海水魚の飼育について調べていると、「海水水槽にエアレーションは不要」という文字を見かけることが結構あります。
魚が生きていくのには、当然ながら酸素が必要のはずです。
それなのになぜ、海水水槽ではエアレーションが不要という考え方が広まっているのでしょうか?
結論から申し上げますと、海水魚水槽でもエアレーションは必要です!
ただし、エアレーションに変わる酸素供給システムが備わっている水槽であれば、エアレーションが無くても大丈夫な場合があります。
今回は海水水槽にもエアレーションが必要な理由やおすすめの酸素供給方法について解説しますので、是非お役立てくださいね。
海水水槽にエアレーションは必要です!
海水水槽では水流を強く設定するため、エアレーションは不要という考え方もあります。
しかし結論から申し上げますと、海水水槽でもエアレーションは必要です!
まずはその理由と、水槽内が酸素不足におちいった際のリスクについて解説していきます。
酸素供給は海水魚飼育の大切なポイント
海水魚やサンゴは淡水魚以上に浄化された水を好むため、硝化バクテリアの存在がかなり重要です。
そして、その硝化バクテリアを活性化させるのには酸素をふんだんに含んだ水が必要となります。
つまり、酸素供給は海水魚飼育をする上で、切っても切り離せない大切なポイントだということです。
できるだけ多くの酸素を供給した方が硝化バクテリアの働きがスムーズになりますし、水質が安定するため長期管理もやりやすいというメリットがあります。
また、海水魚自体も酸素を消費します。特に、外部フィルターで海水魚を飼育している場合はエアレーションは非常に大切と言えます。
酸欠になるとどうなる?
では海水水槽の酸素供給が不足すると、水槽はどうなってしまうのでしょうか?
これは想像するまでもありませんが、魚たちの命にかかわります。
魚は基本、水中に溶け込んだ酸素をエラから取り込んで呼吸するため、水中の酸素が不足すると酸欠になってしまうのです。
それだけではありません。
水中の有害物質を硝化するために働く硝化バクテリアも、酸素が不足すると生きることができずに減っていってしまいます。
その結果水質が悪化して濁りなどが生じ、水槽内の生き物が生存できないような環境となってしまうのです。
海水水槽に酸素供給をする工夫3個
海水水槽にはいかに酸素供給が重要か、おわかりいただけたかと思います。
ここからは海水水槽に酸素供給する工夫ということで
- 淡水同様にエアレーションする
- プロテインスキマーをつける
- オーバーフロー式にする
という3つの方法についてご紹介しますので、しっかりと確認しておきましょう。
工夫1:淡水同様にエアレーションする
まずはじめにご紹介するのは、淡水水槽と同様にエアストーンを投入してエアレーションする方法です。
手軽で即効性があるため、このあと解説するプロテインスキマーやオーバーフローでの酸素供給に何か不具合があった場合でも、水槽の酸素不足を抑えることができます。
ただし海水水槽でエアストーンを使用する際に注意したいのが塩ダレです。
水面近くで跳ねた水が乾くと海水の塩分がこびりついてしまうので、気になる場合は以下のようなバブルストッパーを併用しましょう。
工夫2:プロテインスキマーをつける
プロテインスキマーとは海水を泡立てることで水中の汚れを絡め取る、海水水槽ではおなじみのろ過装置の一種です。
実はこのプロテインスキマーにも水中の酸素を増やす能力があるため、安定して酸素供給をすることができます。
しかし、プロテインスキマーには定期的なメンテナンスが必要です。
目詰まりをすると当然ながら酸素供給量が下がってしまいますし、急な故障も起こりうるため、酸素供給に関してはエアストーンと併用しておくのが安心と言えます。
工夫3:オーバーフロー式にする
オーバーフロー式も海水水槽では定番のろ過システムですが、こちらも高い酸素供給能力を誇ります。
水槽の中の飼育水がろ過槽へ落下する際に空気に触れるため、大量の酸素を巻き込むことができるのです。
水流も強力なため取り込んだ酸素を水槽の隅々にまで運ぶことができ、酸素供給能力の面で言えばこれまでご紹介した方法の中でもっとも優れていると言えます。
オーバーフロー式が海水水槽に向いている理由
オーバーフロー水槽は酸素供給能力に優れたシステムのため、多くの酸素を必要とする海水魚飼育にはまさにうってつけのろ過方式と言えます。
ですが、多くの海水魚飼育者がオーバーフロー式を選ぶ理由はそれだけではありません。
ここからはオーバーフロー式が海水水槽に向いている理由ということで、
- 設備をカスタマイズできる
- 見た目がすっきりする
- ろ材を大量に備えられる
こちらの3点について解説をしていきます。
設備をカスタマイズできる
オーバーフロー式では揚水ポンプの強さを選ぶことができるので、強力なポンプを選定すれば水を汚す生体が多かったり水槽用クーラーを取り付けるような場合でも問題なく水を循環させることができます。
このように、好みに合わせて設備をカスタマイズできるという点が、オーバーフローをおすすめする1つ目の理由です。
わたしは人生初の海水魚飼育をオーバーフロー水槽で始めた経験があるのですが、水が回る仕組みさえ理解できれば配管やポンプの選定はそれほど難しくない印象でした。
配管やポンプの選び方については以下の記事でも解説していますので、是非ご覧になってみてくださいね。
見た目がすっきりする
海水水槽におすすめの理由2つ目は、ろ過槽が水槽の下部にあるためすっきりとした見た目になるという点です。
ろ過槽を水槽台で隠してしまえば、複雑な配管が人目に触れることもありません。
インテリア性が高まりますし、海水魚のカラフルで洗練されたイメージを崩すこと無く観賞できるのはかなり大きなメリットと言えます。
ろ材を大量に備えられる
オーバーフローをおすすめする最大の理由が、ろ過槽の広さです。
ろ過槽が広いということはつまり、ろ材を大量に備えられるということ。
海水魚水槽は淡水魚水槽以上に硝化バクテリアの働きが重要となるため、ろ過槽が広ければその分水質の安定化につながります。
また、ろ過槽内にプロテインスキマーを設置すれば、ウールマットによる物理ろ過・多孔質なろ材によるバクテリアの確保・タンパク質の除去といった具合で、複数のろ過システムを組み合わせることも可能となります。
まとめ:海水水槽にエアレーションは必要?酸素を供給するための3個の工夫とは!
今回は海水水槽におけるエアレーションの必要性や、酸素を供給するための方法について解説をしてきました。
結論から申し上げますと、海水魚水槽でもエアレーションは必要です。
別途酸素供給できるシステム(プロテインスキマーやオーバーフローなど)が備わっていればエアレーションが無くても大丈夫な場合がありますが、それらの設備が故障で停止する可能性もゼロではありません。
これらのことを踏まえると、どのような水槽にもエアレーションを設置しておいた方が安心だと思います。
「あのとききちんと対策しておけば…」と後悔しないように、水槽の酸欠対策はしっかりと行ないましょう。
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!