テラリウムという言葉に、あなたどんなイメージを持っていますか?
観葉植物や熱帯植物が密集している水槽? それとも、砂漠の砂に多肉植物が植わっている透明な容器? あるいは、アクアテラリウムと呼ばれる水辺の様子を再現した水槽?
人によってイメージは異なると思いますが、「飼育容器の中に陸上の自然を再現したもの」は、全てテラリウムと呼ぶことが出来ると私は思います。
そんなテラリウムの1つに、最近人気の「コケリウム」があります。コケリウムとは、言葉の通り「コケをふんだんに使ったテラリウム」の事です。
身近なコケを採集してきて、小さなボトルから始めることもできますし、園芸店などでコケを購入し、大きな水槽を利用して雄大な自然を再現することも可能です。
実際、コケリウムは「手軽に始めることが出来る、管理が楽である、見ていると癒される、盆栽にも通じるわびさびの雰囲気を感じられる」などの理由から、ここ数年、幅広い世代で人気があります。
そこで今回の記事では、コケリウムの親しみやすさを活かしつつ、「身近な森林をテラリウムで再現すること」について考えていきたいと思います。
身近な森林をつくる、テラリウムで緑あふれるお部屋に
まずは、自然を再現する「ビバリウム」とは?
あなたは「ビバリウム」という言葉をご存知でしょうか? ビバリウムとは、複数の辞典によると「生物の生息環境を再現した飼育施設の総称」とされています。
(↓もちろん、コケリウムやコケを使ったアクアテラリウムも含まれます)
ちょっと難しそうに聞こえますが……本来のビバリウムという概念には、アクアリウム(水中飼育)もアクアテラリウム(水中&陸地での飼育)もテラリウム(陸上飼育)も含まれています。
そして、「自然を再現した」というキーワードに合致すれば、アクアリウムの水草水槽でもビバリウムと言えるのです。
……本来の意味では。(重要!)
ここであえて強調したことには、理由があります。日本では「ビバリウム=爬虫類や両生類、節足動物の飼育環境を再現したテラリウム(orアクアテラリウム)」という認識があります。そのため、アクアリウムである、水草レイアウト水槽を「ビバリウム」と呼ぶ方は、日本では少ないです。
そこで今回の記事では、少しややこしいのですが、現在の日本の慣例にあわせて「テラリウム≧ビバリウム」というスタンスで紹介していきたいと思います。
アマガエル飼育用のビバリウム・レイアウト
見出しの通り、私の方でビバリウム・レイアウトを作ってみました。
吸水性&保水性に富んだ国内産の溶岩石の土台に、ツタなどの植物をソイル&ウイローモスで植え込んで、アマガエルの好みそうな川沿いの雑木林のイメージを再現してあります。
なお、使用した植物は、自分で採集してきた野草とネットオークションで購入した熱帯植物です。ビバリウムに使用する植物を選ぶときには、次の過去記事を参考にすると失敗しないかと思います。
ちなみに、このビバリウムでは、(2週間ほど植物を定着させる必要がありますが)水を入れた容器を追加するだけで、アマガエルの成体を複数飼育することが可能です。
また、浅く水を張ることが可能なレイアウト&植物の配置にしてあります。そのため、落ち葉を少し減らした後に、3センチほどの深さになるように水を注げば、レイアウトを崩さずにアマガエルの繁殖を狙うことも可能です。
なお、写真では飼育ケースの大きさが伝わりにくいかもしれませんが、今回は横幅30センチ×奥行30センチ×高さ45センチの『グラステラリウム3045』という、爬虫類&両生類飼育専用のケースを採用しました。このケースは前面が、ガラスの扉になっており、餌やりやメンテナンスを横からすることができます。
余談:「横から」メンテナンスすることの意味とは?
横からメンテナンスが出来るという点で、この飼育ケースは普通の水槽に比べて、大きな利点を持っています。それは飼育するカエルやトカゲのストレスを減らすことができるというメリットです。
この言葉に、あまりピンとこなかった方は――少しだけアマガエルの気持ちになって、想像してみると分かりやすいかもしれません。
自然界の中で、アマガエルを捕食する天敵(鳥やタヌキやヘビなど)は、どこからやって来るでしょうか? そして、彼らはどこから攻撃してくるでしょうか? 自分(アマガエル)が、草むらの葉っぱの上にいるとしたら?
ほとんどの場合、「上から」襲ってきますよね?
そのため、生き物は本能的に「頭上で何かが動くこと」を嫌います。生態系の頂点に立つと言われている人間でさえも、頭の上で何かが動いていると落ち着かないものです。
自然の様子をテラリウムなどで再現して、こだわりのビバリウムとして生き物を飼育するのであれば、「生き物の習性」にも少しこだわってみるのも楽しいかもしれません。
きっと、活き活きとした、より素敵な姿を見せてくれることと思います。
まとめ・テラリウムで緑あふれるお部屋に
最後に、「テラリウムで緑あふれるお部屋を作る」時に知っていると便利な小技を紹介したいと思います。
今回の記事で使用した、1枚目と3枚目の写真を比較してみて下さい。飼育ケースの周りに観葉植物や木の枝を置いたり、化石などの鉱物を置いたりするだけで、飼育ケースの周囲にビバリウムの独特な世界感を広げることが可能になります。
(↓インテリアとして設置する時には、こちらの記事も参考に♪)
(なお、この方法には、部屋のスペースを「ケージがある一角で占有してしまう」という大きなデメリットが伴います。家族がいる方は、家族に怒られないようにご注意を。責任は負いかねますので……)
ということで。
あなたもぜひ、テラリウムで緑あふれるお部屋に挑戦してみて下さい♪

水槽のプロが所属するサイト運営チームです。
淡水魚・海水魚・水槽設備やレイアウトのことまで、アクアリウムに関する情報を発信していきます!