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オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法!海水水槽設置後の運用法

高いろ過能力が魅力のオーバーフロー水槽。初期費用はかかりますが、一度導入してしまえば長く使えることから購入を検討している方も多いのではないでしょか。

確かに、オーバーフロー水槽は長く使える設備です。しかし、ろ過槽にヘドロが溜まったり、循環ポンプのメンテナンスを怠ったりすると、ろ過能力が維持できなくなります。

特にオーバーフロー式で海水魚水槽を管理している場合、他のろ過方式では飼育できないような水質に敏感な海水魚やサンゴを管理していることも多く、ろ過能力の低下は致命傷にもなりかねません。機材をしっかり整備してベストな状態で運用することが重要です。

ここでは、海水魚を管理するオーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法と設置後の運用ポイントをご紹介します。

オーバーフロー水槽の運用方法

オーバーフロー水槽のろ過能力を維持するためには、適切な方法で運用することが重要です。

  • 水の蒸発と水量に気を付ける
  • ウールマットの消耗具合を常に確認する
  • レイアウトによっては水流ポンプを追加する

といったことは基本的ですが、意外と手が回っていないことも少なくありません。オーバーフロー水槽のろ過能力に直結することなので、具体的に解説していきます。

水の蒸発と水量に気を付ける

水槽の水は少しずつ蒸発していきますので、水量をこまめに確認し、水位を維持するよう努めましょう。

オーバーフロー水槽では水はろ過槽から蒸発するので、定期的に循環ポンプを止めて水位を確認します。減っていれば足し水して、水量を減らさないことが重要です。

水位の変化は水質に影響します。オーバーフロー式で飼育する海水魚やサンゴは水質の変化に弱い魚種が多いため、常に水量に気を配り、できる限り水質を変化させないように運用しましょう

ウールマットの消耗具合は常に確認しよう

ウールボックス内のウールマットは、オーバーフロー水槽のろ過能力を守るために欠かせないろ材です。

ウールマットによって食べ残しやフン、ゴミといった物理的な汚れが下層のろ材に落ちて目詰まりするのを防ぐことが可能です。

また、フロー管をクリアな三重管にしている場合は汚れが目立つため、パイプブラシで定期的に掃除することになります。ウールマットが消耗していると、このときに落ちる汚れがろ過槽まで流れてしまいます。

消耗した状態ではろ過能力に影響するため、2週間を目安に交換するようにしましょう。

ウールマットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

レイアウトによっては水流ポンプを追加する

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水槽のレイアウトが入り組んでいると、淀みが発生してゴミや汚れが溜まってしまうことがあります。

特に海水魚水槽の場合は、入り組んだライブロックを設置することが多く淀みができやすいです。水質悪化や菌の温床につながる可能性があるので、水流ポンプを追加して水を循環させましょう。

適切な水流は、海水魚やサンゴの健康にもつながります。

オーバーフローのろ過能力を維持するには

オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法として、ヘドロの掃除が効果的です。

ヘドロが溜まると水流やろ過能力に影響します。ヘドロを除去したり、発生する前に対策したりすることで、ろ材の洗浄にかかる手間を抑えることも可能です。

ここでは、ろ過能力を維持するために、

  • ろ過槽のヘドロを掃除する
  • ろ材の洗浄回数を減らす

この2つの方法をご紹介します。

ろ過槽のヘドロを掃除しよう

ろ過槽の底やろ材に溜まるヘドロは、定期的に掃除しましょう

ヘドロの成分は主にデトリタスと呼ばれる微細な有機物で、フンや餌の食べ残し、バクテリアの死骸などが原因で発生します。ヘドロがろ過槽内やろ材に溜まると通水性が下がるため、ろ過能力が落ちてしまいます

ヘドロは掃除をして除去するのが一番です。ろ材を掃除する場合は、一度にすべて洗ってしまうのではなく、半分ずつに日を分けて掃除するようにしてください。ろ材には水質を綺麗に保つ硝化バクテリアが多数棲みついているため、一度に掃除してしまうとバクテリアが大幅に減少し、水質の急変につながる可能性があります。

水槽に溜まるヘドロとオーバーフロー水槽の掃除方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。

ろ材の洗浄回数を減らす方法

(海水魚)エビ スカンクシュリンプ Sサイズ(1匹) 北海道・九州航空便要保温

「掃除をしてもすぐにヘドロがたまってしまう」
「水質を維持するためにろ材の洗浄回数を減らしたい」
そんな時には、お掃除生体を導入するのがおすすめです。

ヘドロの原因となる餌の食べ残しや汚れを食べて減らしてくれます。お掃除生体にもそれぞれ得意分野がありますので、

  • スカンクシュリンプ:岩の隙間などの汚れや食べ残し
  • マガキガイ:サンゴ砂の汚れ
  • シッタカガイ:水槽側面や岩の汚れ

といったように場所ごとに最適な生体を数種類入れると効果的です。
水槽の大きさや飼育環境にお掃除生体の数が適していれば、ろ材の洗浄頻度を下げたり、ろ過槽を掃除しなくても管理できたりする場合があります。

お掃除生体の数は、水槽の大きさや生体数、ろ過フィルターの性能によって適正数が変わります。まずは少なめに導入し、バランスを確認しながら徐々にお掃除生体の数を増やして、適正数を探っていきましょう

海水魚水槽のお掃除生体については、こちらの記事で詳しく解説しています。

循環ポンプの交換時期

オーバーフロー水槽のろ過能力は、循環ポンプの性能によって左右されます。

長期間使えるものですが寿命があるので、交換時期を意識しながら使用することが重要です。また、メンテナンスによってポンプの寿命が変わるため、定期的に掃除しながら管理する必要があります。

マグネットポンプの寿命は10年ほど

オーバーフロー水槽の循環ポンプとして使用頻度が高いマグネットポンプの寿命は10年ほどです。

インペラを回転させるマグネットは、使用期間が長いとどうしても磁力が低下していきます。とはいえ、10年という寿命は水槽用機材のなかでは長寿な部類です。

初期費用がかかっても最初に性能の良いポンプを選んでおくと、高いろ過能力を維持しやすくなります。有名メーカーの製品であれば廃盤で購入できなくなる、というようなことも滅多にないため、買い替えの際も安心です。

おすすめの循環ポンプについては、こちらの記事をご覧ください。

メンテナンスによってポンプの寿命は変わる

ポンプの寿命は、メンテナンスの有無によって変わります。

どうしても汚れやゴミが入りこんでしまいますが、マグネットポンプであれば分解・掃除した後に再使用できることが多いです。

  • 水流が弱まった
  • 異音がする
  • 熱を持っている

など、ポンプに異変を確認したらメンテナンスしましょう。また、ポンプを設置する際は、できるだけ振動を起こさないようにしてください。

設置ベースが不安定で振動の振れ幅があると、消耗や故障につながります。特に海水魚水槽の場合は淡水よりも比重が大きくポンプに負荷がかかりやすいため、できる限り負担を減らせる方法で運用するようにしましょう。

オーバーフロー水槽で起こる可能性のあるトラブル

オーバーフロー水槽を管理していると、次のようなトラブルが起こることがあります。

  • 水漏れや水流が適切にならない
  • 騒音や動作音が気になる
  • ウミケムシなど害虫の混入

最初は軽度でも、放っておくと大きなトラブルにつながることもあるため、早めに対処するようにしましょう。

水槽水漏れ相談

水漏れ・水流が適切にならない

オーバーフロー水槽のろ過槽周りの水漏れは、配管の接着不良が主な原因です。

長期間水に触れたり、水流による負荷がかかったりする部分なので、必ず塩ビ用接着剤などで固定するようにしてください。

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また、メンテナンスが行き届いているのに水流が適切にならない場合は、ポンプが適していない可能性があります。水流は揚程(ポンプが押し上げられる水の距離・高さ)によって変わりますし、

  • 配管構造
  • 接続する機材の数

などが抵抗になっているケースも珍しくありません。水流に問題がある場合は、ポンプの性能が不十分でないか確認しましょう。

オーバーフロー水槽の配管方法と揚程の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

騒音・動作音が気になる

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ろ過槽への落水音や循環ポンプの騒音・動作音が気になる場合は、水槽台の内側に防音シートを貼り付ける方法が効果的です。

水槽台内部に響く音に対して、手軽に対策できます。循環ポンプの動作音は、下に防振パットを敷くことで消音につながります。

オーバーフロー水槽の騒音・動作音の対策は、こちらの記事をご覧ください。

ウミケムシなど害虫の混入

オーバーフロー水槽の中でも、ライブロックを大量に設置して水質の維持を図るベルリン式を採用した水槽では、ウミケムシなどの害虫に悩まされることがあります。

害虫は意図せず混入した生き物を指していて、ライブロックに紛れて水槽に入ることがほとんどです。ウミケムシは水槽内の生き物に害を与えることはありませんが、見た目が良いものではないため、気になる場合は取り出しましょう

ライブロックを入れる前にキュアリングして、害虫を落としておくのも1つの手です。

一方で、カーリー(セイタカイソギンチャク)やヒトデは魚・サンゴに有害なので、見つけたら早めに駆除しましょう。カーリーを駆除するためには、ペパーミントシュリンプに食べてもらう方法があります。

水槽に混入してしまう生き物については、こちらの記事をご覧ください。

まとめ:オーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法!海水水槽設置後の運用法

今回は、海水魚を管理するオーバーフロー水槽のろ過能力を維持する方法と設置後の運用ポイントをご紹介しました。

オーバーフロー水槽の基本的な運用ポイントでは、足し水して水量を維持したり、早めにウールマットを交換したりして、本来のろ過能力を発揮できる環境を整えることが大切です。そのうえで、ろ過槽の掃除や循環ポンプの状態確認を定期的に行うと、ろ過能力を維持しやすくなります。

高いろ過能力はオーバーフロー水槽の大きなメリットなので、最大限生かせるようメンテナンスや管理を徹底しましょう。