生き物の活動には光が欠かせません。屋外であれば太陽光で賄えますが、日の光が入りづらい室内の水槽では、水槽用照明がこれの代わりを果たします。
しかし、ただ点灯しておけば良いというものではなく、毎日時間を決めて点灯消灯をすることで生き物のバイオリズムを整えて、健やかな生育を促すことが可能です。
一般的に照明の点灯時間は、1日8時間程度が良いとされていますがこれにもちゃんとした理由があります。
点灯のし過ぎは、コケの発生や電気代の増加など頭の痛いトラブルの元にもなりますので、規則的に管理していきましょう。
今回は、水槽照明の点灯時間が1日8時間程度とされている理由と、各水槽の適切な点灯時間を合わせて解説します。
水槽の照明・ライトは8時間点灯が良い理由
照明の点灯時間は長くても短くても良くありません。照明の恩恵と弊害のバランスを取ることが大切で、ちょうど良いとされている時間が『8時間』です。
8時間点灯を基準とすることで、次の3つをバランスよく保つことができます。
- コケの繁茂を防ぐため
- 生き物のバイオリズムを整えるため
- 電気代の管理
アクアリウムが安定しない理由では水質に目が行きがちですが、点灯時間が原因になっていることもあります。
照明が水槽や生体に与える影響を把握して、適切な時間だけ点灯することが重要です。
コケの繁茂を防ぐため
照明時間が長いとコケが繁茂しやすくなります。
コケは水槽内の養分だけではなく、光が当たることで光合成して成長します。必要以上に長い点灯時間は、コケが育ちやすい環境を作っているといっても過言ではありません。
とはいえ、コケの発生を抑えるために光が当たらない環境にすると、魚や水草にまで悪影響を与えてしまいます。8時間という点灯時間は、コケの発生と生体の体調とのバランスを考えた時間と言えるのです。
生き物のバイオリズムを整えるため
照明には、生き物のバイオリズムを整える効果があります。
バイオリズムとは、明るい時間に動いたり、暗くなると休んだりする行動の移り変わりを指します。メダカなどは日照時間が長くなると繁殖を始めますが、これもバイオリズムの1つです。
照明の点灯時間が長すぎたり、短すぎたりすると、バイオリズムがくずれて体調不良につながることがあります。また、不規則な点灯時間も良くないため、決まった時間に点灯・消灯するようにしましょう。
電気代の管理
照明の点灯時間を調節することは、電気代の管理にもつながります。
長く点灯すれば、それだけ電気代がかかってしまいます。
近頃の水槽用照明は省エネの製品も珍しくないので、大きな金額ではないかもしれません。
しかし、毎日使用するうえに長時間照らしても基本的にメリットがないことを考えると、照明時間を決めた方が無駄なく運用できます。
仕事などで規則正しく点灯・消灯することが難しい場合は、タイマーを使用して自動で照明を管理する方法がおすすめです。
水槽環境で変わる!点灯時間の目安
照明の点灯時間は8時間が1つの基準ですが、水槽の環境や水草の有無、飼育している生体によって適切な点灯時間が異なります。
ここでは、次の7種類の照明時間の目安をご紹介します。
- 淡水魚
- 水草
- メダカ
- 金魚
- 海水魚
- サンゴ
- リフジウム
現在飼っている生体と照明時間を照らし合わせて、ご覧になってみてください。
淡水魚水槽は約8時間
淡水の熱帯魚や日本淡水魚など、淡水魚水槽の照明時間は約8時間が目安です。
淡水魚水槽に限らずどの水槽でも言えることではありますが、照明の点灯時間を管理する上での重要なポイントとして、 部屋の照明や日差しも考慮することが挙げられます。
生体は照明を点灯することで活動するわけではなく、水槽に光が入っている間は活動を続けます。
例えば9時~17時まで水槽用照明を点灯していたとして、消灯後に部屋の中が明るければ、その分だけ活動時間が延びていると考えることができるのです。
照明を管理しているはずなのに、生体や水草の調子が悪かったりコケが繁茂する場合は、この外からの明かりで点灯時間が延びていないか確認してみましょう。
基本的には昼間の明るい時間帯に照明を点灯して点灯時間を8時間に調節することで、バイオリズムが整いやすいです。水槽に合わせて部屋を暗くすることが難しい場合は、水槽の照明を消した上で、明かりが入らないよう水槽に覆いをするなどの対策をすると、点灯時間を管理しやすくなります。
水草水槽は約8~10時間
水草水槽の点灯時間は8時間が目安です。
ただ、十分な光量を必要とする種類を育成している場合は10時間でも問題ありません。
- キューバパールグラス
- グロッソスティグマ
- リシア
など、育成が難しい種類は点灯時間が適切でないと育たなかったり、間延びしたりする場合があります。また、水草の葉にコケが生えてしまうことも珍しくありません。
光量が必要で飼育が難しい水草は、こちらの記事で解説しています。
メダカ水槽は約8~10時間
メダカは光がバイオリズムに大きく影響する魚なので、室内飼育の場合では日照不足にならないよう約8~10時間を目安に点灯しましょう。
ただし、繁殖を促したい場合は、照明時間を14時間ほどに調節します。
照明はメダカのバイオリズムを整えるだけでなく、健康的に育ったり、色が揚がったりするメリットもあるので、しっかりと照明時間を設けましょう。
メダカがビオトープでの飼育が推奨されるているのは、日光浴が成長のポイントになるからです。
金魚水槽は約6~8時間
金魚は室内飼育では照明をそれほど必要としない魚なので、6~8時間と少し短めに調節します。
餌をよく食べフンが多い金魚水槽では、照明時間が長いとすぐにコケが繁茂してしまいます。ただ、バイオリズムを整えるためには必要なので、照明は付けてあげたほうが良いでしょう。
また、明るく照らせる照明があると、金魚の美しい体色を際立たせて観賞魚としての魅力を最大限に引き出すことも可能です。
金魚におすすめの照明は、こちらの記事で詳しく解説しています。
海水魚水槽は約8時間
海水魚水槽の照明時間は、約8時間に調節して生体のバイオリズムを整えるようにします。
海水魚の体色を際立たせたり、海中のイメージを演出したりできる青い照明がとくにおすすめです。照明1つで水槽の雰囲気がガラッと変わります。
海水魚水槽におすすめの照明は、こちら記事をご覧ください。
サンゴ水槽は約8~10時間
サンゴ水槽の照明時間は8時間が目安ですが、好日性サンゴの場合は長めの10時間でも問題ありません。
好日性サンゴと共生している褐虫藻が光合成することで栄養を確保するためです。照明時間も大切ですが、吸収しやすい波長を当てられるサンゴ用の照明を使うことで、状態よく管理できます。
リフジウム水槽は24時間
リフジウム水槽は、海水魚水槽の1つです。
本水槽とは別にもう1つ水槽を用意して、海藻を育成することで水中の養分を吸収させて水質を維持する少し変わったろ過方式です。
リフジウム水槽では海藻の育成が重要なポイントで、照明は消さずに24時間休みなしに点灯し続けて管理します。
というのも、海藻は照明の点灯・消灯によって1日のサイクルを感じさせると寿命が早まってしまうためです。照明を点灯しつづけることで、海藻を長期間維持することができます。
リフジウム水槽については、こちらの記事で詳しく解説しています。
照明をつけるとコケは必ず発生する
水槽で生体を飼育して照明を点灯すると、コケは必ず発生します。
水草が好む水中の養分と成長に必要な光が十分に得られる環境は、同じく植物であるコケにとっても最適な状態のため、コケの発生を避けることは難しいです。生えるコケの種類は水槽の環境ごとに異なりますが、緑ゴケや茶ゴケはどうしてもは発生します。
コケは鑑賞性が下がりますし生え始めの方が落としやすいので、発生したらその都度スポンジで擦ったり、必要に応じてお掃除生体を導入したりしてコケ対策しましょう。
水槽のお掃除生体は、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ:水槽の照明ライトは何時間つけるのか?8時間が良い理由と点灯目安
今回は水槽の照明時間は8時間が良い理由を解説しました。
8時間を目安にしたうえで、水槽の種類に合わせて照明時間を調節することによって、
- コケの繁茂を防ぐ
- 魚のバイオリズムを整える
- 水草やサンゴが状態良く育つ
といったメリットがあります。それだけではなく、不必要な電気代の削減にもつながります。
照明をアクアリウムの維持につながる飼育用品の1つと考えて、適切な点灯時間で運用するようにしましょう。
トロピカライターの高橋風帆です。
アクアリウム歴20年以上。飼育しているアーモンドスネークヘッドは10年来の相棒です。
魚類の生息環境調査をしておりまして、仕事で魚類調査、プライべートでアクアリウム&生き物探しと生き物中心の毎日を送っています。
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