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黄金比 と アクアリウムのレイアウト を考える

いかなるデザインも美しくする比率『黄金比』。

それをアクアリウムのレイアウトにあてはめたらどうなるのか?

考えてみました!

一般的な水槽のサイズ

一般にホームセンターやネットショップで入手できるのは『規格水槽』と呼ばれる、

決まったサイズの水槽です。

30cm水槽なら横幅31×奥行き18×高さ24(cm)…など、オーソドックスなサイズのものです。

規格水槽は基本的に、取り付けられる濾過フィルターの能力などに適合した水量をいれることができるサイズに作られています。

規格が決まっていれば、設備をそろえやすくなり、飼育も安定する、というわけです。

しかし、黄金比を重視するとなると、規格水槽はほんの少しサイズが違います。

いれられる水量をきっちり割り切れるサイズと、黄金比は一致しないからです。

規格水槽はメインの役割は観賞魚飼育です。

魚の健康を第一に考えているので、よりより比率になっているんですね。

『黄金比』とは?

古来より、人間が視覚を通して、自然に『美しい』と感じる比率があります。

それが黄金比(golden ratio)です。

黄金比を数値で表すと1:1.618です。

有名な例を挙げれば、ギリシャのパルテノン神殿や、ダ・ヴィンチのモナ・リザ、身近なところでは名刺やスマートフォンなど、人間が普遍的に美しい・見やすいと感じるものには、この黄金比があてはまります。

黄金比は自然の生み出したバランスです。

貝やシダ植物など、黄金比を生まれながらに持つものもいます。

より自然で人間の頭脳の認識力にぴったりで、わだかまりなく『認知』できるのが、黄金比であると言えるでしょう。

黄金比=自然の美しさ

アクアリウムはいわば、自然を再構築する作業です。

黄金比が自然を体現した数値であるとすれば、それを活用することで、さらに美しいアクアリウムが完成するはずです。

では、どうすれば黄金比を実現できるのでしょうか。

まず、規格水槽の横幅をもとに、黄金比で割り出した縦の比率を出してみましょう。

※奥行きは視野と直線的に重なるため、計算しません。

規格水槽と黄金比の比較

横幅30cm:【黄金比】高さ18.75cm(規格の高さ24cm)

横幅45cm:【黄金比】高さ28.125cm規格の高さ30cm

横幅60cm:【黄金比】高さ37. 5cm規格の高さ36cm

横幅90cm:【黄金比】高さ56.25cm(規格の高さ45cm)

横幅120cm:【黄金比】高さ75cm(規格の高さ45cm※)※60cmも有り。

横幅180cm:【黄金比】高さ112.5cm(規格の高さ60cm)

惜しいのは45cmと60cm規格水槽です。

このどちらかを使えば、より黄金比に近づけることができそうです。

レイアウトの黄金比

水槽だけでなく、レイアウトによっても黄金比は実現できます。

淡水水槽の水草や、海水水槽の岩組を黄金比に沿って盛つけるのです。

やり方としては、水槽内の黄金比を計算して、そのサイズにそったアイテムをレイアウトしていくことになるのですが、それが自身の目指すレイアウトになるとは限りません。

個人的には、“黄金比の約束を守りつつ、自分らしい味付けをする”のが一番理想的なアクアリウムであると思います。

例えば、レイアウトアイテムは、そもそもが自然の物が多いです。

流木であったり、ライブロックであったり…どれもが自然の成り行きでできた形・一つとして同じ形はありません。

石材を加工して作られたパルテノン神殿などは、規格化された黄金比でありますから、それを目指すのとは違うのではないか、と思います。

そこで、より簡単に黄金比を取り入れつつも、自分らしいアレンジができる方法を考えてみました。

1.水槽サイズから、水槽内の黄金比を割り出す

【黄金比の公式】 1:(1+√5)/2

横幅60×奥行き36×高さ30cm水槽を例とすると
横幅37cm : 23cm 奥行き18.4cm : 11.6cm 高さ22cm : 14cmです。

2.黄金比の範囲に印をつけ、それを目印に形を想像する

長方形(黄金比)の塊がイメージできます。

塊を作るということは、それ以外のスペースもできるということ。

実は黄金比は『余白』で成り立っています。

周りが空間だからこそ、比率の美しさが際立つのです。

3.余白をデザインする!

黄金比的には右端に寄せてレイアウトするのが望ましいです。

しかしここからがオリジナルのさじ加減の始まりです。

黄金比を二分割し、左右に配置すればシンメトリーなー美しさが得られます。

円柱や30cm×40cmのような縦長の水槽なら、中央に黄金比を置くのと良いです。

黄金比は比率さえ合っていれば、小さくなってもその美しさを損なうことはありません。

魚の泳ぐスペースを確保したい場合などは、サイズの調整を行うと良いです。

黄金比と個性

水草の前景・中景・後景の概念を組み合わせれば、最高の美しさを発揮できるはずです。

その場合、水草の濃淡により、黄金比は多少崩れるかもしれません。

しかし、それこそが自然物の良さでもあります。

例えば、生け花のようにあえて突出した枝葉を残すことで風情を醸し出す、という手法もあります。

風情は見た人の記憶から生まれる、後天的な感覚です。

黄金比は自然の一環として、人間が遺伝子レベルで持っている、いわばベースの情報・感覚です。つまり風情は経験で生まれた特別な記憶です。

それは個性に繋がります。

このように、黄金比に少し手を加えることで、個性と偶発的な美しさを持つことができるのです。

黄金比はベースとして

これまでのは理論の話ですが、レイアウトではなくデザインする、という感覚が大切だと思います。

黄金比はあくまでひとつの方式です。定規のようなものです。

基本として取り入れればよくて、そこにとらわれる必要は無いのです。

黄金比はあくまでレイアウトのベースと捉え、そこから個性や表現したいものを追加していけばよいと思います。もちろん、黄金比を割り出すことで得られた水槽内の『余白』を埋め尽くさない程度にですが!

そうしてできた水槽はきっとオンリーワンな素晴らしいものになるでしょう。

素敵な自分だけの水槽を作り上げてくださいね!

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