人々の生活に“癒し”を与えてくれるアクアリウムは日本だけでなく、海外でも人気の趣味です。特にヨーロッパとアジアでは日本に負けない人気を誇り、筋金入りのアクアリストも少なくありません。
しかし、面白いことに同じアクアアリウムと言っても、トレンドはまったく異なります。その背景には住居の広さや水質といった、その地域ならではの特色が関係しています。
今回は海外のアクアリウムトレンドにスポットライトを当て、ヨーロッパとアジアにおける人気の傾向についてご紹介します。
ヨーロッパとアジアにみるアクアリウム人気の傾向!
アクアリウムは世界的に人気があります。外出する必要がなく、限られたスペースで飼育できることから、場所や環境を選ばず楽しめる点が大きな要因です。なかでもヨーロッパやアジア圏ではアクアリウム文化が盛んで、熱帯魚の飼育や水草の育成を楽しむ人は少なくありません。
ただ、「国が違えば文化も違う」というように、ヨーロッパとアジアでは人気の傾向が異なります。では、どのような違いがあるのでしょうか?
ヨーロッパは海水魚飼育者が多い?
ヨーロッパでは海水魚飼育者の割合が多い傾向があります。これは、水が硬水なため、水草の育成が難しい、ということもあるようです。ヨーロッパの水はアジアに比べカルシウムの割合が多いことから、水のpHと硬度が高く、水草が苦手な水と言えます。
そうなると、海水魚のほうが手間がかかりにくいでしょうから、マリンアクアリウムを楽しむ人が多くても不思議ではありません。また、家の広さに比例して、大型のアクアリウムが多いという特徴も見受けられます。
アジアは水草水槽が主流!
一方、アジアでは水草水槽が特に好まれます。水草の産地も近いことから、良質な水草が流通していることも大きな要因です。身近に水草が自生する環境があるため、育成方法や扱い方に慣れている影響もあることでしょう。
また、その関係でテラリウムも盛んです。さらに、パルダリウムでの爬虫類飼育も増加傾向にあります。
海外で人気のレイアウト
人気と傾向が違えば、もちろん、レイアウトも変わってきます。ヨーロッパとアジアでは水槽のサイズから流木や岩の配置にいたるまで、さまざまな特徴があり、それぞれに魅力があります。
ネイチャーアクアリウム
アジア圏ではネイチャーアクアリウムが主流です。水槽の中に生態系を表現するネイチャーアクアリウムでは水草が必須。そのため、質の良い水草が豊富に手に入るアジアはとても好条件と言えます。また、日本のADA製品はネイチャーアクアリウムに合った見ためと機能から、とても人気があります。
さらに、比較的小さめの水槽でも緑豊かにレイアウトする技術は非常に発展しています。これは、住居の広さの関係上、大型水槽よりも小型水槽が向いている場合が多いため、限られた空間でより美しく立体的にレイアウトする技術が発展した、ということもあるようです。
迫力とインテリア性
ヨーロッパでは、水槽からはみ出すような大ぶりの流木や岩をダイナミックに配置するレイアウトが好まれる傾向にあります。そのため、水槽全体を照らすことができ、より陰影が強調されるよう高い位置から照らすタイプの照明も少なくありません。
特に海水魚水槽の岩組やサンゴの配置は目を見張るほど見事です。さらに、アンティークチェストのような水槽台やおしゃれな形状の水槽など、ヨーロッパの住宅に合うようなインテリア性の高いアイテムが充実しています。人の目を引く美しい水槽は一つのステータスとして評価される場合もあります。
海外で人気の生体
ここまで、海外で好まれる水槽のタイプやレイアウトについて触れました。では、生体についてはどうでしょうか?
結論から述べると、ヨーロッパとアジアで好まれる生体は異なります。やはり、国柄や土地柄が影響しているようです。ここでは、海外ならではの人気の生体をご紹介します。
ヨーロッパでは観賞魚が人気!
ヨーロッパでは海水魚の他に日本の観賞魚も人気です。ドイツ、ベルギー、オランダでは錦鯉が人気で、現地のアクアリウムショップでは数多くの錦鯉が取り扱われています。
さらに、遠路はるばる日本の養鯉場に出向いて、錦鯉を買い付けに来る人も珍しくありません。なかには驚くような値段で多くの錦鯉を買っていく人も。錦鯉の飼育にはそれなりにスペースが必要ですが、ヨーロッパの住宅事情を鑑みて問題なく飼育できる点も人気の理由の一つでしょう。
他にもイギリスでは金魚が人気で、ブリーダーも存在しています。また、観賞魚のオーナーとなり、飼育は日本の養魚場に委託し、コンテストに出すというスタイルも浸透しています。日本では海外の魚が人気なように、日本の観賞魚もまたヨーロッパでは魅力的な魚種のようです。
アジアでは作出が熱い!
アジアでは台湾でビーシュリンプの作出がすすんでいます。その結果、さまざまなカラーのシュリンプが誕生しました。その品質の高さから多くの国に輸出され、高い評価を得ています。日本でも国内発祥のレッドビーシュリンプを中心にさまざまな特徴を持つシュリンプが排出されています。
また、ベタなどの小型淡水魚の作出も多いです。改良ベタの本場であるタイでは多種多様なベタが作出され、品質、品種数ともに群を抜いています。他にも、日本のメダカブームも盛り上がりを見せており、メダカのイメージを払拭するような美しい品種を目にする機会も増えてきました。
まとめ:海外のアクアリウムトレンド!ヨーロッパとアジアにみる人気の傾向とは!
アクアリウムにおけるヨーロッパとアジアの人気の傾向についてまとめます。
・ヨーロッパ=大きくダイナミック
・アジア=程よいサイズで充実したレイアウト
やはり、水質や住宅事情の違いで人気の傾向が決まっていると言えます。ヨーロッパは住居が広いことが多く、水槽を置く十分なスペースを確保できるものの、水質は硬水で海水魚向き。一方、アジアは限られたスペースでいかに水槽を彩るか、といった具合に傾向が分かれるようです。
アクアリウムでも国柄や土地柄が感じられて面白いですね。ただ一つ、明確な共通点は「アクアリウムは世界中で愛されている」ということでしょう。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
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