美しく鮮やかな体色や独特の繁殖形態が特徴のシクリッドは、古くから根強い人気を誇る観賞魚の一種です。
そんなシクリッドを飼育する上で気になるのが、水草との相性。
特にアフリカンシクリッドなどは砂をくわえて掘る習性があるため、せっかく植えた水草を掘り返されてしまうことがあるのです。
そこで今回は、シクリッドと水草をどちらも同じ飼育環境で上手に育てるコツやポイントなどをご紹介していきます!
水草水槽でシクリッドを飼育したいと考えている方必見の内容ですので、是非お役立てくださいね。
水草水槽でシクリッドは飼育できないと言われる理由
「シクリットは水草水槽と相性が悪い」
これはアクアリウム界では結構有名な話なので、一度は見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか?
そもそもなぜシクリッドと水草は、相性が悪いと言われてしまうのか。
まずはその理由を解説していきます。
シクリッドの基本的な飼育方法などについては、こちらの記事もご覧になってみてくださいね。
シクリッドは水草を掘り返す!
冒頭でも触れましたが、シクリッドが水草と相性が悪いと思われてしまう理由のひとつに「シクリッドの習性」が絡んできます。
アフリカンシクリッドを始めとするシクリッドの仲間の中には、砂をくわえて掘り返したり、一定の場所に砂を盛り上げたりする習性があるのです。
この習性の意図は未だにはっきりとわかっておらず、「巣を作るため」だとか「縄張り(テリトリー)を他の魚に主張するため」といった推測がされています。
とにかく、この習性を持つシクリッドは地植えの水草も容易に掘り返してしまうため、相性が悪いと言われているのです。
明るい照明が苦手?
シクリッドと水草の共存が難しい理由の二つ目として、「強い光が苦手なシクリッドが多い」ということが挙げられます。
実はシクリッドは環境の変化に敏感で、水草を育てるために水槽の照明を点灯させると、周囲の明るさの急変に驚いて暴れたり他の魚を攻撃してしまうことがあるのです。
水草の中には光合成を活発に行なうような、強い光が必要な種類が多く存在します。
これらの水草を育てる環境はシクリッドにとって居心地が悪いため、シクリッドか水草のどちらかを諦めなければならない状況が起こりうるのです。
水草をシクリッドと共存させるポイント
それではやはり、シクリッドと水草の両方を育てることは不可能なのでしょうか?
結論から申し上げますと、諦める必要はまったくありません!
共存のポイントは、シクリッドの習性や性格を配慮した上で水草を選ぶこと。
- 底砂に植えなくても育つ、活着性の水草
- 丈夫で強い光が不要の水草
これらの基準を満たす水草であれば、同じ水槽で問題なく飼育できる確率がグッと上昇します。
ひとつずつ解説していきますので、しっかりと確認しておきましょう。
活着性の水草がおすすめ!
シクリッドの習性は底砂を掘り返すこと。
つまりその習性の影響を受けないよう石や流木に活着させた水草であれば、掘り返される心配なく共存させることができます。
アクアリウムで扱う水草のほとんどは活着する性質を持ちますが、その中でも特に活着しやすいのは以下の5種類です。
- アヌビアス
- ミクロソリウム
- ブセファンドラ
- ボルビティス
- コケ類
もともと活着してあるものを購入するのも良いですし、好みの流木と水草を揃えてご自身で活着させることも可能です。
活着のさせ方やレイアウト方法については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてくださいね。
水質変化に強い種類を選ぼう
ほとんどの水草は弱酸性の水質を好みますが、シクリッドの仲間には弱アルカリ性の水質で生活する種類も多く存在します。
そのため、弱アルカリ性の水質でも育つ丈夫な水草を選ぶことも重要なポイントと言えます。
また、強い光が得意ではないシクリッドのことを考慮して、水草用の照明器具がなくても育てられる陰性の水草を選ぶのも大切です。
以下の記事では水質の変化に強い丈夫な水草や陰性の水草をまとめていますので、是非お役立てください。
シクリッドと楽しめる水草3種
それでは最後に、シクリッドと同じ水槽内で半年以上管理できた水草を3種類ご紹介いたします。
アヌビアス・ナナ
言わずとしれた水草の代表種、アヌビアス・ナナ。
アフリカ原産のサトイモ科の水草で、育成が容易なことから入門種としても広く知られています。
幅広い水質に対応し、二酸化炭素の添加は不要。
光の弱い環境でも育つ丈夫な品種で、流木や石に活着する性質を持ちます。
成長が遅いのでこまめにコケ取りをする必要がありますが、活着させたレイアウトごと水槽から取り出せば簡単に掃除ができるので試してみてくださいね。
濃い緑色をした葉は水槽を落ち着いた雰囲気に見せるため、シクリッドの派手な体色が程よいアクセントになること間違いなしです!
アヌビアス・バルテリー
卵型の厚い葉を持つアヌビアス・バルテリー。
先ほどご紹介したアヌビアスの仲間で、アヌビアス・ナナよりも一回り大きく育ちます。
こちらも容易に活着でき、強い光や肥料などは必要ありません。
根本の通気性が悪い環境で育てると調子を崩してしまうことがあるため、水流がうまく循環するようにレイアウトを工夫しましょう。
この品種に限らずアヌビアスの仲間は成長が遅いので、魚に与える餌の量やろ過の容量に注意するなど、コケ対策はしっかりと行なうことをおすすめします。
ミクロソリウム
弱酸性から弱アルカリ性まで幅広い水質に対応するミクロソリウム。
東南アジアに分布する、とても丈夫な水草です。
こちらも成長が遅い部類に入りますが、すらっと縦に伸びる葉は最大で40cmほどにまで成長します。
ある程度の長さになったらトリミングをして、美しいレイアウトを保つようにしましょう。
ミクロソリウムを育てる上で注意したいのが「シダ病」です。
28℃以上の高水温でなおかつ水流がよどんだ状態で育成していると、葉が黒くなり一気に枯れてしまうことがあります。
ミクロソリウムの育て方やシダ病については以下の記事で解説していますので、購入予定の方は一度確認しておきましょう。
まとめ:水草水槽でシクリッドを楽しもう!ポイントと弱アルカリ性に強い水草3選
シクリッドと水草を共存させるには、シクリッドの習性を考慮して水草を選定することが重要なポイントです。
今回ご紹介した種類以外にもシクリッドと相性の良い水草はまだまだありますので、気に入った水草があれば是非試してみてくださいね。
ちなみにわたしは、シクリッドの中ではエンゼルフィッシュがダントツで好きです!
幼魚のときは飼育がやや難しいですが、大きく成長して水槽を優雅に泳ぐ姿はまさに圧巻のひとこと。皆さんも飼育にチャレンジしていただけたらとても嬉しいです!
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!
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