メダカの餌では人工飼料の他に生きた状態の赤虫やミジンコ、ブラインシュリンプといった餌もよく使われます。
栄養価が高くメダカが好んで食べるため、稚魚から成魚の飼育まで使えるおすすめの餌です。しかし、生き餌は保存が難しいため、扱いにくい側面があります。
そんな生餌の保存が難しいという方には、冷凍餌や、乾燥させたミジンコの卵(耐久卵)を水に戻して孵化させて与える方法がおすすめです。
今回は、保存可能なメダカの生餌3選とミジンコの保存についてご紹介しますので、ぜひ、ご覧ください。
保存可能なメダカの生餌3種
保存可能なメダカの生餌として有名なのは、次の3種類です。
- 冷凍餌
- ブラインシュリンプ
- 乾燥赤虫
生きた状態の餌を冷凍・乾燥したり、乾燥に強い卵の状態で管理したりなど保存状態はさまざまですが、どれも活動を停止した状態のため、動いている生餌を管理するよりもずっと楽に保存ができます。
生餌の特徴や保存方法、扱い方を解説していきますので、参考にしてみてください。
ミジンコについては、後ほど詳しくご紹介します。
冷凍餌
冷凍餌は、メダカが好む生き餌を冷凍したものです。
- 冷凍アカムシ
- 冷凍ブラインシュリンプ
- 冷凍ミジンコ
といった種類が有名で、メダカの他にも金魚や熱帯魚に与えることも少なくありません。
生き餌はメダカに与えるまで別の容器で管理する手間がありますが、冷凍餌は冷凍庫に入れおくだけで保存できます。
生きた状態の方が動きがあるのでメダカが好んで食べるものの、冷凍餌でも積極的に口に入れます。生きた状態で管理することが難しい場合は、冷凍餌がおすすめです。
ただし、冷凍餌といっても劣化するため、消費期限内に使いきるようにしましょう。
また再冷凍すると劣化したり、再び解凍する際に栄養が抜けたりするので、解凍したら使いきる、もしくは余ったものは捨てる必要があります。
ブラインシュリンプ
ブラインシュリンプは動物プラントンの仲間で、メダカの稚魚の成長促進や成魚の色揚げなど、幅広く利用されます。
ブラインシュリンプは生きた状態ではなく、卵の状態に限り保存性が高いです。乾燥に強い耐久卵という卵を冷蔵庫で保存することで、長期間使いつづけることができます。
ただし、ブラインシュリンプの卵はそのままメダカに与えるわけではなく、孵化させてから給餌する必要があります。
ブラインシュリンプの孵化方法は次の通りです。
- 塩分濃度2%の塩水を用意して卵を入れる
- 水温を28度程度に保つ
- 光を当てる
環境が整っていると、12~24時間で孵化します。
ブラインシュリンプの特徴や孵化させる方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
乾燥赤虫
乾燥赤虫は、メダカの大好物であるユスリカの幼虫を乾燥させたものです。
生きた状態の赤虫は保存が難しいですが、乾燥させることで人工飼料のように好きなタイミングで与えることができます。赤虫はたんぱく質が豊富なので、メダカの丈夫な体作りにおすすめの餌です。
嗜好性は生きた赤虫の方が良いですが、形がほぼ同じで匂いもあるため乾燥赤虫も好んで食べます。
ミジンコも保存可能とされる理由
メダカの生餌にはミジンコも有用です。
ミジンコは生きたものを入手する、もしくは冷凍・乾燥状態のものをメダカに与えるイメージがありますが、実は卵の状態であれば保存することができます。
ここからは、ミジンコが保存できる理由と増やす方法をご紹します。
ミジンコの耐久卵・休眠卵とは
ミジンコの繁殖方法は単為生殖といって、メスだけで卵を産んで繁殖できるのが特徴です。生まれてくるミジンコも基本的にはメスです。
しかし、極端に乾燥したり、水温が上がったりなど環境が悪化すると、卵からオスが生まれてメスと繁殖することがあります。このとき産まれるのが「耐久卵」や「休眠卵」と呼ばれる特殊な卵です。
最近ではメダカの餌として、このミジンコの耐久卵が登場しています。悪化した環境でも生き残れるような丈夫な卵なので、冷蔵庫で保存することが可能です。
孵化させてから与える必要がありますが、水に入れるだけなので扱いも簡単です。
ミジンコは乾燥した田土に紛れている
ミジンコの耐久卵は珍しいものではなく、田んぼの土に紛れています。
春ごろに田んぼに水が入って数日~2週間ほどするとミジンコが発生するのは、耐久卵からいっせいに孵化するためです。
水のある間はメスのみで繁殖を続けますが、田んぼから水がなくなると耐久卵を産んで土に混ざり、翌年また水が入ってくるのを待つのです。
田土からミジンコを増やす方法
ミジンコの耐久卵は田土にほぼ確実に混ざっているため、市販の田土からミジンコを発生させることもできます。
田土に水を与える
田土からミジンコを増やす方法はとてもシンプルで、田土に水を入れるだけです。
水温が低いと孵化に時間がかかったり、孵化率が下がったりするため、25度~30度前半の水温で孵化させましょう。
グリーンウォーターを利用する
ミジンコを孵化させる際には、カルキを抜いた水道水よりもグリーンウォーターを利用する方が良いです。
グリーンウォーターは植物プランクトンが豊富な水で、ミジンコの餌になります。常に周りに餌がある状態でミジンコを孵化できるため、餌に困らずミジンコが増えやすいです。
ミジンコの管理方法と増やし方は、こちらの記事をご覧ください。
グリーンウォーターは保存できない理由
ミジンコの孵化や、メダカの餌としても有用なグリーンウォーターですが、グリーンウォーター自体は残念ながら保存ができません。
グリーンウォーターは植物プランクトンなので、生きた状態を維持する必要があるためです。
グリーンウォーターは植物プランクトン
グリーンウォーターに含まれる植物プランクトンは生きているので、
- 酸素
- 光
- 養分
などがないと死んでしまいます。植物プランクトンが生きられる環境と冷凍・乾燥といった保存性が高まる条件とは大きく異なることから、保存は難しいでしょう。
グリーンウォーターは数日なら保管できる
グリーンウォーターは保存はできませんが、数日であれば保管できます。
ボトルやパック詰めされた状態でも3日ほどなら問題ありません。とはいえ、酸素や光などがない状態がつづくと死んでしまうため、できるだけ早く開口部の広い容器に移して日光を当てましょう。
メダカを数匹入れておくと、フンが分解されて発生する硝酸塩が植物プランクトンの養分になります。
グリーンウォーターを作る方法は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ:保存可能なメダカの生餌3選とミジンコの保存について!休眠と耐久卵
今回は、保存可能なメダカの生餌3選とミジンコの保存についてご紹介しました。
生きた状態の餌は栄養価や嗜好性が高い反面、保存性が低いのが難点です。
しかし、冷凍・保存された状態だったり、耐久卵の状態で保存して孵化させて使ったりすることで保存することもできます。「生きた餌を使いたいけれど手間がかかる」という場合の選択肢の1つとしておすすめです。
メダカの丈夫な体作りや成長促進に役立つので、ぜひ、保存できる生餌を利用してみてください。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。