げると良いでしょう。病気予防の基本は環境を適切に管理することなので、定期的にメンテナンスを行って水質や水槽内を清浄に保つことが重要です。
改良メダカを長生きさせるコツ
まずは、購入時に状態が良いメダカを選定することが重要です。適切な管理が行われていなければメダカは弱ってしまいます。購入時にメダカが衰弱していると、その後の輸送や環境の変化によるストレスに耐えられず、ご自宅の水槽に導入した直後に命を落とすことも珍しくありません。
次に、購入する前に品種ごとの性質を理解し、それぞれにとって適切な飼育環境を用意できるようにしておきましょう。例えば、メダカは一般的に日光を浴びた方が健康的に成育しますが、前述のようにアルビノなどは紫外線に弱いため、照明器具を使用して管理した方が良いです。
また、ダルマメダカなどは、その他の品種よりも遊泳力が低い傾向にあるので、給餌や水槽レイアウトに注意してください。
ちなみに、アルビノやダルマなど、遺伝的特徴によって原種よりも身体能力が弱化している品種は、繁殖行動が下手な傾向にあるため、繁殖によって世代交代を狙う場合は要注意です。
まとめ:【2024年最新版】改良メダカ飼育方法のまとめ!これを守れば大丈夫!
改良メダカの中には、他の品種よりも身体能力が低下しているものが居るので、飼育の際にはその性質を理解しておくことが重要です。
視力が弱い品種や遊泳力が低いもの、紫外線に弱いものなど、品種によってははっきりとした注意点があり、そこを理解せずに飼育を始めると失敗の原因になります。
ご自身が飼育したいと思っている改良メダカの性質を事前に調べ、それぞれにとって適した水槽環境を用意しておきましょう。
水槽のプロが所属するサイト運営チームです。
淡水魚・海水魚・水槽設備やレイアウトのことまで、アクアリウムに関する情報を発信していきます!
※返信にお時間をいただいております。
弊社公式サイトのお悩み相談フォームですと早めに返信できますので、よろしければそちらもご利用ください。