水道水には、私たちが安全に飲めるように、殺菌効果のあるカルキが含まれています。
しかし、カルキの成分は魚のエラを傷つけてしまったり、ろ過バクテリアにダメージを与えてしまうため、アクアリウムではカルキを抜いた水道水を使用するのが基本です。
ただし、カルキによる殺菌作用は、水槽環境をリセットする際には大いに活躍をします。
カルキには雑菌の繁殖を抑えたり、ぬめりやコケなどを落としやすくする効果があるため、底床材や水槽本体を丸洗いする際には、カルキを抜く前の水道水を使用するのがおすすめです。
今回は水槽を水道水で洗う注意点とメリット、コケを撃退する際のポイントなどについて解説していきます。
水槽を水道水で洗う注意点
日本の水道水には、殺菌効果のあるカルキ(主に次亜塩素酸ナトリウム)が含まれています。
私たちはカルキのお陰で水道水を安全に飲用できるのですが、その一方で、カルキは水生生物に対してダメージを与えてしまいます。
カルキの成分は魚やエビ類のエラを傷つけてしまいますし、生物ろ過で活躍するバクテリアを減らす要因にもなってしまうのです。
水質が安定していて、バクテリアが十分に繁殖した水槽であっても、水道水を大量に注ぐと悪い影響が出てしまいます。
絶妙なバランス関係で成り立っている水槽管理においては、カルキによる些細なダメージの積み重ねが、水槽環境の崩壊につながりかねません。
水槽に足し水をする際や水換え、日々の清掃時には、必ずカルキを抜いた水道水を使用しましょう。
カルキについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ご覧になってみてください。
水槽を水道水で洗うメリット
アクアリウムにおいては危険なことばかりに思えるカルキですが、実は水槽を洗う際には、カルキの殺菌作用がメリットとしてはたらく場合もあります。
ここからは水槽を水道水で洗うメリットということで、
- 雑菌がいないため水槽のリセット時に最適
- コケや汚れを落としやすい
これら2つの利点についてご紹介をしていきます。
雑菌がいないため水槽のリセット時に最適
カルキを抜いてない水道水で水槽を洗うメリットとして、まずは、雑菌がいないため水槽のリセット時に最適だという点挙げられます。
ぬめりや臭いを落としやすい
水道水は、良く言えば菌が含まれておらず、安全な水であると言うことができます。
特に、殺菌成分として含まれている次亜塩素酸ナトリウムには、水槽のぬめりや白カビを落とし、臭いも軽減するといった効果があります。
雑菌が入っておらず、殺菌成分の含まれた水道水は、水槽環境のリセットに最適です。
コケや汚れを落としやすい
水道水で水槽を洗うメリット2つ目と挙げられるのが、コケや汚れを落としやすいという点です。
カルキの殺菌作用は、ぬめりの原因とも言えるバイオフィルムを取り除くのと同時に、コケに対しても有効にはたらきます。
砂利のコケを洗浄するのにも有効!
水道水を使った洗浄が特に推奨されているのが、底床材の砂利です。
砂利に生えてしまったコケは、水道水で丁寧に洗うことできれいに落とすことができ、再発も遅らせることができます。
洗浄後に天日干しして乾燥させると、残った雑菌や病原菌も殺菌できるのでおすすめです。
水槽を洗う際に気を付けたいこと
続いては、水槽を洗う際に気を付けたいことについて。
水道水は水槽を洗う時に使用できるとお伝えしましたが、ここでは水槽を丸洗いする際に注意しておきたいポイントを3つご紹介します。
カルキの入った水道水はリセット前提の掃除の時にのみ使用する
水槽の掃除には、水換えやちょっとしたコケの除去と、リセットを前提とした丸洗いの2種類がありますが、カルキを抜いてない水道水を使用するのは、丸洗いの場合のみにしておきましょう。
理由は先述した通りで、水換え時などにカルキを含んだ水道水を使用してしまうと、ろ過バクテリアや飼っている魚たちに悪影響を与えてしまうからです。
普段の掃除には、飼育水やカルキを抜いた水を使用してください。
水槽を掃除の度に動かすのは危険
水槽の丸洗いを水道水で行う時は、レイアウトアイテムや砂利、水などを全て抜いてから行なってください。
特に水槽を水場まで運んで掃除する場合、水槽内に水やアイテムが入った状態で運搬してしまうと、荷重が大きく偏るため、水槽に負担をかけてしまいます。
最悪の場合、水槽の底面や壁面が割れるなどのトラブルを引き起こしてしまうため、中身を空にしてから移動させるようにしましょう。
水温差に気を付けよう
リセット後に水槽環境を再度整え、生体を導入する際は、水温差に注意しましょう。
水質も大きく変動している場合がありますので、丁寧に水合わせをしてから導入することをおすすめします。
コケは水道水で洗うだけでは撃退できない
コケを水道水で洗うと、確かに一時的にはきれいになります。
ただし完全に撃退できるわけではありませんので、その点をきちんと理解しておきましょう。
ここでは水槽にコケが生える原因と、コケの繁茂を防ぐコツについて解説していきます。
コケが生える理由
洗浄しきれいに落としたとしても、原因を無くさなければ、コケはまた生えてきてしまいます。
コケが生える理由としては、以下の5点が挙げられます。
- 水流が同じ位置にあたっている(淀みがある)
- 水換えが足りていない
- 水槽に日光が当たっている
- 照明時間が長すぎる
- 餌を与えすぎている
現在の水槽環境がこれらに少しでも当てはまる場合は、早急に対策をしましょう。
コケの対策方法については、以下の記事も参考にしてください。
コケは継続的に減らすことが大切
コケの胞子は水槽の中だけでなく、空気中など至るところに漂っています。
そのため、コケが生えてくるサイクルを完全になくすことは不可能です。
ただし、水槽管理を適切に行っていれば、コケの繁茂を防ぐことはできます。
上述したようなコケの生える原因を断ち切るのと同時に、継続的に水槽の手入れを行なって、コケの繁茂を防ぎましょう。
手入れを手伝ってもらうような感覚で、コケ取り生体(オトシンクルスなど)を導入するのもおすすめです。
まとめ:水槽を水道水で洗う注意点と意外なメリット!コケ撃退にも効果的?
今回は水槽を水道水で洗う注意点とメリット、水槽を洗う際に気を付けたいことや、コケを撃退する際のポイントについて解説してきました。
水道水にはカルキが含まれているため、アクアリウムでは基本的に、カルキを抜いた水道水を使用します。
ただし、カルキの殺菌作用は水槽のぬめりや白カビを落とすのに効果的なので、砂利の洗浄や水槽のリセットをする際には、カルキを抜いてない水道水を使用してみましょう。
カルキはコケに対しても有効にはたらきますが、コケは原因を断ち切らない限り、また次々と生えてきてしまいます。
水換えの頻度や照明時間などを見直し、継続的な手入れを心がけましょう。
トロピカライターの井上あゆみです。
金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。
お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!